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ROBERTO CACCIAPAGLIA A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T U V W X Y Z others 
Chinese Pops  Japanese Pops
Alice  AREA / ARTI + MESTIERI  Franco Battiato  Lucio Battisti 
Eugenio Bennato / NCCP / MUSICANOVA  Roberto Cacciapaglia 
Fabrizio De Andre  FORMULA 3 / IL VOLO  P. F. M.  Mike Oldfield 
GARMARNA / HEDNINGARNA  SAMLA MAMMAS MANNA 

 Roberto Cacciapaglia を最初に聞いたのは学生時代で、アルバムは "Sonanze" でした。当時はプログレ情報も少なく、いわゆる「ジャケ買い」が常でしたが、このアルバムは絹目の手触りのよい紙質、深い紺青の背景色に浮かび上がるジューハープの写真、ほっそりとした書体と、シンプルに突き詰められたジャケットがずばぬけて美しかったのです。思い切って買って聴いてみたら、すぐに引き込まれてしまいました。それ以来、そもそも寡作な上に、当時品物はおろか情報すらそれほど入ってこない中で、忘れたころに出会っては感動させてもらいました。
 エレクトロニクスとオーケストラの、見た目に美しく飲んで甘美なカクテルのような作品がすぐに思い浮かびますが、本格的なオペラ、カンタウトーレ風の歌モノもあって、その多彩さは油断なりません。打ち込み系のビートやサンプリングが目立った時期を経て、近作では生ピアノの響きが最大限に生かされる作品が増えてきた印象です。エレクトロニクスだろうがオーケストラだろうが、もともとメロディラインの美しさが際立っていたので、純粋にピアノソロで演奏されると、もううっとりするほかはありません。
 2006年末に来日の話が持ち上がりました。2007年3月現在ではまだ実現していませんが、大いに期待して待ちたいと思います。来日を望む声をぜひオフィシャルサイトにお寄せください。またワタシにブログやメールでお寄せいただいても、お取次ぎいたします。
ROBERTO CACCIAPAGLIA 
SONANZE 75/LP/ITA/ITA EMI PLDSQ6025
*学生時代、新宿レコードの店頭でジューハープの美しい写真のジャケットを見たとき、どうしても欲しくなりました。値段がちょっと高かったので、お金を用意して買いに来るまで売れないでくれ、とハラハラして、バイト代を持って買いに行った記憶があります。宇宙的な壮大な広がりを感じさせる現代音楽。これといって大きく盛り上がるわけでもなく、サウンドトラックのような印象ですが、とにかくメロディーも音響もあまりにもはかなく美しく、忘れられない名作です。4チャンネル録音で、多分音がぐるぐる回ったりするように作られているのでしょうが、再生装置がなかったのが残念でした。以下、楽章ごとの感想を書いてみます。第一楽章: 浮遊感のある音に加工された金属パーカッション風の音で始まり、部厚いストリングスが飛び交ったかと思うと、管楽器とコンサートティンパニが印象的なテーマを奏でる。第二: 急に加工されたヴォイスが飛び交う。おーうわーいとぅとぅわーいしゅしゅわーい・・・って聞こえます(笑)。緩やかにフィルターが開閉しオクターブを行き来するシンセにストリングスが重なり、奥行きのある音で美しいテーマが繰り返されます。第三: 一転してピアノのアルペジオ。音場はぐるぐる回る感じに処理されているようです。ストリングスが時折湧き上がっては遠ざかっていきます。第四: 不安を誘うような不協和音の女声コーラスが揺らめきます。第五: オルガン風の音のミニマルな繰り返しに始まり、ギターのアルペジオが浮遊感の強い音響の中で粒立ちます。やがて音が途切れると、最初の効果音に戻ります。第六: エコーが深くかかったシンセかギターの繰り返しのメロディが非常に美しく、好きな部分です。第七: 前章からの流れでシンセの音がせせらぎのように流れます。第八: 一転してティンパニのソロで始まり、オルガンからフィルターをかけたピアノがかぶさったかと思うと、不安を掻き立てるような管楽器の不協和音がしばらく寄せては返します。第九: 風の音。遠くからシンプルな和音の繰り返しが近づく。そしてオーボエがテーマを奏でる。そして弦楽器が厚い和音を重ねる。・・・私がこのアルバムのなかでもっとも好きな部分。いつまでも終わらずに続いてくれたら。しかしすべてはまた風のなかに遠ざかり、消えていくのです。第十: シンセサイザとハープシコード、オーボエが繰り返し現われます。シンプルなテーマが寄せては返し、いったんすべては消え去ったかと思うと、テープの逆回しのようなシンセによるフレーズが現われ、今度は本当に消え去ってしまいます。
SEI NOTE IN LOGICA 79/LP/ITA/ITA PHILIPS 6323081
*女声と室内楽と「いかにも」の電子音が絡む、ミニマル音楽。今になって聴く意味はちょっと?だが、フレーズ自体は明るくていい味がある。
GENERAZIONI DEL CIELO 86/2LP/ITA/ITA FONIT CETRA LPX155-2
*オペラ作品はいくつかあるようだが、リリースされているのは女声とオーケストラによる本作のみと思われる。これはもうジャンルを超越した、きわめて美しくせつなく、変化に富む作品。
ANGELUS ROCK 92/CD/ITA/ITA POLYGRAM 517 420-2
*カバーというのはどういう意味があるのだろう。考えてみれば、文字通りのクラシックの演奏は基本的にカバーである。聞きようによってはかなりの珍作とも言うべきこの作品も、そういう意味ではクラシックでは普通のこと。プレスリーやらジョンレノンやらジャニスジョプリンやら、すでに亡くなったロック歌手たちの歌を、カッチャパッリアの編曲でデジタルなバックにクラシック系と思われる歌い手が歌う。この、しばらくの間はなかなか何の歌だか思い出せない彼のアレンジ(笑)を楽しめるかどうかで、このアルバムの評価はまったく違ってくるだろう。ロックをクラシックで解釈することに引っ掛かりのある方にも是非聞いていただきたい一枚。僕はエクソダスやメルセデスベンツなど妙に気に入っちゃいましたけど。
TRA CIELO E TERRA 96/CD/ITA/DEU CGD EAST WEST 0630168572
*ロックバンドと管弦のバックが付いた、カンタウトーレとしての作品である。とはいえ、曲やアレンジはさすがに凝っていて、一筋縄ではいかない。歌い上げタイプの曲は皆無で、寂しさや清澄な感じはやはり独特である。GENERAZIONI: バッティアートが歌っている。カッチャパッリャのメロディのセンスが生きた美しい曲。終盤の歪んだギターのソロがかっこいい。PICCOLO GUERRIERO: 軽快なヴォーカルナンバーにアイリッシュパイプが伴奏に加わって深みが増す。PADRE MADRE: 「父よ母よ」と呼びかけるこの曲は、叙情的名曲。"Sonanze" と同じマリオ・アルカリのオーボエの音色が情感をいっそう高める。涙なくして聞けません。超名曲です。CANTO: オーバードライブをかけたギターの音色のせいもあるが、マイク・オールドフィールドのトラッド演奏を思わせる雰囲気。SEI COME L'ARIA: シンプルなリズムとストリングスの盛り上げがさわやかな曲。CUORE DEL MONDO: ピアノの響きとしっとりとした歌が心地よい。REALTA' O VIRTUALE: リズミカルな伴奏にちょっと早口なヴォーカルでも、メロディの哀愁味は一貫している。VERRA': シンプルなピアノ伴奏に印象的なメロディの歌。OLTRE LA FRONTIERA: 前曲をややクラシカルな展開にした様な雰囲気の歌。IL RAGAZZO CHE SOGNAVA AEROPLANI: そして「飛行機を夢見た少年」という、この味わい深いピアノソロで、アルバムは結ばれる。
ARCANA 01/CD/ITA/ITA RICORDI 74321 828322
*最初聴いた時はサンプリングの多用とトランスなアレンジにちょっと首をひねりつつ、でも常にコンテンポラリーな音を出し続けるのだからすごい、と妙な感心をしていたのだが、中盤以降のクラシカルな展開を味わううちに最初からまた聴きたくなり、通して聴いているうちに彼の美麗なメロディ、緻密なアレンジに捕獲され、結局繰り返し聴くはめになってしまった。バッティアートと並んで、強烈な個性と多彩なバックグラウンドで常にシーンを手玉にとってしまう、音楽家としての偉大さを再確認されられた。以下、各曲の感想を一言ずつ。ARCANA:打ち込み系のリズムにトランスなアレンジに最初戸惑うのだが、繰り返すテーマの哀愁はまぎれもない Cacciapaglia 節だ。FOLLOW MY MUSIC: 軽快なリズムに軽やかな女声ヴォーカルが意外な印象。ピアノやギターの音もあまり使われたことのなかったポップなものなのだが、途中から綱渡りのように漂いだす。LONDON LINE: 打ち込みリズムに生の弦、語りのヴォイスと投げやりな調子の歌が絡む。この組み合わせは聞き心地がよい。ヴァイオリンとチェロがとてもよい感じだ。A GAME: またまた打ち込みだが哀愁のメロディが現われてほっとする。ここでもピアノや弦とエレクトロニクスとの絡みが独特の雰囲気を醸している。NO MORE VIOLENCE: ああやっぱりこれを期待してしまうのだ。深いピアノの音に、ゆったりとした美しいメロディ。終盤の流麗なピアノソロ。名曲です。1000 FLOWERS: 軽快でシンプルな展開だがテーマのフレーズがやはり美しい。やはりこのあたりに来るとややエレクトロニックなリズム音がちょっと気になり始める。"SEI NOTE IN LOGICA" ではないがアコースチック・バージョンで聴きたくなる。JOY: クラシカルな曲。やはりピアノと弦がすごくよい。この曲ぐらいならリズムトラックは淡々としているのであまり気にならない。ドラマチックなピアノの響きが感動的。100 MOONS: 神秘的なパーカッションの音、声明のようなヴォイスが独特な曲。UNREAL: "Joy" と響きあうように、ピアノと弦に遠いヴォーカルが絡み合う。STRINGS OF LIGHT: 美しい弦楽アンサンブルの間奏曲。I FEEL ALRIGHT: 珍しく力んだヴォーカルの繰り返しに驚かされるパートと、ゆったりとしたメロディに悲壮感すら漂うパートが、かわるがわる現われ、哀愁のストリングスの波が引いた後に取り残された打ち込みリズムが逃げるように消えていく。
SONANZE / SONANCES & OTHERWORKS 1972-1975 01(75)/CD/ITA/EEC PROPER SP004
SEI NOTE IN LOGICA & SIX NOTES 1976-1979 01(79)/CD/ITA/EEC PROPER SP005
GENERAZIONI DEL CIELO 01(79)/CD/ITA/EEC PROPER SP006
*アビイロードスタジオでカッチャパッリャ自身も参加してのデジタルリマスターシリーズ。特に初期の二枚は、長らく入手しにくかったというだけでなく、すでに持っている者にとっても珍しいボーナス満載で非常にうれしい企画、ついつい購入してしまった。
 まず "SONANZE" は、オリジナルが10トラックでタイトルが1st movement〜10th movementなのだが、おそらくアウトテイクと思われる曲が15トラック、こちらはそれぞれタイトルが付けられている。長さでも本編よりも長く収録されているのだが、これがどれも本編に通じるコンセプトで、断片的なものが多いが、完成度はともかく雰囲気ではかなり楽しめる。全部で77分超、堪能できます。いちおう、一曲ごとの印象を。Skywaves: シンプルなピアノの繰り返しに、薄いストリングスが重なる。Electric Avenues: シンセサイザのインプロヴァイゼーション風多重録音。8分と長い。Birds Over Prague: シンセの2声で短いが印象的なパート。Floating Clouds: シンセのシークエンスにコンサートティンパニの組み合わせで、さらにテープエコーで加工している。ぽよんぽよんとした感じ(笑)。Gongs: 1st mov. の音にフィルターの開閉が印象的なシンセのきつい音を組み合わせたような作り。Mother and Cousin: 女声を気ままに加工したシークエンスが怪しげだったりコミカルだったり。Winds and Gong: これも加工されたゴング音やパーカッシブな音に、生っぽい管楽器やシンセの気ままな音を組み合わせたもの。Moog Sequence: シンセ音とテープエコー。このフィルターの開閉がたまらなくセクシーなんだよな。アナログシンセの醍醐味。Roxanne: 6分近いやや眺めの曲。管楽器のフリーフォーム、シンセサイザの気まぐれな出没、パーカッションが乱入すると本曲でなじみのテーマがデッドな音で淡々と奏でられ、なんとなく中途半端に盛り上がって途絶える。Metal Windows: 1st mov. の使いまわしにブラウン運動のように飛び跳ねるパーカション音。Slow Steps: 本曲で現われる浮遊感のある音に、ぴらぴらしたシンセ音が紛れ込む。Manuela: 哀愁のコーラス。Rob Tiger: 不気味な重い音はシンセとテープで出したものか。素材としては面白かったが本曲では使えなかったというところか。Sub-Electronic: LFOで遊びまくったようなシンセ音。Original Gongs: タイトルどおり、1st mov. のドラの音。
 "SEI NOTE…" の方は、コンピュータの入らないアコースティックバージョン収録(やはりこれも本編よりちょっと長い)なのだが、これはまさにコンピュータが入っていないというだけで、続けて聴いても同じ曲を二回聴いたような感じ。でも、聴いているうちに思ったのだが、案外、これは良い曲だったのである(爆)。つまり、コンピュータがピコピコ出している音を除くと、今でも十分通用する作品だということに気づかされる。それが狙いか?
 "GENERAZIONI..." はボーナストラックはないのだが、もともと二枚組みだったものでお買い得。単にこれらリマスター盤から一枚お勧めするとすれば、やはりこの名盤でしょう。
THE ANN STEEL ALBUM 79(03)/CD/ITA/EEC PROPER SP007
*こんな作品がまだ残っていたとは・・・。いったい、本当は何枚のアルバムを出しているのでしょう。ご存知の方は教えてくださいm(_s_)m。これはカッチャパッリャが作曲と演奏、GIADA MANCA DI VILLAHERMOSA という人の詞で、ANN STEEL という人が歌っているというもので、GUGLIELMO MARCONI という人に捧げられているのだが、かっちゃん(と呼んでしまおう)以外まるで分かりません。ご存知の方は教えてくださいm(_s_)m。とまあ、分からないことだらけですが、年代的にはテニスのころの作品で、伴奏は硬質なコンピュータサウンド。しかもこれがとても良い味を出しています。エレクトロニクスになったトッドラングレンのアイソウザライトか、ロンドンの地下に片足を突っ込んだMIKADOか、壊れかかった電気仕掛けのマティアバザールか・・・。無機的なままにハイトーンに楽々伸びるアンさんの歌と、金属的な響きなのにメロディアスなかっちゃんの音の組み合わせに、心地よい酔いがまわります。
TEMPUS FUGIT 03/CD/ITA/ITA BMG 82876508862
*3曲がスタジオ録音で、残り9曲は3つのライブから録られている。前作に顕著だった打ち込み系のリズムが出てくると、どうしても単調に聞こえてしまうが、むしろピアノ中心の曲が全体を支配していて、カンタウトーレよりは明らかに現代音楽の方に舵を戻した感がある。ピアノのほかに女声、チェロ、エレクトロニクスの構成で、音的に哀感や寂寥感が漂っている。
LUX LIBERA NOS 03/CDS/ITA/ITA BMG 82876525632
*"TEMPUS FUGIT" からのシングルカットで、"LUX LIBERA NOS" のダンスリミックスが中心。この手のシングルでは何もこの作品に限らないが、要は最後まで聞くのがちょっとつらい。もう「聴く」ための作品ではなくなってしまっているから仕方がないが。
INCONTRI CON L'ANIMA 06/CD/ITA/ITA DDA2460
*本人のピアノに弦楽、曲によってヴォーカルが入る。叙情的な調べはずっと変わらないが、音的には"Generazioni..."のころに戻った感じだ。曲は粒ぞろいで、ピアノを前面に出しての演奏は、最近のエレクトロニックな感じに今ひとつの感を持っていた人にも薦められるし、もちろんずっと聴き続けてきた人にも何の違和感もなく受け入れられるだろう。
QUATRO TEMPO 07/CD/ITA/ITA UNIVERSAL 476 6249
*新作は、前作でクラシック路線を明確にしたカッチャパッリャが、ロイヤル・フィルハーモニック・オーケストラをバックに、その理想を形にした一枚。前作と同じ曲が3曲含まれるが、アレンジもそれほど大きく変わっているわけではなく、前作の延長上にあることが確かめられる。同じ曲を似たようなアレンジで?と思われがちかもしれないが、本人の完全主義的な極め方によって完成が遅れたことからも分かるように、およそロックやポップスとは対極にあって、同じ曲に繰り返し繰り返し取り組む、クラシックジャンルのこだわりとみなすべきだろう。前作が気に入った人には安心して薦められる。
CANONE DEGLI SPAZI 09/CD/ITA/EU UNIVERSAL 1794908
*期待の新譜。今回もロイヤル・フィルハーモニックとの共演で、アレンジと演奏の精緻さはさらに極まった。なじみのメロディや同じ曲の再演があるのが物足りないところではあるが、反面演奏の聴き比べによってその磨かれ具合を確かめることができるのは、ずっと追いかけてきたファンとしては嬉しいところ。たとえば "LUX LIBERA NOS" のテーマ曲が "LUX III" としてピアノ+ソプラノ曲に、同アルバム収録の "SIGILLO" がピアノ曲に純化され結びの一曲となっていることは象徴的である。とはいえ、あくまでも前作の延長線上にあって、そろそろ新境地の開拓も期待したくなるのは、ファンの身勝手さか。
TEN DIRECTIONS 10/CD/ITA/EU SONY GLANCE 803295384001
*このところコンスタントに新作を発表しているが、今回も流麗なメロディに奥行きのあるオーケストレーションで、ピアノの響きを美しく聞かせる。編曲はかなりダイナミックで、このところのクラシカルな作品の中では、もっとも構成のしっかりした、聞かせどころのはっきりした展開になっていると思う。聞き慣れたメロディも再アレンジされている。私の大好きな歌 "Padre Madre" も、インストの "Wild Sea" として再登場。印象としては "Incontri..." 以来の集大成的な完成度と思うので、そろそろまったくちがったアプローチが出てきてもよい頃合いではないかと・・・。
LIVE FROM MILAN 11/2CD+DVD/ITA/ITA GLANCE 8032953840022
*ネットで一部を見ていたものの、感動の初DVDのメインは2007年ミラノでのオーケストラを従えてのライブ。近作に共通するメロディアスなメロディに、粒立ちの良いピアノの音色を素直に楽しめる。円熟と言えば円熟であるが、奇想や意外性があるわけでもなく、ライブとはいえ何かスペクタクルがあるわけもなく、完璧にアレンジされ演奏された作品だから、その分物足りないと感じる事はある。そういう意味では、2010年版の弦楽四重奏と電子キーボードとの共演のほうが、小ぢんまりしている分ライブ感があるし、一曲だけだがダンサーに囲まれた2011年のトリノの映像も変化があって楽しい。英語字幕が付くのはありがたい。CD2枚にDVDの音源を収録。
Original soundtrack from the motion picture "11 SEPTEMBER 1683" by RENZO MARTINELLI 12/CD/ITA/EU ARTIST 8033993250031
*今度のアルバムはタイトルの日付からすると第二次ウィーン包囲を題材にした映画のサントラらしい。オスマン帝国によるウィーン包囲に対するヨーロッパ側からの戦いで、東方からのヨーロッパ進攻を食い止め、オスマン帝国の衰退を招いた、大きな事件である。演奏の方はオーケストラと合唱にトルコ音楽が組み合わされ、壮大でエキゾチックなものになっている。クラシカルな部分は "GENERAZIONI DEL CIELO" をイメージするし、効果音や弦のざわめきなどに "SONANZE" を思い出させるところもあるが、エスニックな音や調べもあいまって、全体としては過去のどのアルバムにも似ていないと思う。そろそろピアノ音楽の追求にも聞く側にすれば物足りなさを感じていたところ、まだまだ新しいアイデアが期待できると感じた。
TRNSARMONICA 15/CD/ITA/RUS MIRUMIR MIR100732
*1988年に、フェラーラで開かれたATERFORUM というフェスティバル関連で録音された未発表音源が、"ROBERTO CACCIAPAGLIA ENSEMBLE" 名義でロシアの再発・未発専門らしきレーベルから突然発売された。ソプラノとカウンターテナーと器楽アンサンブルのための、5楽章からなるクラシック作品。古代哲学好きの私には嬉しいことに、ルクレティウスの『事物の本性について』に依っているとある。録音時期からすると"Generazione del cielo"の2年後あたりで、カウンターテナーは同じ人であるから歌の雰囲気が当然似てくる。器楽アンサンブルもコンパクトだから"Generazioni..."の壮大さはないが、流麗なメロディと美しい人声、残響の長い音響が、テーマとも相まって、宗教音楽のような透き通った荘厳さを漂わせる、傑作である。音質も完全。
IN C 15/CD/ITA/RUS MIRUMIR MIR100732
*"TERRY RILEY & ROBERTO CACCIAPAGLIA ENSEMBLE" で発売された、1988年のATERFORUMフェスティバルでの録音。言わずと知れた現代音楽の巨匠、テリー・ライリーの代表曲で、本人とカッチャパッリャの共演という、ぜいたくなものである。この曲は53のごく短い断片(どれくらい短いかというとこの曲の楽譜はたった1ページで、作者の注意書きのほうが2ページあるので長い)を、何回繰り返しでもよいが順番に進めていくというもので、数フレーズ分ずれたり、場合によって飛ばしたりすることも認められていて、指揮者もなく参加する楽器や演奏者数も固定していないから、演奏するたびに異なる構成になる。手ネイに聞き比べたことはないが、本作は奇を衒ったところがなく、かなり格調の高い、名演奏になっているのではないだろうか。カッチャパッリャファンだけではなく、テリーライリー自身の演奏でもあり、現代音楽ジャンルからも注目されるべきアルバムではないだろうか。録音はオフィシャルなものと思われ完全で、このような発掘音源が出てきたとは驚きである。
TREE OF LIFE 15/CD/ITA/ITA (no number)
*三つ折紙ケースで8ページの解説ブックレットも付いているが、CD番号などもなく、2015年ミラノ万博限定品らしい。出だしで "SONANZE" の第二楽章、あの♪オーウワーイシュッシュワーイってやつで始まるので、いきなり途方に暮れてしまう。最初の5曲は "ALBERO della VITA" というショウのための音楽らしい。6部構成の組曲形式で、既存のトラックのコラージュを含めた、クラシカルだがかなり自由な編曲。万博は5月1日から始まっているようなので、オープニングセレモニーのようなものだったのだろうか。公式サイトを見ると6月4日にはピアノソロも演奏されたようだ。アルバム後半は "SONANZE" や "SEI NOTE IN LOGICA" からも含めたかなり謎のベスト盤的構成に、新曲(発表済みの未収録曲かもしれないが)が混じるという、何とも脈絡のない感じだが、通しで聴くとそれなりに楽しめてしまうのが不思議と言えば不思議。結果的にカッチャパッリアのショウケース的な一枚となった。

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関連盤
ALICE, FRANCO BATTIATO, FRANCESCO MESSINA, GIANNA NANNINI, GIUNI RUSSO, SAINKHO "SICILIAE - ANTOLOGIA DELLA MUSICA SICILIANA"
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