AINDA 95/CD/PRT/PRT EMI 7-243-8-32636-2-2 *以前、テレビコマーシャルだったかで「海と旋律」を聴いて、思わずシングルを買ったことがありましたが(こういうことは自分としては珍しい)、リスボン物語のサントラらしいこの作品が、アルバムとしては初体験です。で、やはりこれはすばらしい。TERESA SALGUEIRO の歌の清澄さ、ギター、チェロ、アコーディオンが織り成す、しっとりしていながらさらさらと滑らかな、手触りのよい絹布のような演奏。安心して身をゆだねているうちに、いつしか涙腺が刺激されてしまいます。
O PARAISO 97/CD/PRT/NDL EMI 2438231022
MADRUGADA
INCASTRO 76/CD/ITA/ITA UNIVERSAL 0602527339627 *THE UNIVERSAL MUSIC COLLECTION シリーズ、"Progressive Italia Gli Anni 70 Vol.5" 所収の一枚。怪しげな呼吸音に不安を募らせたかと思うと、フルートの飛び交うメロディアスな展開、しかしそこから一転、SE的なボイスとパーカッション、激しいピアノの呪術的なエンディングの盛り上がりは異様だ。オルガンとバイオリンがまた叙情性を高めたかと思うと、またあの呼吸音、サックスの狂乱、といった具合。かっこいいインタープレイを聞かせたかと思うと、カトマンズなんか無茶苦茶な展開だ。当時聴いていたら、間違いなくはまっていたであろう、テクニカルで破天荒な傑作。
LANEAN SARTZEN 81/CD/SPA/SPA SPA1001 *バスクのバンドでLPはレアだったらしい。この再発CDで初めて聴いた。バタバタしたドラム、ひずんだギター、あか抜けないフルートと、インストを聞いていると往年のイタプログだ。生ギターと歌が入ると、とたんにバスク・フォークの哀愁が加わるところがミソか。いずれにしても独特の陰りのある音は魅力だ。
MAGMA
ÜDÜ WÜDÜ 76/CD/FRA/JPN VICTOR VICP-61661 *コバイア語表記になりませんがご容赦。なぜか手持ちの盤がなかったマグマであるが、さらに最近は新旧さまざまな音源がCD化されて、私など到底フォローしきれない。本作は、当時友人から借りて気に入っていたので、このリマスター盤(ただし Charly盤のマスターによるので Seventh盤にあるボーナスは含まれていない)が中古で安かったので懐かしさもあって買ってしまった。とにかくプログレ史上に残るといわれる名作 "De Futura" も確かにすごいのだが、じつは私は "Troller Tanz" が昔から大好きなのである。ついまたリピートで浸ってしまう。
A 30 EVE ALAKULT EGYUTTES KARACSONYI KONCERTJE A MILLENARIS TEATRUMBAN 11/CD/HUN/HUN Z PARAVAN ZPCD013 *マカームがコンスタントに作品を発表している一方、コリンダ名義のアルバムはすっかりご無沙汰だった。それがなんと、共演30周年記念かなにかでライブを開いた録音が届いて、びっくりである。共通メンバーのKRULIK ZOLTANはじめ、DABASI PETER, JUHASZ ENDRE, SZOKE SZABOLCS, KOVATS DORA などのメンバーに、ゲストを加えて総勢11名の豪華な布陣で、アコースチックな響きにエキゾチックなメロディがあふれ出る。
BALANCOIRE EN FEU 81/CD/FRA/FRA BOUCHERIE 082304 *前作からその傾向はあったと思うが、トラッドからはかなり遠ざかってしまった感がある。ETIENNE RODA-GIL という人の歌詞に、YACOUB, ZDRZALIK, DE COURSON らが曲をつけている。ブライアン・ガランドはいなくなってしまった。エレクトリックとアコースチックの入り混じった、コーラスを重視した素朴なポップスといった印象。
LES CATHEDRALES DE L'INDUSTRIE 88/CD/FRA/JPN QUATTRO QTD1008 *久々に聴くマリコルヌ、かなりエレクトリックになっている。タイトルもすでにトラッドの枠組にはない。メロディーのトラディショナルな響きは失われていないものの、むしろ YACOUB のソロ作品と通じるところが多い。
CONCERT EXCEPTIONNEL AUX FRANCOFOLIES DE LA ROCHELLE 10/DVD/FRA/FRA ARTSTUDIO 30062266719 *往年の名バンドの復活話にもそろそろ驚かなくなっていたところに、マリコルヌのオリジナルメンバーでのコンサートとは、本当に驚いた。早速、CDとDVDを入手してみた。私はアルバムでは4枚目を最初に聞いて感激し、さかのぼって聞いて、5枚目とライブまでが好みだったのだが、このコンサートで取り上げている曲はほぼそのころの作品である。コーラスやアレンジも当時の瑞々しさそのままで、映像で見ればみな年をとったのは当然だが、声も演奏も30年の歳月を感じさせない素晴らしさだ。"NOUS SOMMES CHANTEURS DE SORNETTES" や "LA CONDUITE" を聞けば、それぞれのアルバムを最初に聞いた時の興奮がよみがえる。考えてみればトラッドは年取ってもあまり関係ないかもしれない、というか、より円熟味が出せるジャンルかもしれない。ゲストでは Claire Diterzi の Marie とのデュエットが美しく、また Laurent が結成した弦楽四重奏コミックバンド?"LA QUATUOR" のパフォーマンスがおもしろすぎる。もちろん全編通じてダルシマー、ニッケルアルパ、ハーディガーディ、クルムホルンなども大活躍。DVDのボーナスに収録された52分のドキュメンタリーも、当日までの歩みがとらえられていて必見。どれもこれも、フランス語全くわからない私にとっても、全編耳と目が離せない楽しさです。CDは収録曲が少ない(ただし隠しトラックに3曲追加アリ)ので、やはりDVD必見かと。
FUN CLUB 01/CD/ITA/ITA SONY COL504968 2 *バッティアートの作品でおなじみの "La mer" や "Non dimenticar le mie parole" をはじめ、ラヴィアンローズやらムーンリバーやら、スタンダードナンバーをモダンなバックにのせて淡々と歌いついで行く作品。アレンジとオーケストラ指揮がバッティアート、プロデュースがバッティアートとコセンティーノと、バッティアート人脈のバックアップながら、奇を衒ったようなところはまったくなく、かといってバッティアート以上に?特に声がよいとか歌い方がうまいとかいうこともなく、それでいて歌そのものの魅力を引き出す雰囲気を持っている。それにしてもバッティアート作品に多大な影響を与えたと思われるこのおじさん(おじいさん?)は、何者なのでしょうか。
MONTAGNE VERDI ...e tutti grandi successi 01/CD/ITA/ITA CGD 8573 85321-2 *マルチェッラなつかしのベスト盤。さすがに曲は時代がかった大仰な印象だが、彼女の張りのある、通りのよい声は安心感がある。選曲はオーソドックスだし音もよいので、コンパクトに楽しめる一枚。
MARCO GALLESI
RIFF 03/CD/ITA/ITA ELECTROMANTIC ART9013
MARCO MASINI
MALINCONOIA 91/CD/ITA/JPN KING KICP119 *これは渋い。歌によっては、バッリョーニみたいな声に聞こえることも。乙女座を先に聞いていて、あまり印象が強くなかったのだが、思わず聴きなおしたほど。このアルバムのシンプルな深さ、がさついているのに厚みのある感じ、哀愁の濃いメロディにこめられた熱情は孤高だ。"PERCHE LO FAI" は超ドラマティックな名曲。歌い上げ系が苦手と言いつづけている私ですが、これには脱帽です。
T'INNAMORERAI 93/CD/ITA/JPN KING KICP347 *苦手なはずの情熱濃い目なのに、案外聴けてしまうのは、演奏にヴォーカルの厚みと深さを引き立てる抑制が効いているからか。ジャケットもいたって淡白なデザインなのもまたよし。今のバッリョーニをそのまま若くしたような印象の声が好みだ。
IL CIELO DELLA VERGINE 95/CD/ITA/JPN KING KICP496 *マルコ・マジーニはイタリアではかなり人気の高いベテランの歌手らしい。音域も声量も十分の、独特の嗄れ声には最初驚くが、聴きなれるといたって心地よい。キーボードやアレンジで実績を積んでいた人なので、音作りが非常に巧み。スキのないヴォーカルアルバム。
MARI BOINE
GOASKINVIELLIA ("EAGLE BROTHER") 93/CD/NOR/DEU VERVE WORLD 521388-2 *ヨイクとクールなジャズの取り合わせが絶妙。幻想的でありながら硬質なところが北欧同時代トラッドの魅力だが、この作品は音のぎりぎりに研ぎ澄まされた輝きと無駄のなさにおいて比類がない。余韻や余白にこそ音楽の喜びが潜んでいることを思い起こさせてくれる。
MARIA CARTA
UMBRAS 78(10)/CD/ITA/ITA UNIVERSAL 0602527475288 *THE UNIVERSAL MUSIC COLLECTION シリーズ、"ETHNO FORK ITALIA GLI ANNI '70" からの一枚。94年に亡くなった、サルディーニャの伝統音楽を歌う歌手。いきなりのパイプオルガンの荘厳な響きに圧倒される。他に伴奏はギター、ラウネッダス。声の質は図太く、そのアクの強さもあって、印象に深く残る。これだけの存在感だからこその、アレンジや伴奏のシンプルさ(とはいってもパイプオルガンには驚くが)。ボーナス3曲は80年のアルバムからで、アレンジが Carlo Siliotto だ。オケバックでやや洗練された印象だが、パーカッションの単調なリズムに乗せる言葉遊びのような最後の曲はたいへん面白い。ゴッドファーザー2などで女優としても活躍したらしい。たしかに美人さんだ。
MARIA DEL MAR BONET
AMIC, AMAT 04/CD/SPA/SPA PICAP CD91040003 *マヨルカ出身の地中海音楽の大御所。イスラームの香り漂う曲も含め、地中海音楽というジャンルがあるとすれば真にその名に値する、多彩だが共通する穏やかながら流転する地中海の波や風が聞こえる。このふくよかでかぐわしい声は他の追随を許さない。
MARIA KALANIEMI
IHO 95/CD/FIN/AUT OLARIN OMCD57 *マリアのアコーディオンに、サクソフォンやギター、バイオリンなどがつく。トラッドは二曲で、マリアや TIMO ALAKOTILA などのオリジナル曲がならぶ。アコーディオンとサックスという組み合わせが、斬新でありながら意外なほどゆったりと雄大な響きをもたらしていて、ジャズ風のアレンジも加わって、アコースチックで素朴なだけではない、新しい可能性を感じさせる。
AL DI LA DI QUESTI ANNI 07/CD/ITA/ITA OTR 24 *前作はわりとアンビエントな雰囲気だったのだが、本作はセルフカバーを含む、ピアノや弦楽を入れたスタジオライブになっていて、力強さや生々しさがきわだつ傑作になった。この声だから、エレクトロニクスよりはアコースティックな響きのほうがゼッタイに似合うと思うのだがどうだろう。
LA CONSEGUENZA NATURALE DELL'ERRORE 12/CD/ITA/EU UNIVERSAL 0602537054381 *3年ぶりのアルバム。厚みというかしなやかさというか、とにかく迫力のある声なので、凝ったバックのアレンジがちょうどよいバランスに聞こえる。楽曲の魅力、共演のバラエティもあって、充実した作品になっているのではないか。ラストは父親がドラマーをやっていたモリコーネのオーケストラとの共演。ところであらためてバイオグラフィを呼んでいたら、Jamie Dee の名前で英語のダンスミュージックを歌っていた時期があって、特に日本でよく売れたなんて記述を見つけて驚きました。YouTubeで探すとあるわあるわ、懐かしいディスコミュージックとか、バブル期を思い出すとかいうコメントがたくさん(笑)。ところでアメリカの Jayme Dee とはとうぜん別人ですね。こちらもなかなかよいですが。
ADOLESCENZA 73(10)/CD/ITA/JPN SONY SICP2590 *今回のSONY紙ジャケ再発シリーズの目玉はこの一枚かと思う。長らく入手困難だった名盤。きらめくピアノやギター、ただよう歌メロ、浮き沈むフルートやオーボエ、はかなくも美しい音づくりはバッティアートの初期やアニマラティナあたりのバッティスティのイメージだ。紛うかたなき70年代のイタリアンプログレッシブとカンタウトーレの魅力が詰まっている。
SULLA SPIAGGIA D’INVERNO 78(10)/CD/ITA/ITA UNIVERSAL 0602527408101 *THE UNIVERSAL MUSIC COLLECTION シリーズ、"Progressive Italia Gli Anni 70 Vol.8" 所収の一枚このころイタリアで活動していたらしいニコ・パパサナシューのプロデュース作。もともと寡作の人だが有名な前作から5年後の作品で、三作目にしてラストアルバムということになるようだ。バンドスタイルで、軽快なリズムにちょっと荒さというか投げやりな歌い方が魅力的だ。/SPAN>
MARJA MATTLAR
LUMI 96/CD/FIN FIN ISIS ISD962 *作詞作曲に歌とギターをやっていて、プロデュース、アレンジ、ベースが Pekka Pohjola だが、これといったペッカらしさが出ているわけではない。バンドにストリングスやカンテレも加わり、曲は素朴なフォークミュージック、声も素直な美しいもので、聞き心地のよい作品になっている。
THE BEST OF 97/CD/HUN/JPN VACK1146 *副題がザ・ヴォイス・オブ「イングリッシュ・ペイシェント」とあるように、映画公開にあわせて編集されたものだろうか。日本盤は3曲ボーナス入り。"Apocrypha" と若干曲は重複する。幅広い音楽性を持つ人だけに、こういうベスト版ではもとのアルバムごとのコンセプトがあいまいになってしまうものの、選曲のセンスはなかなかよく、楽しめる。
VITA, MORTE & MIRACOLI 89/CD/ITA/JPN KING KICP41 *キングから出ていた地中海コレクションの一枚。歌詞を担当することの多かったデアンドレとほぼ同じ時期に、表立った音楽活動から遠ざかった後、やはりデアンドレと同様に活動を再開して作られたのがこのアルバム。フラヴィオ・プレモーリのアコーディオンは、このアルバムを特徴付ける音になっている。明るく、暖かい作品。
QUEL LUNGO TRENO 05/CD/ITA/ITA EDEL ERE0165712 *ファブリツィオ・デ・アンドレとの共作でも知られるソングライターの新作(だと思う)。デアンドレのアルバムでも聞かれたアーリーアメリカンな雰囲気も暖かく、トラッド自作曲織り交ぜての好アルバムになっている。
MASSIMO RANIERI
OGGI O DIMANE 01/CD/ITA/AUT SONY 501998 2 *これは絶品。まずはデ・アンドレの "CREUZA DE MA" を髣髴とさせるような出だしから引き込まれます。哀愁こもった渋い曲、コミカルな弾んだ曲、いろいろあるのですが、いずれもナポリターナの名曲なのだそうです。本作はマウロ・パガーニがプロデュースとアレンジを担当、アレス・タヴォラッツィらとともにほとんどの曲に参加という豪華さ。パガーニのブズーキやバイオリンの響きをバックにしたラニエリの枯れと渋みと張りのある声はたまりません。
NUN E' ACQUA 03/CD/ITA/AUT SONY S4 510539 2 *ナポレターナ三部作の二作目。今回もパガーニのプロデュースとほとんどの曲への参加がうれしい。どこかで聞いたことある曲もあるのだが、はっきりこれとわかる曲はないのに、懐かしくて懐かしくて仕方がない気分になる。終わりの二曲でそれぞれ歌う女性ヴォーカルもすばらしい。気のせいかもしれないが録音もなんとなくノスタルジーを誘うような響きを作り出しているように聞こえるのだが。
ACCUSST' GRANDE 05/CD/ITA/AUT SONY 520161 2 *ナポレターナの名曲を歌う3作目もマウロ・パガーニのプロデュースと演奏参加。二曲目のノアとの掛け合いも花を添える。演奏も声も深みがあって、これまでの作品以上に濃密な味わいがすばらしい。
...BERLINO...PARIGI...LONDRA... 83/LP/ITA/JPN KING K28P422 *CMソングで好評の「愛のブルートレイン」が目玉。同タイトルのイタリア盤とはジャケットも違い、さらに「ローマの休日」と「私はビデオ」を加え、その分3曲削っているので、日本独自の編集盤ということになるだろう。
TANGO 83/LP/ITA/JPN KING K28P362 *アントネッラの超絶オペラヴォーカルに、エレクトロポップな演奏という、第二期マティアの絶妙な特徴が、遺憾なく発揮されたアルバム。どの曲も、一度聴いたら忘れられない。躍動感溢れる作品。
ARISTOCRATICA 84/LP/ITA/JPN KING K28P499 *日本盤は歌謡祭参加曲 "CERCAMI ANCORA" 追加でラッキー。もう15年くらい前になりますが、来日ライブいきましたけど、最高だったです。ドラムスやキーボードはもう圧倒的にプログレッシブな演奏で、洒落た曲のセンスと、アントネッラの声量と艶もナマでいっそうの迫力でした。
MELO 88/CD/ITA/JPN KING K32Y2132 *前作以上にメランコリーで、タイトルどおりメローな?アルバム。前作は、一つ一つの曲には別に不満は感じないのにアルバムとしては何となく停滞感のようなものを感じたのだけれども、それが本作ではゆったりとたゆたうような浮遊感に昇華している。アントネッラの歌に挑発や攻撃はなく、誘い込むように説得的に聴こえる。この時点では確かな新境地を開いていたといえるのではないか。
RED CORNER 89/CD/ITA/JPN KING 292E2066 *このアルバムは前作や前々作よりも好きだ。プロデューサーがかのマウリツィオ・ファブリツィオになったせいか、マッラーレの曲が増えたせいか、あるいはその両方だろうか、ポジティブというか明るい雰囲気がある。もっとも、アントネッラはこれで脱退してしまうわけだけれども。
THANKS FOR FLYING WITH US 05/CD/SWE/USA CUNEIFORM RUNE215 *ついにキュニフォームからのディストリビュート、またMATS/MORGANの名前を残しつつBANDを謳う、さらにアンサンブル重視の超絶技巧。めくるめく、という形容語がまさにぴったりの、変幻自在ながら音楽的な豊かさにあふれた作品。・・・うーん、なんていいつつ、彼らの音楽は紹介が案外難しいんです、テクニカルであることは大いに強調したいのだけれど、それでも叙情性もかなり感じられて、聞き手との距離感があんがい近いんですね。まだの方はぜひお試しください。
MAU MAU
VIVA MAMA NERA 96/CD/ITA/ITA EMI 83768325 *ワールド系では案外知られているのかも。演奏も歌も達者でとにかく面白いのだが、どんな音楽なのかちょっと比べるべきものが僕の守備範囲には見当たらない。イタリアの不思議な無国籍的ラテン系?音楽バンド、とでも言おうか。ラテン系ったって、いわゆるラテン音楽と思って聴き始めると、意外な展開に驚いたり。イタリアなんだからスペインやポルトガルじゃなくたってラテンなのは当たり前といえば当たり前だが。
MAURIZIO ARCIERI
TRASPARENZE 73/CD/ITA/ITA UNIVERSAL 0602527339597 *お買い得シリーズ "Progressive Italia Gli Anni 70 Vol.5" 所収。のちにKRISMAというニューウェイブバンドを結成した人ということだが、そのバンドも聞いたことがないから何とも言えない。Alan Sorenti や Mauro Pelosi や Claudio Rocchi あたりの、暗さや浮遊感に通じるものがあるものの、それほどの悲壮感やサイケデリックさはなく、わりとしっかりとした歌い方で聴きやすいが、エコーがキンキンにかかっていたり、ドラムスがパンでくるくる回ったり、ときおり(わざと?)リズムがクタクタになったり、と、いかにも70年代イタリアにありがちなけれん味を効かせた展開は、当時のプログレファンにグッとくるものを持ち合わせているといってよいと思う。
MAURIZIO FABRIZIO
AZZURRI ORIZZONTI 75(10)/CD/ITA/ITA UNIVERSAL 0602527431918 *THE UNIVERSAL MUSIC COLLECTION シリーズ、"Progressive Italia Gli Anni 70 Vol.7" 所収の一枚。ファーストソロ。一曲目のカントリー調のポップな感じに、まずとまどうのだが、わずか6曲22分しかない中に、しっとりとした歌モノや一癖あるアレンジの曲が印象的で、これからどうなるのか期待十分の作品だっただろう。歌も演奏もアレンジもたいへん丁寧なつくりだ。
MOVIMENTI NEL CIELO 78/CD/ITA/ITA UNIVERSAL 0602527382432 *お買い得シリーズ "Progressive Italia Gli Anni 70 Vol.6" 所収の一枚。ロックバンドにオーケストラのオールインスト。正直なところ、ニュートロールズのコンチェルトグロッソのような、中途半端なクラシックロックのような、イージーリスニングのような、ロックバンドとオーケストラの競演!みたいなやつは、私はあまり楽しめないのだ。ストリングスで盛り上げたりエレクトリックギターで弾きまくる泣きのメロディーとか、どうも苦手だ。とはいえ、この作品は、イントロなどの古楽風の展開や、生ギターのアンサンブルなど、はっとする部分が確かにある。テクニカルな聞かせどころも多いし、この手の作品にしてはバンドとオケの融合度がかなり高いから、幻の非CD化作品だっただけに、この6枚組で手に入れるのなら十分にその価値はあるだろう。
PRIMO 79(10)/CD/ITA/ITA UNIVERSAL 0602527419701 *THE UNIVERSAL MUSIC COLLECTION シリーズ、"Progressive Italia Gli Anni 70 Vol.8" 所収の一枚。このアルバムはなかなか好印象で聴いた。カンタウトーレものとしてメロディがよいし、軽快でテクニカルなバンド演奏も聴きごこちがよい。アコーディオンがはいったり、地中海風だったり、味つけも見事だ。個人的には "Rosso l'ottobre" はツボ。センチメンタルな名曲だ。
LA STAGIONE PER MORIRE 72/LP/ITA/JPN EDISON ERS28021 *アラン・ソレンティのアリアやエマニュエル・ブーズのセカンドあたりに親和的な人向き。情感過剰気味で、何せテーマが自殺に至る心境を歌うというのだから、歌詞が分からないのがむしろほっとするようなものである。メロトロンの音は楽しめるでしょうが。
IL SIGNORE DEI GATTI 79/CD/ITA/ITA UNIVERSAL 0602527339610 *超お買い得シリーズ "Progressive Italia Gli Anni 70 Vol.5" 所収の一枚。このアルバムは4枚目になるようだ。ファーストアルバムしか聞いたことがなく、暗い重いと言われればまあその通りだなと思っていたのだが、このアルバムに関する限り、やや暗くはあるが、重くは感じない。ギターやバンジョーやハープでカントリーな雰囲気があって、ルーチョ・ファブリのバイオリンやクラウディオ・パスコリのサックスも、哀愁のある音なのに、仕上がり的にはむしろファンキー風味を添えていたりする。どうしてもアメリカナイズしきれない、不気味なイタリアン・カントリーとでもいったらよいのか。
MAXOPHONE(Italian version) 75/CD/ITA/JPN KING KICP2222 *英語で歌うドイツ盤のほうは当時手に入れていて、もっとも気に入っていたアルバムの一枚だった。20年以上経って、イタリア語版の再発CDが中古で安価で落ちていたのを購入、久しぶりに聴いた。ブラスが入っているところが特徴だが、いわゆるブラス・ロック風ではなく、クラシックやジャズの楽理を踏まえて、緻密に作曲され演奏された端整な印象の作品である。PFMなどの場合英語とイタリア語でずいぶん雰囲気が変わるように思うのだが、マクソフォーネではあまりそういう感じがしない。楽曲があまりにも完成されすぎていて、言語のニュアンスの違いなどは際立たないのだろう。この完成度の高さは、ロックのものではないかもしれないが、かと言ってユーロプログレの範疇でここまで仕上がった作品がまれなのもまた確かであり、それゆえにアルバムとしてはこれ一作で終わってしまったのかもしれない。
FROM COCOON TO BUTTERFLY 05/CD+DVD/ITA/ITA BTF VM100 *別テイク、未発表曲のCDに、すっかりおっさんになったメンバー二人のインタビューを挟んで当時の映像と再結成ライブ映像が見られるDVDセットという、まさかの発掘モノ。音も映像もよいし、言うまでもなく曲作りが上手いので楽しめるが、かつてのアルバムの名曲を超える何かがここにあるかというと難しいところだ。
TERRA DI FUOCO 10/CD/ITA/ITA CNI CNDL23718 *MBL とは MUSICISTI BASSO LAZIO の略称。このアルバムにはエウジェニオベンナートも参加している。名前からしてそのまま、南部ラツィオのトラッドをもとに、実にダイナミックで聴き応えのある演奏を聞かせる。哀愁味の強いメロディをがっちり支える歌に圧倒される。
MEDINA AZAHARA
LAS PUERTAS DEL CIELO 14/CD/SPA/SPA MANO NEGRA SENADOR CD95013 *懐かしいスペインのプログレハードなバンドのアルバム。結成30周年記念アルバムなんかも出していたようだ。このアルバム、出だしが非常にエスニックなので展開に期待するのだが、演奏が始まれば、いかにもなハードロックの演奏になる。ベテランだけあってよく練れた音だし、そういう意味で完成度は高い。
MEDITERRANEA
ECCE ROCK LP/ITA/JPN KING K22P186
MELLOW CANDLE
SWADDLING SONGS 72/CD/GBR/EC SEE FOR MILES SEECD404 *ブリティッシュ・フォークの名盤(何でも「三種の神器」と呼ばれるうちの一つなんだそうで・・・まあトリニティみたいなもんですかいな)という評判の高い作品。楽曲も演奏も楽しく美しく気品があり、なるほど佳品。古びた感じはしません。
MEMORIANCE
ET APRES 76/LP/FRA/FRA WEA 913084
MEZQUITA
RECUERDOS DE MI TIERRA 79/CD/SPA/JPN KING KICP-80 *ハードプログレ系の音で、それとなくイエスの影響を感じさせるのはスペインのこの手のバンドの常だが、その感じはどちらかといえば薄いほうかと思う。がんばってテクニカルな演奏をくりひろげていて、音作りや技術的にはちょっと荒さも感じるものの、その分、創造的な意欲や熱さはなかなか魅力的。スパニッシュなメロディをエレクトリックギターでかき鳴らすというのは盛り上がるものです。
MIA MARTINI
UN ALTRO GIORNO CON ME 75(01)/CD/ITA/ITA BMG 74321 765042 *明るくさわやかなメロディと、心憎いほど工夫の凝らされたアレンジに載せて、高音まで軽やかなままに張りを失わない声は、今でも新鮮で心洗われるようです。リマスター盤の音質はあまりにも美しく生々しく、最後の曲を聴きながら早すぎた逝去を思うと、胸が詰まります。
LA MUSICA CHE MI GIRA INTORNO 94/CD/ITA/ITA RTI 1070-2 *まずこのジャケットデザインが秀逸。セピアとまでは行かない品の良いベージュと、やや褐色がかった黒の取り合わせで、左右対称のポーズをとったミアを撮った写真が、まるで後頭から腕が生えてでもいるかのような錯覚を見せたり。その手の意外なほどのごつさにミアの宿命を重ねてしまったり。中は片面6ページ分、空を飛ぶミアの航跡のように文字が渦を巻いていたり。今更ながらにあれこれと想像をめぐらせてしまうアートワークが見事です。もちろん歌のほうは、繊細にひび割れたミアの声に、抜群の腕前のバック陣の音は完璧です。曲のほうもおなじみのフォサティはじめダッラ、デアンドレ+ブボラ、ベンナート、ロッシ、デグレゴリ等と、錚々たる顔ぶれの名曲が並び、独自の世界を彷彿とさせます。
MICHAEL NYMAN
LIVE CD/GBR/JPN EMI VJCP25142 *これ、いつ聴いてもいいです。ピアノと弦楽、ミニマルとアラブ。
THE MAN WHO MISTOOK HIS WIFE FOR A HAT 88/CD(w/ booklet)/GBR/NLD CBSMK44669 *これはチェンバー・オペラなので、クラシックのコレクションに入れるべきなのだが、マイケル・ナイマンによる、しかもオリバー・サックスの『妻を帽子とまちがえた男』(サックスについてはここを参照)のオペラ化作品なのであえてご紹介。曲想はいつものナイマン調で、詞もブックレットになって付いているので、ナイマンが好きな人にはかなり楽しめると思う。
MICHALIS TERZIS
APHRODITE ERA 95/CD/GRC/AUT ARC EUCD1310 *「有名なギリシャの作曲家」とジャケットにでかでかと書いてあるので(笑)、ちょっとヤバイかなと思わないでもなかったのですが、安かったので興味本位で手を出してしまいました。能天気なメロディにズンドコズンドコ刻まれるリズムが飛び出して、最初の数曲は「やはり・・・」と思いましたが、途中からなかなか、面白い作品だと感じるようになりました。民族楽器も多用され、ドラムの入らない曲はトラッド風でいい味出してます。
GALICIA NO TEMPO 90/CD/SPA/USA GREEN LINNET GLCD3073 *ガリシアントラッドの大御所。オリジナルとはジャケットが違うアメリカ盤なので、もしかすると中身も違ったらごめんなさい。ガリシアの文化史を四つの時代に区切って構成したという作品で、曲はもちろんクラムホルン、オーボエ、ハープ、バイオリン、イリアンパイプなどなど楽器の響きも絶妙に美しく、センス的にはプログレマニアも脱帽するであろう稠密な音作りとアンサンブルに感動。大傑作。
IACOBUS MAGNUS 94/CD/SPA/SPA DISCMEDI DM048CD *THE ENGLISH CHAMBER ORCHESTRA との共演。解説がスペイン語なのでもし大誤解でしたら御容赦ですが、おそらくこれはスペインの守護聖人にしてサンチアゴ・デ・コンポステーラ巡礼由来の大ヤコブ(サンチアゴ)に因んだコンセプトアルバムかと。ミジャドイロのどちらかというと静謐さを漂わせる演奏にあわせて、オーケストラの演奏も翳りに富むもので、深い歴史と悲劇、それに苦難の果ての成就を思わせます。奥行きのあるアルバムです。
AS FADAS DE ESTRANO NOME 1 96/CD/SPA/JPN TOKUMA TKCB70842 *志摩スペイン村のイベントでの来日記念盤として出された本作が、初の正式な日本盤ということになるらしい。といっても、もともと本国では二枚組で出たものの一枚目だけ、という強引な?一枚ものだそうで・・・。ライブでありながら、演奏は繊細さや緻密さを失わず、むしろ暖かな雰囲気でより一層、のどかな調べでありながら感じさせられる奥行きを深めている。特にラストを飾るタイトル曲の美しさが印象に残る。
AS FADAS DE ESTRANO NOME 2 96/CD/SPA/JPN TOKUMA TKCB70980 *というわけで本国では二枚組だったのを二分割した後半が、無事日本盤でも登場していた。大曲の "GALLAECIA FULGET" で始まる。美しく素朴なメロディが、哀愁味たっぷりのアコースティックな楽器によって繰り返され、近づいては遠ざかっていくこの曲は、まさにガリシアの歴史を語る無言の叙事詩のような深さだ。あらためて、二枚通して聴いてみなければ。
25 05/CD/SPA/SPA GALEGO DM4050-02 *タイトルどおり、ミジャドイロ活動25周年記念アルバムで、過去の名曲の数々の再演のようだ。美しいメロディにアレンジ、余裕のある深みのある演奏はさすがだ。カリカントの女性ヴォーカルもゲスト参加している。
E DINTORNI 82/CD/ITA/JPN KING KICP395 *PRODOTTO DA FRANCO BATTIATO と副題に付された、バッティアート作品集で、アレンジもバッティアートとピオ。バックバンドには、ギターにラディウス、ベースにドンナルンマなど。非常に個性の強いもの同士の組み合わせなのだが、素晴らしい出来。バッティアートとの組み合わせといえばアリーチェと比べると、声質は似ているようでいて、深みというか厚みが圧倒的で、さすが大御所の貫禄。
VENTO D'AMORE 95/CD/ITA/JPN KING KICP489 *ギリシアの有名な作曲家らしいタノス・ミクルティコスの曲を歌う作品集。94年ギリシア録音ということだが、年齢は50台半ばということになるから、まずはこの妖艶な容姿と歌声に驚愕。イレーネ・パパス以外にはギリシアの歌はあまりしっくりきたことがないのだが、ミルヴァの歌ということで親しみを覚えながら聞いた。M6の民俗風の曲の哀愁はすばらしい。それにしても迫力がある。ロマンティックな雰囲気の歌にも情感というよりは鬼気のようなものを感じてしまう。
EL TANGO - live at BOUFFES DU NORD 84/CD/ITA/JPN KING KICP641 *ミルバとピアソラである。こういう作品を聴くのは怖い。その熱情に絡め取られてしまっているしばらくの間は、ほかのアルバムがまるで別次元のものに聞こえてしまうのである。静かに熱が冷めるのを待つほかはない。舞台も凄いらしい。ビデオもあるし、来日公演も素晴らしかったらしい。
LIVE IN TOKYO 1988 10/2CD/ITA&ARG/JPN BOUNDEE DDCB-13012/3 *黒川芽以がかわいいのでときどき見てしまうNHKの『名曲探偵アマデウス』で、ピアソラのリベルタンゴが取り上げられていて、そういえばこのアルバムが出ていたと思いだした。1988年6月、中野サンプラザ公演の全曲収録の2枚組、もとはカセット録音の発掘音源ということだが、元の録音もかなり良いものだったと思われるが、今の技術はすばらしく、20年以上前のライブとは思えないほど申し分のない音質に仕上がっている。ミルバの声は若々しく瑞々しく、ピアソラ五重奏団の演奏は極まって、ピアソラに疎い私でもこの熱情と悲哀の時には精妙な、時には激越な交錯の前には、ただただ圧倒されるばかりである。解説も対訳も充実した分厚いブックレットも読み応え十分で、ピアソラ初心者にもありがたいです。
MIMMO MOLLICA
VINNI CU VINNI 78(10)/CD/ITA/ITA UNIVERSAL 0602527435534 *THE UNIVERSAL MUSIC COLLECTION シリーズ、"ETHNO FORK ITALIA GLI ANNI '70" からの一枚。シチリアのトラッドを歌う。それほど重苦しくない、温かく渋い声がすばらしい。たぶん、有名な歌手なのだと思うが、ファブリツィオ・デ・アンドレや南イタリアのトラッドが好きな人は、間違いなく気に入ると思う。プロデュースはニコ・パパサナシュー。
MINA
...QUANDO TU MI SPIAVI IN CIMA A UN BATTICUORE... LP/ITA/ITA PDU PLDA5030
MINANTOLOGIA 97/2CD/ITA ITA EMI 7243 8 33225 2 7 *68年から72年までの録音から、ライブ5曲を含む全23曲のベスト。ミーナはこの手のアンソロジーが山ほど出ているので、特にこの作品を選ぶ理由もないのだが(ジャケットのデザインも面白いが、これまた他にも面白いのが結構ある)、私がついこだわってしまうモゴル&バッティスティも5曲あるかと思えばイエスタデイもあるし、ライブの迫力もなかなかで、楽しみも聴き応えも十分。さすがに音的には古臭いのだが、この貫禄には抵抗できません。
DALLA TERRA 00/CD/ITA/ITA PDU 4996212 *ずいぶんと久しぶりに買ったミーナのアルバム。エンボスの外箱には切り込みがあるのだが、中がどうなっているかはちょっと見えにくい。で、引っ張り出してみると・・・あらら、という・・・実際の仕掛けはお買い求めになってお確かめ下さい(^^)。ミレニアム記念の聖歌集といっても、たとえばアリーチェのなどはいかにも今のアリーチェの味わいだったが、さすが大御所、曲や演奏形態も様々で、手間隙がかかっている。もう60歳で、アレンジは息子(ミュージシャンであるマッシミリアーノ・パーニ)。どの曲も安心して、かつ円熟味を堪能できます。
MINA & ADRIANO CELENTANO
MINA CELENTANO 98/CD/ITA/ITA RTI90012 *ミーナとアドリアーノ・チェレンターノ・・・二人とももう60歳くらいなんですが・・・この奇抜で愉快なアートセンスがぴたりとはまってしまう若々しさはどこからくるのでしょうか? バラエティと厚みのあるプロダクションの見事さは言うまでもありませんが、コミックと写真集のブックレット状のジャケットの楽しさもさりながら、歌そのものがまた円熟というよりは明らかに瑞々しいと言うべき仕上がりに、唖然とさせられます。
REAL LIFE GAMES 77(04)/CD/ITA/KOR M2U 1019 *韓国M2U発掘の紙ジャケシリーズ。こんなものがまだまだ埋もれているのか。といっても、ワタシが手を出したのはダッラリオ、テンペラのイルヴォロつながり故。中身は、暗めで重め、思い入れたっぷりに英語で歌い上げるタイプ。ジャケットの絵、内袋のエゴンシーレの絵が、タイトルどおりのこの歌の内容をあらわしている。さすがにバックの演奏は濃いが、当たり前と言えば当たり前だがこの歌手の個性が強く出ている。たぶんアランソレンティやエマヌエルブーズあたりのセンが好きな人向け。ブックレットには歌詞のほか韓国語の解説と、BTFのMATTHIASによる英文解説がついていて親切。
MONA LISA
L'ESCAPEDE 74/LP/FRA/FRA ARCANE 87015
GRIMACES 75/LP/FRA/FRA ARCANE 913050
LE PETIT VIOLON DE MR. GREGOIRE 77/LP/FRA/FRA CRYPTO ZAC6402
AVANT QU'IL NE SOIT TROP TARD 78/LP/FRA/FRA CRYPTO ZAL6440
DE L'OMBRE A LA LUMIERE 98/CD/FRA/FRA MUSEA FGBG4251.AR *モナリザ復活! ドミニク・ルグネのヴォーカルにヴェルサイユがバックを務める。確かにこれは、アンジュ、モナリザ路線を継承する作品としては、もっとも充実した作品であって、聴き応えも十分。何か物足りないとすれば、やはり私にとってはアンジュのマンダリンは別格の存在なので、どうしてもそれとの比較でこの手の作品を聴いてしまうからだ。そうなると、この作品は出来上がりがきちんとしすぎている(笑)。旅の楽士のような胡散臭さが欲しくなってしまうのだ。
MOOGG
ITALIAN LUXURY STYLE 16/ITA/ITA MELLOW MMP532 *なかなかかっこいいジャズロック。カンタベリー寄りの音だが70年代イタリアのジャズロック的なクールさもあって、曲のバリエーションもあってたいへん聴き心地がよい。テクニック的に超絶まではいかないし、リズムにもうちょっとキレが欲しいところもあるが、イタリアのジャズ系プログレの伝統を受け継いだ快作。
MORGAN
NOVA SOLIS 72(04)/CD/ITA/ITA BMG 82876 646662 *BMGイタリア紙ジャケシリーズもさらに充実、今度もマニアックなラインナップで財布の紐を緩めさせてくれちゃいます。この作品は結構有名だが、私はなんとなく聴きそびれていた。イタリアというよりはやはりブリティッシュなキーボードプログレというべきで、さすがにSEは古臭く感じるとはいえ、英語のヴォーカルやスッキリとしたメロディライン、シンプルだがタイトなリズムで、70年代初期のプログレとしては洗練した音が楽しめる。リアルタイムで聴いていればけっこうはまっていたであろう一枚。
MUNJU
HIGH-SPEED KINDERGARTEN LP/DEU/DEU APRIL 00012
MUSEO ROSENBACH
ZARATHUSTRA 73/LP/ITA/JPN KING K22P280 *イタリアン・ヘヴィ・シンフォの名盤。もっとも僕の好きなジャンルでは決してないのだが、この演奏や録音の粗さがかえって味わいになっている気がする。クリムゾンとかオサンナとかを思い出すかな。
MUSICA URBANA 76/CD/SPA/SPA PDI 80.3331 *スペインのジャズロックとしては、きわめてカンタベリー的なものを感じる。カンタベリー的とは、ジャズロックとしてはテクニックがどんなにあっても露骨にテクニカルという印象は与えず、ユーモアあるいは気さくさがしっかりと作品を引き立たせていることではないだろうか。隙が無いのに肩の力を抜かせてくれる。パーカッションや管の間合いがとても楽しい。ちらりとスペインらしいギターの音も聞こえる。
IBERIA 78/CD/SPA/SPA NUEVOS MEDIOS NM15645CDM *これはずっと探していたアルバム。リアルタイムで友だちに聴かせてもらってすっかり気に入っていたのだが、20年ぶりに再会。タイトルに反して意外にスペインは感じないのだが、カンタベリー系のセンスとテクニックに、サウンドトラック的な映像感と言うか色彩感を加えた、インストのジャズロックの大傑作。
MUZSIKAS
BLUES FOR TRANSYLVANIA 91/CD/HUN/USA HANNIBAL HNCD1350 *ハンガリーのバンドとして良く知られたムジカーシュは4人のフィドル&ベースにマルタの歌で伝統的なトランシルバニアの歌を伝える。これはアメリカ向けコンピレーション盤であろう。軽快な舞曲もしっとりとしたバラードにも、波乱の民族の歴史が重みを加えているようだ。