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Japanese Pop / Rock A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T U V W X Y Z others
Chinese Pops  Japanese Pops
Alice  AREA / ARTI + MESTIERI  Franco Battiato  Lucio Battisti 
Eugenio Bennato / NCCP / MUSICANOVA  Roberto Cacciapaglia 
Fabrizio De Andre  FORMULA 3 / IL VOLO  P. F. M.  Mike Oldfield 
GARMARNA / HEDNINGARNA  SAMLA MAMMAS MANNA 

 あまり日本の音楽を聴かなかったので、そんな中でごくわずか好んで聴くアルバムを紹介していましたが、知人や息子がバンドをやっている関係やお勧めで、ライブに行ったり、聴くことも増えてきました。そんなわけで、古い感想のページはこちらに切り離して、比較的最近のものをアイウエオ順に整理しました。


AIOI, "USUI" TADASHI  aioi usui
PICNIC 94/CD/JPN/JPN CHI 10
*考えてみればリンクのページで紹介しておきながら、これまで AIOI USUI をリストに入れていなかった。CDは通算10作目のこの一枚だけだが、カセットはもうずいぶんたくさん出ている。「サイバーパンク義太夫」と表現されるとおり、エレクトリックでときどき調子っぱずれなギターサウンドと、じんわりと効いてくるボーカルが絡む。これにいろいろなバックや女声コーラスがまとわりついたり、コラージュが貼りついたり。曲も歌詞もとても不思議で美しい。いつもながらパッケージのガジェットも楽しい。メロディがこわれてくると、僕の知っている範囲では AREA の "CAOS II" みたいな感じになってきて、僕にはちょっときついのですが(^^;。その辺りもひっくるめて、AIOI USUI の顔かたちがいろいろな角度から浮かび上がる作品です。お問い合わせは こちら
OUTTA U MA(VERY BRIEF) 97/3MT/JPN/JPN CHI 11
*最新作『あっという間』は、カセット3本組という、意表を突くセットもの。「石」(C20)・「砂」(C46)・「土」(C60)と名付けられたそれぞれのテープは、「シングル」・「アルバム」・「ライブ」という位置づけになっている。「石」の4曲は、とりあえずポップスかもしれない。ビートもことばも、追いかけやすいから。でも「砂」になると、ことばが(いつものように)さまよいはじめて、追いつこうとすると身をかわしはじめる。・・・あ、曲がかっこいいです、C1とか。・・・と思うと、D面のこわれ方は激しい。これはやっぱりすごいねえ。この「砂」は、僕の範疇では「かなりプログレ」です。ライブの「土」は・・・突き抜けています。ここまで聴いて、カセット3つの意味が分かってきました。途中で「一回休み」や「スタートに戻る」や「サイコロふり直し」をしながら3コマ進んで上がりなんですね。突き抜けた音楽はどこへ行くのでしょうか。むしろそれはすでにあちら側にいて、こちら側に激しく突き抜けてくる場合もあるので、油断なりませんが。
RED SKY 01/CDR/JPN/JPN CHI 13
*相生雨水によるとこれはテクノなのだが・・・テンポが硬いから? M1やM7の、ちりちりと煎るように叫ぶギターにピクニックのヴォイスは、真昼の夜空のような不思議な絵を見せる。ベルギーのCOSなどのセンスを感じるのだが、ことによるとイデオロギー的にも通じるものがあるとしたら面白い。サックスが絡むM2や、リズムもギターもおちゃらけたM4など聴きやすい曲に魅力を感じるが、M2やM6などの壊れ方もあいかわらず隙だらけだからこその緊張感が漲っていて恐い。
доброе утро(dobroe utra) 03/CDR/JPN/JPN CHI 14
*”騒々しいアクリル”はいつもかっこよくてすごくうれしくなる。どんなにじんわりと来る歌やコーラスを入れても、爆音と壊れたリズムを欠かさない律儀さ。mikey のヴォーカル曲、藤本氏による般若心経、平岡氏のテクノトラック、なつかしい(といってもメンバーは入れ替わっているらしいですが)PICNIC のコーラスなど、いつにもましてなにが出るか分からないハズレなしの福引はどれが一等賞品とも決められない面白さです。今回のパッケージも面白いので、ぜひ手に入れてください。
GaLakUta
ここには何もない 06/CDR/JPN/JPN GAL001
*畏敬するAIOI USUIから新作が届きました。chiレコードの連番ではなく、バンド "GaLakUta" としてのデビュー作になるようです。USUI AIOI(g,vo), PETER FUJII(b,vo), KUNIO TANABE(d, back vo)の3人組。曲作りは AIOI と FUJII が担当。アヴァンポップを名乗りバンドスタイルになった分安定感を増しながら、ゴリゴリの重い音とひねりの効いた歌詞はさらに思索的かつ攻撃的で、現在と常識と停滞を衝きまわします。お問い合わせはこちらへ


aomune 
君のミュージック 07/CDR/JPN/JPN IND1560
*東京農工大OBによる4人組のバンドの自主制作2作目らしい。東京を拠点に最近では関西でも精力的にライブをこなしているようだ。このような自主盤の水準からしてどうなのか、他をよく知らないのだが、タイトなリズムに支えられたバンドの演奏の手堅さ、音や和声の凝りようはなかなかのもので、一曲一曲に確かな個性がある。肌触りのよい歌詞も好ましい。緻密なプロダクションが加われば結構な仕上がりになるのではないだろうか。スリーブのアートワークもなかなかきれい。ディスクユニオンで扱っている。詳しくはサイトで。
WONDERFUL WORLD 08/CDR/JPN/JPN
*新曲 "Wonderful World" に、3/14下北沢モナレコでのライブ2曲を加えたシングル盤。ライブ会場でのみの販売のようだ。CDとしては現在のベーシストになって最初のものになる。タイトル曲は複合リズムの前奏がちょっとプログレ風で気持ちいいところに、いつもの親しみやすいメロディに切り替わる。ライブは私も聴きに行っていた時の録音で、くつろいだ演奏ぶりが楽しい。いつもながら涼しげなアートワークもバンドのカラーを醸している。フルアルバムを気長に待つ。
AOKI KEN
AOKI KEN 12/CD/JPN/JPN BMAK0001
*久しぶりに出会った音。aomuneを聴きに行ったのは、下北沢のモナレコだったかと思って調べてみると、もう6年以上前。サイトによるとバンド活動停止後も、いろいろな音楽活動を続けているようだ。ソロアルバムとしてはこれは1枚目に当たるらしい。「想い出す頃」はaomuneでも歌っていた歌だろうか、インストも含めて13曲の、アコースティック主体でやわらかで透明感のある音響に淡いボーカルが繊細ではかなくも美しい。近く2枚目も出るらしく、楽しみである。


赤い公園
猛烈リトミック 14/CD+DVD/JPN/JPN UNIVERSAL TYCT69023
*赤い公園を最初に聞いたのは、昨年のつくばロックフェスティバルだった。背も一人高い佐藤が、体格の割には繊細な声で丁寧に歌っている姿が印象的で、男前のボーカルだなあ、と思ったことをよく覚えている。それで気になって、今年5月のVIVA LA ROCKでもしっかりと聴かせてもらって、8月のJ-WAVE813でも楽しませてもらった。ワンマンではないのだが案外、自分としては生で聞く機会の多いバンドということになる。それだけ、気になるバンド。SMAPにも楽曲提供している津野の才能が、それぞれに個性的なメンバーと、蔦谷好位置や亀田誠治などのベテランのプロデュースと三つ巴になって、はじけた作品になっているよう。最初聞いた時はしょっぱなの「NOW ON AIR」で爽快な気分になり、「ひつじ屋さん」がやっぱり好きかなあと思いつつ、最後の「木」で打ちのめされてもう一度はじめから聴きたくなる。DVDもミュージックビデオ2本に情熱公園ではメイキング映像も。どれも楽しいがとりわけジャケ写のメイキングが超カワイイ!


阿佐ヶ谷ロマンティクス
街の色 17/CD/JPN/JPN P-VINE
*都会的なポップス感覚と、手の込んだ音作りが混ざり合った、聴き心地がよいだけでなく時おりハッとさせるひらめきを感じさせる曲が魅力的なバンド。女性ボーカル含めての6人編成(現在正式メンバーは5人らしい)は、余裕と厚みのあるバックを形作って、中音域が安定して癖のないボーカルを支えている。紙ジャケCDのデザインがまたカワイイ。


ATLANTIS AIRPORT
A [ ] PASSPORT EP+2 14/CDS/JPN/JPN AAIN001
*RO69JACK優勝アーチストということで「映画の中の出来事」を耳にして、すぐに気に入ってしまった。吉祥寺のタワレコに寄って聞いたら、まだ池袋店にしか置いていない段階だったみたいで、結局オンラインで注文した。歌詞が凝っているというかフランス語から日本語まで言葉選びのセンスが独特で、ストーリーよりは音と意味の遊びがいきいきとしていて、声もまろやかで、でもビデオ見たら小学校の音楽の時間の指揮者みたいな振りも面白くて、ヴォーカルのsoneにはすぐに惚れた。y0denのキーボードもキレや響きがとても心地よい。アートワークも美しくて、この紙ジャケットのCDは見ているだけでも楽しい。お洒落と言ってもよさそうなんだけど何か違う、癖というか、棘まではいかないざらつきもあって、なかなか他に似ているバンドがないと思う。フルアルバム早く出してほしい。
a [360°] Cosmic Flight 15/CD/JPN/JPN ROJR-0039
*待望の新譜! 3種類のリミックスがタワレコ、HMV、ビレバンそれぞれの特典として付く。うっかりしてHMVの申し込みを忘れてしまったが、2種類は入手して楽しんだ。収録5曲のうちラストは "AnTi pOp ARt" のRO69JACKバージョン、オープニングの「光と影の間」や二曲目の「ナイト・オン・ザ・プラネット」などはライブでもすでにおなじみなので、ちょっと曲数的に物足りないかなと思いつつ聴き始めたものの、そんなことはなかった。まずは先行配信済みの「光と影の間」のミックスが変わっていて、プレーンなチャーチオルガンの厳かな響きに震える。タップエコーなどの効果も加わり、新たな驚きに満ちている。SF仕立ての歌詞、イエスのアノ曲のアソコを演ってしまうオマージュなどの楽しみもうれしい。軽快な「ナイト・オン・・・」に続いて "Over The Rainbow" は、前半彼らの曲の中ではヘヴィな仕上がりで、各パートにも聞かせどころが仕込んであって、後半は一転して和やかなワルツ風の展開と、心にくい構成。それを受けての「アメノヒ」は叙情的なサビのある曲も加わって、レパートリーの幅の広がりを予感させる。トータルコンセプトを感じさせるドラマチックな構成で、魅力の凝縮したミニアルバムだった。バンドのこれからがますます楽しみである。
MARMALADE BUTCHER / ATLANTIS AIRPORT
REMBRANDT RAYS 15/CD/JPN/JPN MLBC-1001
*MARMALADE BUTCHER と ATLANTIS AIRPORT が交互に二曲ずつ入っている、スプリット・ミニアルバム。一曲目のマ肉の「降下する都市」には、sonezakiがボーカルで加わっているし、AAのサポートギターはステージでもマ肉のJ氏だから、両バンドの(昔風に言えば)「合作」というにふさわしく、更に特典盤にはにえぬによるAAの、およびよでんによるマ肉のリミックストラックが収められている。マ肉は、モテるインストがキャッチフレーズの(実際にモテているのかは分からないが)、テクニック重視のプログレリスナーには間違いなく受け入れられる超絶のツインギター&ベースバンド。AAは、ボノが抜けてしまったのでキーボードとボーカルの二人組。二つのバンドを足しても、まだドラムスが足りないくらいだから、いっそ一緒にやってしまえば良いようなものの、ここまでしながら「合同」はしないのは、それぞれのバンドの個性がとんでもないくらいに際立っているから。実際、「降下する都市」のsonezakiは、AAでは聴かせたことのないような独特のグリッチ感のある歌を聴かせている。AAの新曲は二曲とも、ステージのレパートリーを彩っていくだろう。スプリット・ツアーもこれから始まり、ますますバンド間の化学反応が強まって、新しい化合物を生みだすのではないかと期待が高まる。


AYUTTHAYA
GOOD MORNING 17/CD/JPN/JPN AYTY001
*太田美音の個性がいきいきとあふれだすギターロックの傑作。太田の声がとても良くて、ほどよく歪んだ楽器の音に交るとお互いを引き立てる感じで、オルタナロックにこういう言い方がなじむかわからないけれど、のびやかで心地よい。マイクロコズムで表現していたものが、4ピースのバンドを得てふくよかに広がったように感じる。かっこいい。ディスクユニオン特典のDVDもよい。ライブで聴きたい。


indigo la End
絵画と声CDR
青い、夕.epCDR
秘密の金魚CDR
さようなら、素晴らしい世界 12/CD/JPN/JPN SPACESHOWER PECF3018
夜に魔法をかけられて 13/CD/JPN/JPN SPACESHOWER PECF3038
あの街レコード 14/CD/JPN/JPN WARNER WPCL11748
*ゲスの極み乙女。と同時メジャーデビュー、ミニアルバム同時発売と、川谷の豊饒さはすごすぎる。ゲスが川谷の声かけで集まった、なんか面白いことやろうよ的なバンドであるのに対して、インディゴはメンバーの変遷を経ながらもじっくりと育ってきたバンドだ。課長が脱退して以来、ベーシストはサポートメンバーで入れ替わっているが、ギター・長田とドラム・オオタとの3人組の結びつきは堅く、スピード感のある曲の一体感が心地よい。今回サポートのベース後鳥の息もぴったり。メロディが美しいギターロックの爽快さを基調に、"billion billion" などのちょっと捻ったプログレッシブな疾走感や、「さよなら課長」を思い出させるアコースティックな「あの街の帰り道」、泣きのメロディとギターの「染まるまで」、『さようなら、素晴らしい世界』の「むだい」〜「素晴らしい世界」がここでは "mudai" 〜「アリスは突然に」というエンディングに転化して、といった具合で、一曲一曲がそれぞれの角度から切り込むように入ってくる。勢いに乗るゲス、一年ぶりという作り込みの濃さのインディゴ、同じ川谷のバンドでありながら明確な個性を持っている。
瞳に映らない 14/CD/JPN/JPN WARNER WPCL-11989
*後鳥が正式メンバーとなって最初のCDということです、ファンのほうもなんとなくその予感というよりはかなり確信に近いものがあったのではないでしょうか。たった4ピースなのに、4つ目のピースが見つからないパズルが、やっと完成したかのようです。ゲスもインディゴも、それぞれこの4人でなければ成り立たない。すごい二つのチームを率いているのですね。「瞳に映らない」は先行して公開されたMV、波瑠の演技が素晴らしいので(川谷はほどよくダイコンで、合コンシーンのちょい役メンバーの皆さんとあいまってホッとするところですが)、泣かされましたが、耳なじみの良いメロディがはかないストーリーと溶け合って、忘れられない歌です。「ハートの大きさ」(あえてカタカナの「ハートノオオキサ」、って最初書いちゃったのですが、これはiTunesに入れたときのデータベースがそうなっていたらしく、私の確認不足でした。すみません)、続く「シベリアの女の子」と、爽快なギターロックが楽しくて、シングルとしてはここまでの3曲で十分満足してしまうと思いますが、ここで7分近い大曲、「幸せな街路樹」をラストに持ってきますか! 最初のうち割と低めの音域が多いせいか、漠然とした不安を誘い、そこから展開する語りやギターソロが感情を波打たせ、重めというか厚く壮大なラストにつながる全体の流れがドラマティックそのものの名曲です。聴きごたえとしてはもうこれは、シングルを超えていますね。
さよならベル/SLY QUEEN 14/cds/jpn/jpn warner wpcl12037
*フルアルバム2月発売の公表とほぼ同時にリリースされたシングル。インディゴもゲスも川谷が集めたメンバーのテクニックはすばらしいのだが、ここへ来てこの2曲、全パート楽器の振る舞いがこれまで以上に、別次元といいいたくなるような躍動感ですごい。特に正式加入の後鳥とオオタとのリズム隊の暴れ具合が何とも印象的。シンプルに2曲入りでぶつけてきたのも自信の表れか。めざましテレビに出てきたのを見ていたら、クリスマスに失恋の歌をぶつけてみんな別れてしまえとコメントする川谷、いやいやこれを聴いてお互いを大切にしたいと思ってもらおうということで、とフォローする長田と、息もぴったりの様子がおかしかった。アルバムも、チケットを取った中野サンプラザのライブもひたすら楽しみ。
幸せが溢れたら 15/CD/JPN/JPN WARNER WPCL-12033
*ついに出たフルアルバム、ベースの後鳥が正式加入し、正式メンバー4人そろってのレコーディングと、これからのインディゴの門出となる作品ですが、結成以来のドラマーであったオオタが脱退となり、現在はサポートを入れてツアー中。この作品、正式なベーシストの加入がこれほどパワフルで、かつのびのびとした楽曲を生みだすものかと、一曲目から興奮させられっぱなしです。もちろん本質は変わらず、歌詞は基本、ラブソングで、メロディアスで、バンドの音はギターロックです。けれども遠慮ないくらいに主張するベースラインと音色とが、メロディと言うか歌を更にくっきりと際立たせるアレンジと音作りは、出色で、これまたインディゴの個性と思います。同じ川谷のバンドであるゲスの極み乙女。とは、明らかに違う色を持ちます(楽器ならともかく歌い手が同じなのに、はっきりと違うバンドになっているというのは、すごいことだと思う)。これまでシングルで聴いていた曲も、アルバムの流れの中に落ち着いている感じ。それにしても「瞳に映らない」はPVが忘れられなくて、いつになってもカラオケで歌おうとしても途中でじんわり来ちゃって歌えない(ちなみにゲスの「猟奇的・・・」は本人映像を見ていると課長の表情で笑っちゃって歌えない)。今後の展開、特にドラマーはどうなるのかということは気にはなりますが、川谷+長田の軸がぶれない限り、何れ落ち着くところに落ち着くと確信させられます。まずは中野サンプラザで、今のインディゴを楽しんでくるつもりです。
CRYING END ROLL 17/CD+DVD/JPN/JPN WARNER WPZL31341/2
*スケール感がとんでもなく増した!というのが第一印象。どの曲も大きく厚く深い。以前は男が歌うラブソングというのがもともと無理だったのに、インディゴを聴き続けているのは、もちろんゲス乙女つながりはあるわけだが、メンバーチェンジを経てパワフルかつ多彩な楽曲や演奏の魅力が増して、バンドサウンドがどんどん進化してきたところにある。長田ギターの緻密さはずっとバンドの要でありつづけているけれど、リズム隊がこのような超高密度にどっしりした音に塗り替えられるとは。私の好きなプログレ風味もところどころ、けっこう豪勢にちりばめられているのにも弱い。まさかの白玉メロトロンまで・・・。ココロネのQrionリミックス、そしてなんと夏夜のちゃんMARIリミックスなんてのも!12曲45分でお腹いっぱい充実の音楽体験。


宇宙コンビニ
染まる音を確認したら 13/CD/JPN/JPN COLUMBIA NBDL0008
月の反射でみてた 14/CD/JPN/JPN COLUMBIA NBDL0017
*このバンド、20代前半のメンバーで、演奏水準はとても高い。バンド名からもアートワークからも、プログレの香りが漂っているが、複雑なリズムのインストがわりと初期のイエスを彷彿とさせることがあって、もうオジサン的には涙目になりそう。しかも乾いた声の女声ボーカル。スリーピースでベースの女子がボーカルも取るのも、あっぱれとしか言いようがない。末恐ろしいバンドである。・・・なんて言っていたら解散とか! いろいろなサイトで2015年期待のアーチストとも言われていただけに、ライブ行けなかったのが残念でならない。


OTORI
I WANNA BE YOUR NOISE 14/CD/JPN/JPN CD95-62
*間違いなくこのタイトル通りの欲求は満たされている。ライブで初めて聴いた時に、コバラサエさんがあまりに怖いので(物販の時にはにこやかに対応いただいてどぎまぎしましたが)大丈夫かな(自分が)と思ったが、よく聞いてみると詞は案外分かりやすいのだ。そしてバンドの音がかっちりしていて上手い。パンクなのかオルタナなのか、suru communicationなど聞くと、レコメンデッド辺りの雰囲気でRIOフェスにいてもおかしくない印象。これは癖になる音だ。


katyusha
僕は僕の楽な方へ
YES 15/CD/JPN/TWN
I Like Me 17/CD/JPN/JPN P-VINE PCD-24678
*待ちに待ったカチューシャ全国流通盤! えつこはindigo la Endとゲスの極み乙女。のバックコーラスで知られるようになったとはいえ、カチューシャは彼女がずっと続けてきたプロジェクトで、これまでも自主盤を出してきていて、私は2枚持っているが、もう3曲入りの「YES」は何度聞いたかわからないし、ライブでお馴染の「泣きそうだ」も名曲だ。曲も詞も良いし、ほとんどスリーピースバンドのように息の合うリズム隊(dr.川野栄里子、ba.白神真志朗)の演奏もすばらしい。音的にはタイトなリズム、パーカッシブなピアノ、ちょっとハスキーな独特の声が魅力だし、曲も流麗さと不安げな響きがあいまった格調を感じさせるもの。このアルバムで言えば「We」などはプログレッシブなイントロから呪術的なボーカルのメロディと、ゾクゾクさせる盛り上がりがたまらない。あと自分はわりと歌詞は聴かない(聞こえていない)方なのだが、カチューシャはとりわけ歌詞に魅かれてしまう。あまり幸せそうじゃない「刺さる」詞だ。まあどれも良い曲なのと、知っている曲でよく分かるがさすがに全国流通盤、録音のクオリティが抜群。間違いなく愛聴盤になる。


キュウソネコカミ
10代で出したかった 12/CD/JPN/JPN EXXENTRIC RECORDS EXXREC-0001
大事なお知らせ 12/CD/JPN/JPN EXXENTRIC RECORDS EXXREC-0004
ウィアーインディーズバンド!! 13/CD/JPN/JPN EXXENTRIC RECORDS EXXREC0007
*他のバンド目当てで行ったライブの対バンで出てたの見て、音楽で飯は食えねえーと叫ぶこのバンドがすぐ気に入ってしまった。とにかくこのヤマサキセイヤの歌詞とMCのあらぶり具合が絶妙で、大笑いさせてもらえる。ツイッターなどでヤマサキセイヤのキャラクターを知れば知るほど、このバンドを好きになってしまう。携帯キャリア各社のTVCMをパロディにした(というかそもそもメロディがアレだし)「ファントムヴァイブレーション」のPVも傑作で、画質の良いのがほしくて特典DVDでついているからとわざわざヴィレッジヴァンガードでこのアルバムを購入したほどである。情報関連の授業で使いたいかも。DJ、バンドマン、ゲーマー、ボーナストラックでは就活がやり玉に挙がり、自虐も含めて言いたい放題、時には空芯菜の油いためがうまい、というだけの歌も混ざるが。それでこの楽しさは何なのか。1stミニアルバムと言っても、すでにフルアルバムを二枚出しているので、かなりの人気をつかんでいる。それでも帯の文句は「みんなメジャーに行きやがってえええ!!!」である。あとこのイラストもよい。やっぱりTシャツ欲しくなる。実にうまく、ファンの心をつかんでいる。インディーズのまま食えるようになってしまったらどうするんだ。
チェンジザワールド 14/CD+DVD/JPN/JPN VICTOR VIZL685
*ついにメジャーデビューしてしまったキュウソの、メジャー第一作は、先行公開された爆笑MV「ビビった」で「ウィアーインディーズバンド!」と言っていたことの禊を済ませて、あるがままで大躍進を続けるパワフルな一枚になっている。相変わらず元気にディスっているなあと楽しく聞きつつも、「what's your name?」 や「御法度」、「何も無い休日」を聞き直し、歌詞をあらためて読むと、ヤマサキセイヤはつくづく詩人だなあと思う。初回盤は2014年1月25日、渋谷クアトロでのライブ映像がたっぷり8曲入りのDVD付きという、文字通り大盤振る舞い。
ハッピーポンコツランド 15/CD+DVD/JPN/JPN VICTOR VIZL761
*期待のミニアルバム。ねずみくんのアートワークは今回も楽しいし、はいからさんの居眠り姿というポンコツな雑誌広告も傑作。「ギャラクシー」は事前に公開されたMVがまた良い出来で、ほろりとさせられる。楽曲はより緻密になって、技術的にもアレンジ的も明らかにグレードアップ感があるけれど、もともとの破天荒さは失われていない。そういう意味で愉快さでは「OS」、皮肉さでは「貧困ビジネス」(学生よく聞けよ)、感動では「なんまんだ」(前作の「何も無い休日」で味をしめたけどこれもセイヤさん弾き語りで聴きたい)と、どれも記憶に残る名曲かと。今回も初回盤はワンマンツアーのロードムービー風DVD付とサービス精神旺盛。
人生はまだまだ続く 15/CD+DVD/JPN/JPN VICTOR VIZL894
*そう言われないと気付かないが、フルアルバムとしては3年前の『大事なお知らせ』以来3枚目、メジャーでは初になるそうで、実際の活躍ぶりからすると意外に思える。ミニアルバムやシングル、配信が次々と出されるこのご時世では、フルアルバムとなると聴き手の要求も贅沢になると思う。このアルバムでも、シークレットトラックに加えて、「OTODAMA '15〜音泉魂〜」のライブ映像が収められたDVD、しかも副音声でメンバーのコメントまで聴けるという、ステキなオプションが付いていて、たっぷりと楽しめる仕掛けである。収められている楽曲のクオリティも当然ながら上がっていて、聴けばすぐキュウソとわかるペンタトニックのシンセのイントロや、上に抜けきらないのに賑やかなセイヤのシャウト、そして何が何でもダンサブルなリズムはそのままに、歌詞にもアレンジにも手の込んだところを見せて飽きさせない工夫が、思いっきり楽しませてくれる。MVの楽しさも相変わらずだが、やはり「泣くな親父」のヨコタの枯れ具合は最高。
DMCC REAL ONEMAN TOUR EXTRA!!! 2016 16/2DVD/JPN/JPN VICTOR VIBL-811-2
*BOWLINEのチケット先行販売目当てではなかったと言えばうそになるが、何せ私も妻もキュウソが大好きなので、思いきって購入。キュウソのツアーが面白くないわけがない。バックステージをたっぷり収めた2枚組、メンバー全員による解説音声も付いてまずは2倍楽しめる。スタッフを交えた手作り感あふれる小道具の数々や演出が支えるキュウソの全力ステージは、カッコつけていないのにカッコイイ。これこそが本当のカッコ良さ。


クウチュウ戦
超能力セレナーデ 16/CD/JPN/JPN RAMBRE CTCJ20044
愛のクウチュウ戦 17/CD/JPN/JPN PTA PTAL0001
*クウチュウ戦を知ったのは、イエスのコピーやっちゃうバンドといううわさを聞いたのがきっかけだったのだが、ライブに足を運んだりMV見たりしているうちに、それだけではもちろんないバンドの個性の強さ、超絶テクニカルな演奏にすっかり病みつきになった。しかもベントラーカオル、リヨ、西平由美子のキャラクターが強すぎて、ライブはほんとに怪しくも楽しい。CDの方は、まず「超能力セレナーデ」は意外にもリヨの歌のうまさをじっくり堪能できるアルバムになっている。ライブで「夢の中へ」を歌うくらい、井上陽水のような声で、ねちっこくまとわりつくような歌がすばらしい。新譜の「愛のクウチュウ戦」、リード曲でMVもクールな「セクシーホモサピエンス」のスピード感が象徴する、洗練された、テクニカルでプログレッシブなのに、とてもポップなロックバンド。今後の展開が楽しみすぎる。


CRIMSON
WORLD SCAPE 12/CD/JPN/JPN SC RECORDS DQC858
*廃盤のためなかなか買えず、レンタル落ちをようやく入手。ゲスの極み乙女。のキーボード、ちゃんMARIの本拠地バンド。これを書いているのはゲスの極み乙女。の初ワンマン(2014.1.19)を楽しんだばかりのところなのだが、アンコールで演奏した新曲で男性たちがお色直し(笑)の間、ほな・いこかのドラムスとちゃんMARIのキーボードだけで、激しくインプロヴァイズする所があって、改めて二人の女性のテクニックとパワーに身震いするほど感動した。このアルバムで、ちゃんMARIのテクニカルかつエモーショナルなエレピの演奏をたっぷりと堪能できる。タイトなリズム隊とピアノでかっちりと構成されたジャズロックな作曲とアレンジが、カンタベリー系のプログレ好きにはたまりません。


ゲスの極み乙女。
乙女の日常.ep 12/CDS/JPN/JPN GES001
ドレスの脱ぎ方 13/CD/JPN/JPN GESUKIWA PECF3042
*indigo la End の別動隊が遂に始動。ヴォーカルとギターのMC.Kはindigo la End, ドラムスのほな・いこかはマイクロコズム、キーボードのちゃんMARIはCrimson、ベースの休日課長は元indigo la End と、それぞれ経験豊かなメンバーが、どういういきさつかは知らないが、かなり適当な別名で始めた4人組。シリアスでシニカルというよりはむしろ率直過ぎて悪趣味な歌詞にMC.Kのアイデアが詰まっているが、ノリはストレートでダイナミック。タイトなドラムと歌うベースライン、彩り豊かなキーボードの切れ味が抜群。率直に言ってかなりヘタな小芝居とクサイ演出、ライブでのMCの微妙なノリが楽しいので、YouTube見て引かずに(笑)、積極的に全国展開中のライブに、ぜひ行って楽しんでほしい。私はぐるぐるTOIRO 2013(6/9)と、つくばロックフェス2013(7/14)に行った。SWEET LOVE SHOWER山中湖にも出たがチケットが取れず残念。J-WAVE や NHK BS にも登場予定と、これからがいよいよ楽しみ。
踊れないなら、ゲスになってしまえよ 13/CD/JPN/JPN GESUKIWA QYCL-10001
*セカンド・ミニアルバム。最近はインタビュー記事も多いので、読んでみると多分そうかなーと思っていたことがやっぱり、ということがよくある。まずは何といっても、最初はかなりゆる〜い感じで始まった、ということ。バンド名もちゃんMARIがたまたま持っていた、友人のデザインしたトートバックのことばをそのまま付けたとか、1枚目は2日で仕上げたとか、スタジオ入りしてから曲を作るとか・・・。このミニアルバムも6日で作ったとは天地創造か(メンバー忙しそうなんで7日目に休めなかったかもしれないが)。でもとにかくそのアウトプットの、曲のクオリティが高い、というと一言で済んでしまうけれど、MC.Kのアイデア、メロディ、詩がスカッと通っている感じに、メンバーのアレンジ力、演奏力の高さが一気に仕上げにかかっていく感じ(うまく言えないけど)が、聴いていると追体験できるような気さえするほどに、技巧的なのにみなぎる生々しさ。皮肉と風刺、悲哀と煽動が籠められた言葉が、メロディを纏ったかと思えば、脱ぎ捨てて迸る。そしてちゃんMARIのスゴワザ、ショパンをさらっと、まんま聴かせちゃうキラーボールの編曲の大胆さにも驚くが、スレッドダンスのジャジーなピアノソロがまた、笑っちゃうくらい痛快そのもの。いこか様のキレのよいドラムスと休日課長のねちっこいベースの絡みは、ほとんどエロティックな高みに達したし、出し惜しみかというくらい出番を押さえたMC.Kのギターがここぞとばかり切り込むときの鋭さ。そういえばMC.Kがボーカルに専念する曲は当然ギターレスなわけだが、キーボードとベースだけで、音数が少ない感じなんかまったくしない。メンバー一人ひとりのキャラがここまで立っているバンドもそうないと思うが、それは音にもそのまま表れている。相変わらずの悪ふざけな曲も忘れていないが、それでさえすごくテクニカルで、単に面白いというレベルではない。ライブでおなじみ、ゲスの4カ条も正式収録・・・これもきっと、かなりゆる〜く始めたんだろうな〜(違ったらごめんなさい)。ついにメジャーデビューを果たすことになったらしいが、これからも元のバンドとの活動もあるし(おそらくその相互作用も一人一人、ゲス乙女にプラスに働いているのだろうし)、そっちも含めて彼らがどこまで行くのか、楽しみなんてもんじゃない。
みんなノーマル 14/CD/JPN/JPN WARNER WPCL11747
*ついにメジャーデビューを果たした、3作目となるミニアルバム。先立って公開された「パラレルスペック」のPVを視聴して、本気度がよくわかりました。直前に公開されていた「餅ガール」の遊び(過ぎ?)とはくっきりと対照的に、演奏シーンが中心となり、ゆるゆるの小芝居は影を潜めました。そして、アルバムの楽曲すべてが、丁寧かつ熱狂的に作り込まれた感があります。メンバーの一人一人がキャラ立ちしているのと同じく、どの曲も個性的で記憶に焼きつきます。ライブではすっかりおなじみの "song3" をここに収録することで、次のステップに大きく踏み出す意思がみえるように思います。本当は仲良し(?)のリズム隊のしなやかな輪郭は、ちゃんMARIの巧緻なピアノアレンジを引き立たせ、ギターフレーズの尖り具合もラップの皮肉のリアリティも増して、確かに新しい段階に転化したと思います。それでもテレビやラジオでの露出が増えてインタビューで見せる、あっけらかんとした突き抜け具合も相変わらずで、次のMV「ノーマルアタマ」のはしゃぎぶりを見ても、バンドの本質は何も変わらない。やりたい放題のままでオリコン1位を狙う、愉快な仲間たちを、これからもうんと期待して、楽しませてもらいます。
猟奇的なキスを私にして 14/CDS/JPN/JPN WARNER WPCL11928
*壇蜜主演のドラマ「アラサーちゃん無修正」のオープニングテーマとして作られたタイトル曲、auのCMソングに使われることになった「アソビ」、それにもう一曲「だけど僕は」の3曲入り、メジャー初シングル。これが3曲とも良い曲なのです。川谷は捨て曲は作らないと言い、その姿勢を貫きつつ、これだけハイペースで新曲を出し続けるのは驚異的な創作力だ。もちろんそれを楽曲に仕上げる、ちゃんMARIをはじめとするメンバーの実力もあってのこととは思うが。この3曲でも、ひねりのきいたポップロック、めまぐるしくリズムが入れ替わるプログレッシブな展開、それにインディゴを思わせる切ないサビとピアノのコードストロークが癖になる曲と、一つ一つがいい歌で、アルバムでリピート再生してしまう。特典の未発表曲が届くのも楽しみ。もちろん、Zepp Tokyoワンマンの先行申し込みの当選も・・・待つ。
魅力がすごいよ 14/CD/JPN/JPN WARNER WPCL12024
*ゲスの極み乙女。はすっかり注目のバンドになってしまったので、音源を聴けるようになったときには、すでに雑誌のレビューが先行していて、それはまあファンとしては喜ぶべきことなのだが、そして気になるのなら読まなければ良いのだが、たとえばMUSICA誌の全曲解説インタビューを、あらかじめ読まずにいるというのは・・・難しいです。プロの説得力あるコメントを読んでしまった後で、素人が自分の感想をつづるというのもなかなか難儀です。この、最初に解説を読んでしまっている、という状況を、次回作では誘惑に勝って避けられるかどうか、ちょっとした挑戦をしたい気分です。
 もちろん、解説をいくら読んだって、曲を聞いたわけではないから、発売までのわくわく感には変わりありません。そして、聴いた時の興奮というか感動が、いささかも損なわれることはありません(・・・けれども、例えばうわーこのクラシック曲なんだっけ、とか、あっこの歌詞は聴いたことあるじゃん、とかいうビックリ感がね・・・)。
 さて、このアルバムタイトル、最初聞いた時は正直、微妙だなあ、と思っていたけれど、いざ聴いてみたら、最初に言いたくなるのがこのタイトル通りのセリフなのですね。実際、魅力がすごいです。シングルやテレビ主題歌で先行していた「猟奇的・・・」や「アソビ」や「デジタルモグラ」も、このアルバムの中にはめ込まれてぴったりとした居場所感があるし、「crying march」も加えればライブで盛り上がりそうなキラーチューンが並ぶ一方で、「ラスカ」はじめ恋の歌も取りそろえ、ベースがむちゃくちゃカッコイイ「星降る夜に花束を」は『乙女の日常.ep』収録の佳曲「ゼロの理由は花束で」の超絶パワーアップ版という連続性、「列車クラシックさん」、「サリーマリー」、「bye-bye 999」のクラシック感がそれぞれの歌の個性を高めて、と、キャッチーなメロディやノリの良いリズムなどの魅力はそのままに、意表を突くアレンジや構成がグレードアップ、歌詞の美しさやはかなさ、よりテクニカルになった各楽器パートの躍動感、ボーカルの艶も確かに磨きがかかり、聴きどころがありすぎます。全曲、素晴らしい。結局、通しでリピートしている状態が、しばらく続きそうです。
私以外私じゃないの 15/CDS/JPN/JPN WARNER WPCL12076
*待ちかねたセカンド・シングルは4曲入り。どうしても初回限定「ゲスなレジャーシート付き」というのを買ってしまう。コカコーラのCMやMV公開ですでに耳になじんだタイトル曲は、軽快でありながら手の込んだ作りが相変わらずで、キャッチーなサビとヒネリの効いた間奏のコントラストがどうにも気になって、聴きこみたくなる佳曲。iTunesやレコチョクのダウンロード販売がずいぶん調子良いみたいなのも分かる。でもやっぱりCDをステレオに入れて改めて再生すると、イヤホンでは物足りなかった音がくっきりして、特にベースラインのはじけ方など新鮮に楽しめる。ライブで受けていた「パラレルスペック・ファンキーバージョン」も楽しい。さらに未聴だった2曲がまたとんでもない。川谷曰くなかなか止まらない女性の名前シリーズの「ルミリー」は、これまでになく重い歌詞に驚かされるし、"But I'm lonely" はエレクトロニカ風?のバックに英詞という、これまた聞いたことのないタイプである。彼らの世界はどこまで広がるのだろうか。
ロマンスがありあまる 15/CDS/JPN/JPN WARNER WPCL12150
*映画『ストレイヤーズ・クロニクル』のタイトル曲である表題曲と挿入歌の「サイデンティティ」、それに「Ink」の3曲収録のシングル。今回の初回特別版のオマケはゲス君がたくさんのトランプで、これがとてもかわいいのでぜひ特別版を!と人に勧めたくなる。表題曲はとにかくスマートで抒情的、歌詞も素直で心情がよく伝わってくるし、名曲だと思う。2曲目はお馴染のヒネリと皮肉の利いた造語タイトル、挿入歌だけあってタイトル曲と呼応するように歌詞とメロディにつながりを感じる。更にこのシングルの聴きごたえは3曲目で決定的になる。MUSICA誌だったか、このシングルのレビューでMAGMAなどのフレンチプログレを例に挙げていたので驚いていたが、実際に聞いて納得。川谷の雄弁な語りが載るのは、重厚で緊迫感のある、極めて力動的な曲である。このバンドの実力と幅を思い知らされる一曲ではないだろうか。
オトナチック/無垢な季節 15/CD+DVD/JPN/JPN WARNER WPZL31128/9
*今でもよく聞く「両A面シングル」という言い方、EP世代の私には、CDだし4曲入りだし、なんかピンとこない。このゲス乙女の新譜も、確かに「オトナチック」と「無垢な季節」は、「シングル」にふさわしいキャッチーさがあるが、他の二曲も捨てがたい。「O.I.A.」はマスロックやプログレのファンにもイケそうな、前作で言えば「Ink」的なポジションで、「灰になるまで」は語りが印象的なラインと、4曲の中にゲス乙女らしさが詰まった一枚になっている。更に初回限定のDVDには、幕張でのライブ2曲に加えて、「休日課長の愛のカレー作り」と、六本木での路上インタビューという、そのばかばかしさが、これもまたゲス乙女らしさが爆発する映像が入っている。1月にはフルアルバムの発売が告知され、期待は高まるばかりである。
両成敗【初回限定盤】 15/CD+DVD/JPN/JPN WARNER WPZL31141/2
*紅白初出場で大いに盛り上がったところで満を持してのニューアルバム発売!のはずが、新年早々、件の週刊誌の記事である。記事通りであれば一般通念としては道に外れたことではあるし、ファミリー層や小学生にまで広がってきた新しいファンは離れていくかもしれないが、インディーズ時代からのファンにしてみれば、音楽雑誌などのインタビュー記事を読んだり、繰り返し歌詞を聞いたりしてきて、川谷がけっこうな人間関係こじらせ君であることは重々承知していたことで、その上でこのバンドの音楽的魅力に取りつかれているのだから、離れる者は多くないだろう。それはさておき。タイミングよく?放映された『関ジャム』で、流れで「もらったお題で8分で作詞して35分で作曲からバンド演奏まで仕上がってしまう」リアルなゲスを見せつけ、関ジャニファンにもそれなりにアピールしつつ、いややっぱりこのバンドすごいや、と納得させられてしまった。そしてメンバーによる販促も打てないままいよいよ発売になったこのアルバム、全17曲、すでにシングルでお馴染の曲もぴたりと収まって、個々の曲がそれぞれ個性的で面白いという以上に、アルバム通しで聴きごたえのある作品。まずはMVも公開されたオープニング「両成敗でいいじゃない」、痛快。サビの中毒性はさすがだが、コーラスにもベースにも音の魅力が光るし、ヘヴィなギターと柔らかなピアノの掛け合いもあるし、手を替え品を替えの切り返しが見事なキラーチューン。続く「続けざまの両成敗」、後半の打ち込み風の展開はこれまであまりなかった感じで、プログレ好きな私にはお気に入りの一曲。ここで「ロマンスがありあまる」が挟まる。「シリアルシンガー」はシンプルなシンセのフレーズと掛け声やコーラス、エレピといった軽快なバッキングに、ハイトーンのくっきりした歌が乗り、私のお気に入りの曲。「勤めるリアル」はコミカルだけれど複雑な曲に語りの入る、お馴染の構成。ピアノの間奏部分が軽快で好きだ。ただ詞はリアリティはないな、と思う。「サイデンティティ」、「オトナチック」と続いて、NABOWAの景山奏を迎えてアコギの美しい響きが抒情的な「id1」がかなりの佳曲。これが前半と後半を結ぶとすれば、第二部冒頭に置かれた「心歌舞く」は、ずっと予告されてきたタイトルにふさわしく、さよならさよならと繰り返されるフレーズが情感的なボーカルナンバー。次の「セルマ」も、やはり続いていた女性の名前シリーズか、ボーカルとコーラスにストリングスが加わってドラマチック。ストリングスは次の「無垢」の語りのバックに受け継がれ、アニメーションのMVが泣かせる「無垢な季節」へとつながって、アリーナツアーのオープニングをまさにフラッシュバックさせる。ライブ定番となった「パラレルスペック funky version」という流れが、否応なく興奮を誘う。ここで挟まるタイトル通り軽快な「いけないダンス」もライブでは楽しいだろう。次が何かと話題の「私以外私じゃないの」である。もともとラストチューンだったらしい「Mr.ゲスX」、テクニカルな遊びで締めるところを、ゲームとのタイアップで作られた「煙る」が加えられて、何となくチルアウト的に幕を下ろす。全17曲、一気に、この通りの順番でリピートし続けられる作品。エンジニアはメンバーも絶対の信頼を寄せる美濃隆章。おまけのDVDには、横浜アリーナ公演から5曲のほか、夏の12日間合宿録音風景も収められているが、いつもながら川谷の天才とメンバーの凄腕を見せつける。ゲスツアーは・・・ちょっと課長がかわいそうすぎるかな。騒ぎの後とは言いながら、発売直後3日間オリコンデイリー2位をキープした後ついに1位を4日間キープ、ウィークリーも1位達成。オリコン一位を目指すと公言していた川谷の思いは達成されたわけで、手放しで喜びたかった。内容として確かにそれだけの価値ある傑作だと思うと同時に、素晴らしく手の込んだ、レベルの高いディスプレイで楽しませてくれた吉祥寺のタワレコはじめ、レコードショップの皆さんが、メンバーにできない分本当に頑張ってくれているのも感動的だった。商売を超えた愛を感じた。逆風は吹き続けるであろうが、それに耐えて次はまたこれ以上のものを作ってくれることと信じている。
達磨林檎 17/CD/JPN/JPN WARNER WPCL-12443
*なかなか書き出せなかったこの感想。本来なら去年の12月に発売される予定だったから、5ヶ月もお預けを食っていたのだ。その分、大切に丁寧に聴きたいのだが、聞き始めればあっという間の、13曲。どの曲も個性的で、意表を突かれつつ快い佳曲揃いだ。いつものように歌詞には時おり引っかかるし、これまで以上に裏声の多い歌には、好き嫌いはあるだろうが、全体の完成度の高さ、密度の濃さは群を抜いていると思う。
 本作はまさにあの騒動の最中に作られただけあって、メッセージ性も分かりやすい方だ。編曲も見事だし、メンバーのテクニックも向上するばかり、コーラス隊の活躍も目立つ。先入観なく聴くのは難しいかも知れないし、濃い味付けの多いMVにも煽られそうだが、一つ一つの音が細やかに練り上げられて構成された楽曲にはじっくりと音だけで付き合いたい。文句のつけようのない、大傑作のアルバムである。
 まずは一曲目、MV公開からすっかり親しんだ「シアワセ林檎」は、いこかさんとの掛け合いというユニークなボーカルを聴かせる、ゲスポップの発展形。続く「影ソング」、発売直近に公開されたMVも、歌詞も、まさに川谷の心境を表現しきった一曲。シンセの繰り返し、サビの展開も記憶に刻まれる、技にあふれた名曲。「DARUMASAN」は今回新しくMVが作られた、謂わばもう一つのタイトルチューン。軽快なリズムだけどマイナーなメロディが、あっという間の場面転換を果たす。「某東京」は川谷の早口の自虐的独白、ピアノ+ベース+ドラムスのジャジーなリズム隊に、コーラス隊も大活躍。「id2」は生ギターとシンプルなドラミングが美しいメロディを引き立てる、川谷のボーカル好きにはたまらない佳曲だろう。「心地艶やかに」は個人的にはもっとも好きな曲、ゲス乙女の魅力がすべて詰まっている、構成美が輝く間奏からエンディングまでのオルガンとベースとの絡みが実に魅力的。「午後のハイファイ」はまた川谷の早口と、キャッチーな軽いメロディ、すっきりと軽いバックの演奏も、中盤の転換を思わせたかと思うと、カウントダウンからの「いけないダンスダンスダンス」につながる。これも川谷の独白、打ち込みのバックで始まるが、いこかさんのせりふを経て、途中からのコーラス隊の掛け合いが素晴らしい。武道館ライブで聴いてから音源化をずっと待っていた。たっぷり8分超から、またもカウントダウン、衝撃的なMVで度肝を抜かれた「勝手な青春劇」、このメランコリックなメロディと歌詞、ねちっこいアレンジが、ゲスの極み乙女。らしさにあふれた、これまた大好きな一曲。「小説家みたいなあなたになりたい」はまた一転して軽快な中に哀愁漂う、ボーカルの掛け合いも楽しい。「id3」川谷の独白と女性ボーカルの組合せからのピアノのアウトロという、しっとりした流れでフェードアウトしたところに、あたかも続編のように始まる「Dancer in the Dancer」、これは美曲。これも抜けの良いドラミング、女性ボーカルとピアノの繰り返しが静かに気持ちを高め、サビが耳に残る。そして終曲は「ゲストーリー」。これも多彩な魅力特に、彼らのプログレッシブな要素が詰まっていて、ファンキーなベースも楽しい。そして、まるで何事もなかったかのような、すっとした終わり方がいかにも彼ららしい。まあいつでもそうだと言われればそうだが、とにかく頭からしっぽまで、毎回聴き通したくなるアルバムである。なにはともあれ、活動再開はおめでたい。ゲス乙女としては曲作りのブランクは相対的に長いようなので、次のアルバムがいつ、どのように出てくるのか、予測のつかない期待感が膨らむ。その前に、ライブのDVDとか出ませんかねえ。
あなたには負けない 17/DL only
マレリ 17/CD/JPN/JPN WARNER WPCL12816
*「ッアー!!!」開始に合わせて、2種類のEPが発表された。一つは何かと話題の「あなたには負けない」配信限定シングル。タイトル曲はライブの出場曲として使われていて、生では演奏はしない。short versionのMVが出たところで文春からコンタクトがあり、勢いで本来のfull version以外にspring versionまで作成されてしまったということのよう。曲としては打ち込みの固いビートでネタを見せるものだから、楽曲として特に魅力があるとは思わないが、ライブではしばらく彼らのゆるゆるの振りを楽しむのがウォーミングアップというところだろう。他に特典盤収録の「まだ生きれるだろ」、こちらもこのところのライブでお馴染みPARGOLFリミックスの「私以外私じゃないの」、さらにmabanuaリミックスの「ロマンスがありあまる」という構成がファンを楽しませてくれる。
 一方、ライブ会場限定シングルが「マレリ」で、新曲「マレリ」の他初期のインディーズ時代にシングルに収録されていた「ミニマム」「ゼロの理由は花束で」「誘惑バンジー」「私、跳び箱6段跳べたのよ」、および定番曲「song3」の休日課長リミックスという、新しいファンには二重にうれしい組合せ。ライブ限定というのが遠方のファン泣かせ、いずれファンクラブ通販で対応してもらえることを期待。
 ここまで来ると本当に次のフルアルバムが待たれる。なにせ川谷が忙しそうなので、スケジュールが全く予想できないが、かと言ってクオリティは絶対落ちることがないから、楽しみでしかない。
戦ってしまうよ 18/CD+DVD/JPN/JPN/WARNER WPZL31409/10
*休止期間が入ってアルバムはようやく『達磨林檎』が発売されていたが、シングルとしては2年3か月ぶりというから、新作としてはほんとうに待ち焦がれた作品だ。タイトル曲はゲームのタイアップで作られた、ほぼ3分の曲。鋭いシンセリードのイントロでいきなりの攻めが来る。一つ一つ聴き返すほどに気づく楽器の個性。歌い方のレパートリーを短い時間に様々に繰り広げる川谷。ゲス乙女の魅力が凝縮された、ライブのキラーチューン。2曲目は川谷の語り調で始まるヒネリの効いた、陰影のある曲。間奏部分のジャズ調のピアノがかっこいい。加藤マニ監督のMVは相当攻めている。3曲目の「息をするために」はだいぶ前にできていた曲とのことで、アンニュイなムードがカップリングにちょうど良い。4曲目は「ぶらっくぱれーど」のAmPmによるリミックスで、キラーボールよりさらに懐かしいナンバーが、キラーボールのリミックス以上に過激に生まれ変わって、なんとも面白い。今年はライブ少なめということだが、どこかの時点でフルアルバムが出るのを楽しみにしている(そうなればツアーも・・・)。限定版のDVDは去年の野音のライブからの抜粋だが、見ごたえは十分あるものの、単品のDVDをそろそろ出してほしいものだ。MVもライブもたっぷりまとめて見たい。


Co shu Nie
イドラ 12/CD/JPN/JPN 銀星RECORDS POKA3901
オルグ 13/CD/JPN/JPN VIBRATESHOW VIBR003
*ライブで初めて聴いて、かなり衝撃を受けて物販で購入したのがこのセカンドミニアルバム。ヴォーカル、ギター、キーボード、シークエンスを中村未来がこなし、ベースの松本駿介と二人で作り出す楽曲は、マジックのように驚きに満ちて隙がない(ステージの雰囲気はゆるいのだが)。このアルバムで言えば、オープニングの「レテへの行進」でいきなり決まりだろう。プログレおやじの欲求にがっちりと応えてくれる構成美も抜きん出ている。ほのかなカンタベリーの香りが、今日のインディーポップのセンスに漂う。すごいユニット。
パズル 16/CD/JPN/JPN 銀星RECORDS POKA3902
*コシュニエはライブで初めて見たとき、ちょっと戸惑った。中村未来のキャラクターにつかみどころがなくて、謎めいていたからである。しかし楽曲は実に精緻な作りであり、聴いたことのない強烈さだった。あとからCDで聴いて、得た結論は、この人は天才だ、ということだった。とにかく楽曲が良すぎる。70年代プログレやカンタベリーを思わせる音や展開が時おり聞かれながら、全体としては唯一無二の、今の音なのである。歌は、、、色っぽい(貧しい表現で申し訳ない)。基本、中村と松村ベースの2人組に、ドラムサポートが加わるスタイルのようだが、中村の打ち込みやキーボードとギター、松村のベースも、テクニカルで実にカッコ良い。今、一番ライブで聴きたいバンドの一つである。


是巨人 KOREKYOJINN
ARABESQUE 04/CD/JPN/JPN MAGAIBUTSU MGC23
*鬼怒無月、ナスノミツル、吉田によるトリオ。バンド名はディス・ヒート+ジェントルジャイアントらしいがディスヒート聴いたことがないので的外れな言い方かもしれませんが、クリムゾンばりの音の厚みでGGばりの複合リズムをがしがしとたたき出していく壮絶な演奏に胸のすく思いです。


坂本慎太郎
あなたもロボットになれるfeat.かもめ児童合唱団 14/EP/JPN/JPN ZELONE ZEL 014
*元ゆらゆら帝国の坂本慎太郎のアルバムからのシングルカット・・・ではなくて。まず、なんと7インチのEP盤。もともと美術の出身である坂本によるアートワークで、ロボットカード付き変形ジャケット(ロボットカード切りぬいて使う人いるんか・・・)。かわいい画だけれど、これアニメーション版のMVは絶対見るべきで、歌詞の恐ろしさがさらにパワーアップ、しかもこれをあどけない児童合唱団に歌わせてしまうという、二重三重の仕掛けである。なお一番かわいいのは「しかじょしゅロボ〜♪」のところだと思ったが、聴きこむうちに「べんごしロボ〜♪」のところも甲乙つけがたいかわいさだと思った。というのは子どもの声のことで、歌詞は本当に怖いよ・・・


SAJJANU
PECHIKU!! 09/CD/JPN/USA TZADIK 7266
*2014年のマスフェスで出演に間に合わずに聴けなかったんだけど、特に聴いてみたかったバンドの一つ。サッジャヌ、と読むんですか。ギター二本とドラムスで、超絶に複雑な変拍子というかほぼ無拍子のヘヴィな楽曲を演奏する。このアルバムはジョン・ゾーン主催のレーベルから出た一枚目で、その後もインターナショナルな活動を繰り広げているらしい。いやそれにしてもこの壮絶な音楽、どうやって記述されているのだろうか。次の機会にはぜひ生で聴きたい。


jizue
bookshelf 10/CD/JPN/JPN NATURAL NINE ZEAR2004
shiori 14/CD/JPN/JPN SPACE SHOWER DQC1329
*このバンドに行きついたのは、tricotのイッキュウさんがゲストで参加していたからだったのだが、京都の4人組、基本的にはインストのバンドで、かっこいいジャズだ!というのが第一印象。これはすでに4枚目で、ゲストを入れるのも新しい取り組みのようだが、聴いていると結局、4人でやっている曲がやはり良い。タイトル曲はメロディにまず惹かれ、ピアノの刻むアルペジオにやられて、この曲だけでも生で聴きたいと思ってライブに行って、感涙したほどである。インストバンドはやはり、アルバムだとクールで素敵だが、ライブだと熱が違う。ということで急激に好きになって、ライブにさらにもう一回いったほどである。これから、アルバムをさかのぼって聴くのが楽しみ。
story 16/CD/JPN/TWN SPACE SHOWER DQC1521
*結成十周年、前作から2年ぶりのフルアルバム。10曲入り(ボーナスを除く)も十周年絡みかと思ったけどこれまでも10曲入りが多かった。今回は特にゲストを入れたりせず、また奇をてらったところも全くなく、かといって原点に還ったということでもないような気がする。最初からバンドのコンセプトがしっかりしているのだと思う。いつものjizueがそのままで進化している。泣きメロの"CITY"、プログレおやじ狂喜の"LOST NIGHT"など、お気に入りの曲。
STORY LIVE AT DAIKANYAMA UNIT 2016.8.27 16/DVD/JPN/TWN BUD MUSIC BUDDV02
*ライブに行っていた時、映像化をほのめかしていたので、期待していたけれどついに! 発売となった。何と言ってもこのライブでは、チーナ&チーナフィルから柴バイオリン、林コントラバス、角谷ビオラが参加という、この上ないコラボレーションが楽しめる。jizue はスタジオ録音の精緻さと、ライブの熱さと、両方魅力なので、storyがその両方で楽しめるというのは素晴らしい体験だ。やっぱりこの"CITY"で柴さんのバイオリンが入ってくるところ、泣けてしまうね。
KIE KATAGI
SERENDIPITY 16/CD/JPN/JPN SPACESHOWER DDCB12085
*超絶技巧インストジャズロックの jizue 紅一点、ピアニスト片木希依さんのソロアルバムがついに出た。ライブではとにかくパワフルかつテクニカルな男子メンバー(しかも山田さんと言い粉川さんといいデカイ)に立ち向かうかのように、小柄なきえさんが、どんなに複雑で繊細なフレーズもさりげないパッセージも粒立ちよくキレのよい音でピアノを歌わせていて、もうメロディアスな曲だと涙でそうなくらい感動させられてきた。ソロアルバムを出すと聞いて大いに期待していた。5曲がオリジナルで、Swallowtail Butterfly とチャップリンのSmileを加えた2曲の7曲入り。ソロ曲と打ち込みバックの曲とがあって、情感豊かに弾き込む曲とクールに組み上げる曲とのコントラストの妙も。ピアノの可能性をこれでもかというほど広げながら、きえさんの人柄が伝わる温かさと明るさにあふれるアルバムになっていると思う。


Σ(Addicted by sigma)
MILES FROM NOWHERE 14/CD/JPN/JPN (no number)
*もう活動休止してしまったので、もはや思い出の一枚になってしまったが、このバンドも上手かった。ライブで聴いたのはたった二回だったが、演奏の手堅さはもちろんだが、ボーカルが小柄でかわいいのになかなかのソウルフルな歌い手で、最初聞いた時は本当にびっくりした。このまま歌い続けて行ったら、どういうジャンルであれ活躍するのではないかと思われた。もともとの声質もよいがさらにすごく伸びるのではないかと感じた。音楽は続けているのだろうか。


生福(SHOW-FOOK)
内容の無い音楽会 88/CD/JPN/JPN SONY 32DH5204, 88(10)/CD/JPN/JPN SONY MUSIC DIRECT DYCL235
*昔DX-7をいじっていたワタシなどにとっては、生福は神様のような人達だった。驚異的な音作りもさることながら、キーマガなどの記事の文章の面白さも楽しみだった。そのコンビが作り出した空前絶後、唯一無二の冗談音楽アルバム。イロモノとしてはまずらしく廃盤になってかなりプレミアがついている人気盤である。フュージョン、フォーク、スクラッチ、演歌、アイドル歌謡、パンク、ヘビメタ、怪獣映画のサウンドトラック、オザキ、戦メリまで、幅広いジャンルを器用にパロディにし、そこに爆笑ミニドラマを組み合わせる構成はほんとうに楽しめる。再発を望む声も多いが、(以下ちょっとネタバレ)「うまかろう君」のイタコのように著作権がらみで難しくなっていないか心配である。
P.S.オーダーメイドファクトリーでついに復刻! ワタシは旧盤を持っていたわけだが、この文化遺産は復刻すべきだ!と、ちとムリして2枚(ムリして2枚かよ>自分)注文したのだが、無事復刻が実現したばかりか、なんと復刻記念トーク&ライブを収録したボーナストラックが付いたので、たいへんうれしい再発となった。「11人いる!」のサントラ作業中にしていた馬鹿話を耳にしたキティレコードのディレクターが、面白いから低予算でやってみてと始めたものの、懲りすぎて予算が膨らみ、ソニーに売り込み、何とか完成したものの、今度はファミコンソフトのコラボ製作に入れ込んで発売が遅れ、一年後に発表した直後は注目を浴びたのに天皇崩御でお笑いはすべて自粛、3000枚くらいしか売れなかった、という経緯が面白おかしく明らかにされる。「フライアウェイ・スペースシャトル」アコースティックバージョンと、なんと作詞の山口のばらことサンプラザ中野くんがヴォーカルに参加する「47歳の地図」も聞けるが、これだけ面白いとライブ全部聞きたかったなあと、かえって欲求不満になる。


Su凸ko D凹koi
一寸先は闇 14/CDS/JPN/JPN NAON MWNR0002
*「すっとこどっこい」と読むバンド名にまず感心した。吉祥寺のタワレコに寄った時にビデオが流れていて、思わず足を止めて見入ってというか聞き入ってしまった。明るくてかわいいメロディと歌で、歌詞があまりにも露骨というギャップが、最初の印象だった。女子三人は音大出身ということからか、パンクバンドという割にはまとまった聞きやすい音。歌詞は最初は露骨というところにひかれるのだが、よく聞いているとストーリー性に富んでいて、すごくよくできていることがわかる。「鬱病」は実にリアルだし、「別れたい」「ブス」なんかはもうダメンズウォーカー一直線の痛々しさ、「MOMANAIDE」は切ないのかと思ったら・・・・・!このまま下品さを失わずに詩的でありつづけてほしい。バンド名書きにくいけどこの顔文字かわいいね。(^凸^)(^凹^)


戦車倶楽部
ちかごろ、帝都に跋扈する者ども 12/CD/JPN/JPN SCCD001
*ぐるぐるTOIRO 2013でたまたま聴いて気に入ったバンド。メンバーの一人がピンクフロイドのTシャツ着ていたのでもしやと思ったら、フロイドよりはクリムゾン、ガチにハードプログレを聴かせてくれる、技ありバンドだった。複合拍子を駆使しつつ、ひずむギターソロはテクニカル、大げさになることなしに荒ぶる全体のバランスがすごい。このアルバムではそんな彼らの可能性がさまざまに展開している。残念ながら2013年夏から休止に入ってしまったようだが、14年春に復活予定とのこと。まだまだ期待している。


相対性理論
シフォン主義 08/DL/JPN/JPN MIRAI001
*とにかくビジュアルが公開されないので、なかなかライブでお目にかかれないだけに想像(妄想?)を掻きたてられる傑作である。ロリ声だがやんちゃだったりささやいたりと表現が豊かで、演奏もかなり巧くてカンタベリーの香りすらただよう軽快さだが勢いもある、言葉遊びの歌詞も楽しい。
ハイファイ新書 09/DL/JPN/JPN MIRAI002
*相対性理論の2枚目、フルアルバムとしては初ということになるか。前作ですでに話題になっていたが、この作品の完成度はきわめて高いと思う。ワタシが聴いた第一印象は「COSじゃんこれは!!!」もちろん感動である。堅実なリズム、クリーンなギターに、ロリ声というにはあまりにもセクシーなやくしまるのヴォーカルは絶頂の仕上がり。YouTubeに流れている「テレ東」と比べると、アルバムのアレンジは明らかに磨かれている。ヴォーカルも音程が上がるところで声が息に摩り替わりそうになってもどってくるところなんか、こんな歌い方は聴いたことがない。楽曲の魅力、歌詞の音のよさ、面白くも気持ちのよい、すばらしいバンドだ。それにしてもライブチケットが取れないねえ。
シンクロニシティーン 10/DL/JPN/JPN MIRAI
*新作は、前作の延長線上にあって、歌も演奏もさらに安定感を増した印象。とぼけたラノベ風SFテーマや、危なっかしい言葉遊びのナンセンスが相変わらずの楽しさで、私としてはCOS風のアレンジや構成が非常に好みなので、うれしいとしかいいようがない。このセンスのままで行ってほしいなあ。
やくしまるえつことd.v.d
Blu-Day 10/CD+DVD/JPN/JPN TOKUMA JAPAN TKCA-73518
*相対性理論のボーカリストのソロ名義ミニCDはDVD付きでお買い得。本人露出のPVは初めてか? しかしここまでエレクトロニックなバックになると、どうもPerfumeあたり?(よくわからないが・・・)のテクノポップにイメージが接近しすぎてしまう印象。やはり自分は相対性理論にCOSの幻を見ているのかもしれない。


DADARAY
DADAISM 17/CD/JPN/JPN TOMOSHIBI QYCL-10009
*出ました出ました!お待ちかねのミニアルバム。「イキツクシ」の先行公開で、休日課長の新プロジェクトDADARAY、もちろん素晴らしいと確信したものの、川谷プロデュースのアルバムは、リードトラックやシングルカット以外のアルバム収録曲に、いつもグッとくるものがあるので、CDを聴くのが楽しみなのだ。案の定、2曲目の"block off"の出だしからの裏打ちリズムのカッコよさとか、「ダダイズム」の2人のボーカルの掛け合いに始まる語り調のプログレ感とか、「美しい仕打ち」「灯火」の抒情性とか、まあ一曲一曲の個性と質の高さとに驚かされっぱなしだ。作詞作曲の川谷の才能はもちろんだが、その才能を次々に作品に具体化して行くメンバーの力量も驚くべきものである。その後のライブ等で、これは単なるサイドプロジェクトではなくこれからも活発な活動を続けるということなので、大いに期待したい。
DADAMAN 17/CD/JPN/JPN TOMOSHIBI QYCL10010
*早くも発売された2ndミニアルバム、「イキツクシ」のえっちゃんバージョンが入って1stより一曲増し。もうすでにデビューライブの時から曲数に余裕があって、ライブで聴いてきたから、前作と比べて特に大きな変化というものはないのだが、いずれもREISの歌唱力の魅力を引き出すバラエティ豊かなもの。「ダダマン」のような個性的なアレンジも、「東京Σ」のような軽く楽しい曲も組み合わさって、充実したミニアルバムになっている。
DADAX 17/CD+DVD/JPN/JPN TOMOSHIBI QYZL30003/04
*予告されていた毎月一枚のミニアルバム、3部作のラストである。すでにライブで披露されていた曲もあるが、今回の目玉は、初回版に付いてくる大阪でのライブDVD。ラフな撮影であるがその分、ライブバンドとしての彼らの醍醐味がよく伝わる。まだライブで聴いていない人は、むしろこの3作目から聴いてもらうのが良いかも。東京キネマ倶楽部でのライブでまさにぴったりだった、軽快でどこか懐かしい「場末」で幕を開ける本作も、ハイトーンボーカルの繰り返しが印象的な「BATSU」、ハードプログレなリズム隊とオルガンで畳みかける「ダダックス」、シンプルなMVもあいまってこのバンドらしいラブソング「誰かがキスをした」、軽くもの悲しいメロディにベースが跳ねる「For Lady」の5曲が連なった後で、バンドの出発点だった「イキツクシ」のリミックスが入るのだが、ギターもキーボードも明るく軽快な音、ボーカルも幾分かリラックス感が出て、デビュー以来すごい勢いでレコーディングとライブを飛ばしてきたバンドの、一区切り感がよく伝わる。リスナーの方も、これを聞いてなんとなくほっとするのではないだろうか。そして終曲は「9月に落ちるひとしずく」、シンプルで未来を思わせるポップソングで、このアルバムというか3部作は、いささか唐突な、正に次への予感を与えて終わる。
DADASTATION 17/CD/JPN/JPN WARNER WPCL12807
*ついに出たフルアルバム。3ヵ月連続リリースで驚かせた3枚のミニアルバムからのお馴染の曲、リミックス、そして注目の新曲と、選ばれた13曲をこの曲順で聴くと、ここまでのスピードが結実したアルバムであると実感する。オープニングの「少しでいいから殴らせて」や「僕らのマイノリティ」は、MVのインパクトもあってすぐに病みつきになるし、「トモダチ」や「優しく鬼に」のようなゆるりと盛り上がっていく曲にも聴けば聴くほどのめり込んでいく。夢アド提供曲の「大人やらせてよ」をREISとえつこの掛け合いにしたDADAバージョンは楽しい。お約束のアバンギャルドな曲「ダダステーション」などなど、川谷ファミリーと言われながらも個性抜群のバンドになった。ツアーも発表となり、これからの展開が楽しみ。


チーナ
Shupoon!! 09/CD/JPN/JPN SOPHORI FIELD CLA60038
GRANVILLE 12/CD/JPN/TWN SOPHONI FIELD XQLC1002
DOCCI 14/CD/JPN/TWN SOPHORI FIELD SPFC0003
*チーナは昨年2013年のつくばロックフェス2日目で聴いたのが最初、という幸福な出会いをしていながら、その後ライブには行けていない。しかしどうしてももう一度聞きたくなって、とりあえずこのCDを買って聞いている。コントラバスとバイオリンとピアノの、クラシカルなアンサンブルが聴くほどに味わい深いのだが、それにしても繊細な声質で綴られる、この歌詞のはかなさは沁みる。語りすぎずに行間の思いが伝わって、たとえば「テレビドラマ」という歌など、心がひりひりする名曲だと思う。2015年には絶対ライブ聴きに行こう。P. S.その後、けっこうライブ行ってます笑。LIVE EVENT参照
PULL 16/CD/JPN/JPN SOPHORI FIELD SPFC-0011
*チーナ2年ぶりの新作は、変わらないところと変わったところの両方が詰まった傑作である。変わらないところというのは、椎名さんの天才である。詞のセンス、曲の構成、いつ聴いてもチーナらしいのだが、本作ではバイオリン&コントラバスとのアンサンブルに、より緊張感が高まり、ギターやシンセのキメや、ドラムスのグルーブも一つ一つが磨きあげられている。往年のプログレファンとしてもゾクッとさせられるエレメントがちりばめられているようだ(チーナにはそのつもりはないだろうが)。歌詞のないクラシカルかつプログレッシブな"Shuwarzwald"は、そんな彼らの新しい境地を代表する曲だ。それでいて変わらないのが椎名さんの声と歌詞の個性で、「キャラメルの包み」はもう、せつなさの極致の名曲。椎名さんの歌詞は、もうすぐ終わってしまいそうな予感に満ちた壊れかけた恋の歌が、すごくよいのだ。もちろん、どの曲も素晴らしく、期待を上回る名盤。 。
チーナ・フィルハーモニック・オーケストラ
PUSH 16/CD/JPN/JPN SOPHORI FIELD SPFC-0010
*チーナの"PULL"と同時発売、チーナフィルとしては初の音源になる5曲入りミニアルバム。チーナフィルはライブでは何度か聞いていて、もうかなりのお気に入りなのだが、本作は丁寧に作り込まれてますますその良さが引き立っている。15人編成というと音が混み合いそうなものだが、楽器やミュージシャンの個性がとても生き生きと粒だっていて、こんなに楽しい演奏になるのだと感動する。チーナのオープニングでお馴染の「はじまる」で始まり、30人のファンによるコーラスが重厚で華やかな「コーラス賛歌」(さんかで変換すると「参加」って最初出る。そういうことか!)などどれも名曲の5曲、どうしてももっと聴きたくなる。次はぜひ「それでそれから」の入ったライブ盤がほしい。


Nabowa
20120707 13/CD/JPN/JPN BUD MUSIC DOCB12053
DRAWINGS 17/CD+DVD/JPN/JPN BUD MUSIC DDCB12098
*"SWAN"のMVが先に公開されて、曲も映像も完全に自分の好みにはまって、即予約買い。バイオリンの入ったテクニカルなジャズロックって最高です。曲ごとにゲストのサックスやトランペット、ボーカルもはまって、アルバムトータルとしても変化にとんだ傑作。"SWAN"がそうであるように、テクニカルでありつつ抒情性が深くて、もうほんとに大好きだ。DVDは全曲入り。恐らくは限られた予算で作られているのだろうが、映像としてどれも個性的で面白いのにも唸らされる。


nica
滲んだ 17/CD/JPN/JPN MOP 001
*ライブの記録を見ると、だいたい2年前から8回、聴きに行っているから、無料のサンプラーを除けば本当に待ちわびた初CDになる。6人組+キーボードサポートの7人編成で、男女ツインボーカルが特徴。メンバーそれぞれ多彩な活動をしていて、ジャズを基調に、バンドの魅力が凝縮された、忘れられない曲が揃った。MVも見られる「滲んだ」と「紫陽花」、「Crescent」の3曲入り。テクニカルでロマンチックでちょっとエロチック。やっぱり江川さんのサックス良いなあ。


NIKIIE
PIANISM 14/2CD/JPN/JPN COLUMBIA COCP38547-8
TRANSFER 17/CD/JPN/TWN BARISTA RECORDS BR001
*NIKIIEを知ったのはDADARAYのボーカルのREISとしてなので、NIKIIEとしてのアルバムを聴いたのは "TRANSFER" が初めてである。ちょっと不気味でもあるコラージュ風のジャケットは、珠玉のような5曲に漂うサイケデリックというかアシッドフォークのような浮遊感によくマッチしているようだ。とはいえこのようなコンセプトにありがちなウィスパーボイスではなく、しっかりと輪郭も芯もある、言葉の伝わる歌ですばらしい。逆方向で言えばDADARAYのREISでははっきり異なったキャラクターを出しているわけで、この表現力の幅はすごい。


ハイスイノナサ
想像と都市の子供 10/JPN/JPN ZNR101
REFLECTION 13/CD/JPN/JPN ZANKYO RECORDS ZNR128
変身 15/CD+DVD/JPN/JPN ZANKYO RECORD ZNR-138
*2016年のマスフェスの大トリで、8人編成になったハイスイノナサを見て、その作曲の創意といいアンサンブルの緻密さといい、これはすごい、と感嘆と感動のあまり、さっそくこれを買った。まだボーカルが鎌野さんで、彼女の脱退後に女性4人が正式メンバーとして入って現体制になっている。とはいえパーカッションの人のように従来からサポートだったりするし、大きくイメージが変わるわけではない。その後のライブで「地下鉄の動態」も見たけど、ドラムパーカッション二人、キーボード二人は絶対必要ですね。本当にすごいバンドです。いろいろな活動をしている人たちだが、ぜひハイスイノナサとしてのライブやアルバム作成をしてほしい。


バスクのスポーツ
Kirola 14/CD/JPN/JPN VS0001
運動と食卓 16/CD/JPN/JPN SORAMIRO SORO0006
*アルバムジャケットがPFMの "PER UN AMICO" オマージュという話もある、コテコテの「プログレッシヴ・ロック」バンド。武蔵野美大で結成されたワカモノのバンドなのに、この70年代そのものの音は何なんだ!、とプログレおやじを狂喜させる作品に驚愕。実はまだ行けていないのだが、ライブもまたいろいろな意味で面白いらしい。とにかくこれからが楽しみすぎる。


ピロカルピン
落雷 09/CD/JPN/JPN GRARAGA PRKL-1003 DOWNLOAD
幻聴と幻想の現象 10/CD/JPN/JPN GRARAGA PRKL-1006
宇宙のみなしご 11/CD/JPN/JPN GRARAGA PRKL-1010
青い月 11/CDS/JPN/JPN GRARAGA PRKL-1011
蜃気楼 12/CD/JPN/JPN UNIVERSAL UPCH-1876 DOWNLOAD
まぼろしアンソロジー 12/CD/JPN/JPN UNIVERSAL UPCH-1896 DOWNLORD
ロックスターと魔法のランプ 13/CDS/JPN/JPN UNIVERSAL UPCH-5794 DOWNLORD
太陽と月のオアシス 13/CD+DVD/JPN/JPN UNIVERSAL UPCH-9868
*このバンドを知ったきっかけは、何かのネットニュースだったと思う。面白いバンド名だな、というところからサイトに行って、動画を見て、即、好きになってしまった。まずはリードボーカルの声の質、端正なコトバに引きつけられて、次いで硬質で切れ味のよいバックとの絶妙な構成に、感動というかほとんど興奮してしまった。まずはメジャー1stフルアルバムの先行シングルを購入、アルバム収録の「ロックスターと魔法のランプ」「シャルル・ゴッホの星降る夜」の二曲と、「モノクロ」が入っていて、特にこの「モノクロ」がまずツボ。で、手に入る作品を次々ダウンロード&購入、メジャーデビューミニアルバム『蜃気楼』が特に気に入ったりしていた。g.&vo.で作詞作曲の松木智恵子が結成し、リズム隊はかなりのメンバーの入れ替えを経て現在にいたっているところからして、松木の音楽表現の追及がただならぬものである事は想像がつく。とにかく詞と歌の端正さが圧倒的であるだけでなく、曲の個性がとても豊か。本作ではPVも発表された「パルプフィクション」のロック的なかっこよさも、「夢はあけぼの」や「ジャスミン」のような意表を突く美しいメロディも取り混ぜて、確実にこれまでの最高の完成度だと思う。一発でこんなにバンドが好きになってしまったのは久しぶりで、ライブにも行ってしまった(2013.7.12、リキッドルーム)。
A NEW PHILOSOPHY 15/CD/JPN/JPN MIRACLE OASIS DQC1489
*2年ぶり、2枚目のフルアルバム。この間、ベースの脱退、自主レーベルの立ち上げと、外から見ていてもいろいろなことがったし、バンドに何があったのかは、本当のところはわからない。でもこれで確実に文字通り次のステージに立ったことは確かだろう。アルバム収録は12曲、数曲は昨年来のライブで耳にしていたが、いずれもピロカルピンらしさあふれる曲。特徴的な転調、松木のまろやかな声、時折エキゾチズムが香るメロディラインが、とにかく好きなので、今回のアルバムも大いに楽しんだ。バンド活動としては大きな転機なのかもしれないが、これからもファンタジーを失わないで楽しませてほしい。


マイクロコズム
14/CD/JPN/JPN OIMO0001
*ゲスの極み乙女。のほないこかこと佐藤穂奈美と、ayutthayaの太田美音によるプロジェクト。最初はギターとドラムスが逆だったが入れ替わったらよくなったというから面白い。ゲス乙女とayutthayaを聴いたうえで、改めて聴くと、おみたおのやりたいことがずっと貫かれているのだなあと思う。女子二人のオルタナユニットとしてとびきり面白い、解放感にあふれた音楽。


MANHOLE NEW WORLD
ROSANJIN 16/CD/JPN/JPN SORAMIRO SORO0007
*きっかけは忘れてしまったのだが、あのケンダマのMV("AFRICA" + "Mountaineers")を見て度肝を抜かれたのが、MNWを聞いた最初だったと思う。スピード感があり、しかしオリエンタルな哀愁が漂うようなメロディとハーモニーが仕込まれていて、確かな個性が感じられた。ようやくライブを見ることもできて、凄いテクニックと楽しいパフォーマンスの両方がこのバンドの魅力を高めていると感動して、これからの活動がほんとうに楽しみになった。5ピースのインストで、ドラムスの他にパーカッションが入っているのが編成上の特徴で、そのぬましょうさんのマリンバ等のプレイが実に印象的(ライブでは彼は観客の盛り上げ役でもある笑)。スリリングでテクニカルなインストジャズロックバンド。


MENOZ
現代のケモノ/ファンタジア 12/CDS/JPN/JPN コドモノカクレガ KKRG0003
アドベンチア 13/CD/JPN/JPN コドモノカクレガ KKRG0004
遥・ima 15/CDS/JPN/JPN MEGAPHONE MEGA1001
時空パビリオン 15/CD/JPN/JPN MEGAPHONE MEGA1002
*ついに、公式に1stシングルとして「遥・ima」が、1stミニアルバムとして「時空パビリオン」が、相次いで発売になった。私は昨年末にライブで出会ってすぐ気に入って、物販で購入した「ファンタジア」などがヘビロテだった。最大の魅力はひかるのボーカル。明るく張りのある、あえて子どものように元気な歌いぶりが爽快そのもの。キーボードのバッキングもしゃれている。リズムはスピード感がある。シングルの「遥・ima」やアルバム冒頭の「YO RO Z」の疾走感が好きだ。ただアルバム収録の旧曲については、ライブな雰囲気が出ているが、旧バージョンの包み込むような空気感も捨てがたいように感じる。しばらくは聞き比べて楽しもう。


MOCCOBOND
ナイスルーム 15/CD/JPN/JPN 木工レコード MCBD0004
*ライブを一回聴いて、たいへん気にいってしまったバンド。その時に告知があってすぐに予約したアルバムが届いた。先に聴いたライブで受けた印象そのままで、とてもユニーク。シンプルな言葉選びなのに別世界を醸し出す歌詞も魅力だし、男女ツインボーカルでニシケケのアクの強い声とサトウのなつっこい声の組合せは、結果どちらも独特のとぼけた味があって絶妙。いろいろひっかかりのあるビート感をたたき出すリズム、時にいたずらっぽく弾むキーボードが、曲ごとに豊かな表情を膨らませて、何が出てくるかわからない楽しさ。


山田真未 / ハネダアカリ / 猫田ねたこ
15/CD/JPN/JPN REVOLUTION TEMPLE RECORDS
*このコンピレーションが出たことを知ってすぐに、吉祥寺のミミノコロックフェスがあって、発売元のライブハウスWARPに回った時、店長直々に売ってもらった。店長ちょっと見た目ヤバイ人みたいなんだけど、「あっりがとうございまーす!」とうれしそうに跳んできてくれて、こっちもちょっと嬉しかった。山田、ハネダ、猫田が交替で3曲ずつ入っているが、おまけの特典盤にさらに一曲ずつ入っているから、けっこう充実していて1500円はお得!しかも「田」をイメージさせる美しいジャケットも、田園風景の中の3人の写真に彩られた歌詞シートも、とてもきれいなデザインでできていて、自主盤の域を超えているレベル。製作者の愛と熱意に満ちている。さて、山田真未はミヤオヨウバンドやゲス乙女のコーラスで知って、バンドのafter the greenroomのCDを買い、その独特の声質と、聴きこむほどに深いニュアンスに魅かれていた。低い声なのは間違いない。その低い声で、驚くほど細やかで表現が幅広いのである。冒頭の「田園」を聴けば、そのことがまずわかる。しかしまた「七夕」などは、この声だからこその歌と言えるかもしれない。ハネダアカリは、何となくどこかで聴いたような気になっていたのだが、記憶違いのようだ。地声や語りに近い歌い方を交えて、しっかりくっきりと、詞を伝える歌い方が胸を打つ。「2014」はすごい歌だ。一方の猫田ねたこは、知らないと思っていたら、Heliotropeのピアノボーカルの人だった(といってもライブで一回聴いただけだが)。Heliotropeを聴いた時の第一印象が「ドラム叩きすぎ笑」だったので、ピアノ弾き語りで聴く猫田の歌は、全く別の世界のように思えるほど、染み通ってくる。他の二人に比べると、ちょっとウィスパーがかるところもあったりして聴きやすいと最初思うのだが、聴いているうちにやはり詞の世界に捉えられてしまう。そんな3人のコンピレーション、実は弾き語りソロを聴くのが決して得意な方ではない私に、新しい楽しみを与えてくれた一枚である。
吉澤嘉代子
箒星図鑑 15/CD/JPN/JPN CROWN CRCP40399
秘密公園 15/CD/JPM/JPN CROWN CRCP40432
*「ケケケ」のMVを見て、面白いなあ!と思ったのが最初で、コミック系の人なのかと思ったら、いろいろ聞いたり読んだりしているうちに、バックグラウンドや、一筋縄ではいかない歌詞のひねりがますます気になって、はまってしまった。「泣き虫ジュゴン」は泣けるし、「キルキルキルミ」はビックリするし。ハイで裏返る煌びやかな声がもうたまらないのだが、低いところで妙に凄みを利かせるところもあったりして、歌声の多彩な表現力にも聴くほどに発見がある。あらたなミニアルバム『秘密公園』も魅力的。作曲に共作や作曲者を迎えたり、バックの演奏陣も豪華で、聴きごたえも十分。「ユキカ」はMVも素敵。やみつきになる。
東京絶景 16/CD+DVD/JPN/JPN CROWN CRCP40416
*最近気づいたのだが彼女の歌い方を聴いていて私はマリアマルダーやミニーリパートンを思い出しているようなのだ。で、ハマ・オカモトとの対談を読んで「ヒーカップ唱法」というのだと知って、ああそういえばロカビリーとかで聴くよな!と納得がいった次第。ワンマンライブを堪能してすっかり魅力に取りつかれてしまったが、待ちに待ったセカンド・フルアルバム。もうすっかり聴き込んだ「綺麗」や「ユキカ」、ライブで弾き語られた「東京絶景」が収められ、さて他の曲はというと、もちろんどの曲もすばらしい。彼女の詞は、一言で言えば「可愛(くて)怖い」。カラオケに行けば必ず歌っている(気持ち悪かったらすみません・・・)「ユキカ」だって、MVとてもかわいくて、そして前半の歌詞も「カルピスソーダ」が飲みたくなって「涙が出ちゃう」恋はせつないけど、だんだん本性が出てきて、「ときめきは毒になる」、そして「喉もとから背中まであなたの矢に引き裂かれて」、「自信なんて奪われて」しまうし「傷ついても構わない」くらい、鮮血がほとばしるようなリアリティに至って終わる。もちろん、「ガリ」のようにとにかくコミカルな歌もあるし、オープニングの「movie」はタイトルにふさわしくストリングス入りで雄大なイメージ。そしてタイトル曲の「東京絶景」の感動的なことと言ったら。どの曲もそれぞれに聴きどころがあって、スタッフも豪華、ほんとうに魅力的な作品。おまけのDVDにはMVのほかメイキングも入っていて楽しめる。
吉澤嘉代子とうつくしい人たち 16/CD/JPN/JPN CROWN CRCP-40470
*吉澤嘉代子が敬愛するサンボマスターの作詞作曲でMVも作られた「ものがたりは今日はじまるの」ほか、コラボ・リミックス7曲に、MVとライブ2曲入りDVDがおまけ。いつものようなまとまりはない代わりに、岡崎体育やザ・プーチンズなどのごちゃまぜな個性との交流が楽しい。私はザ・プーチンズとの「じゃじゃじゃ」がツボ。
屋根裏獣 17/CD/JPN/JPN CROWN
*フルアルバムとしては三部作の最後という位置づけということだが、企画盤を除いてミニアルバムも含めて漢字四文字のアルバムタイトルが続いてきたわけだが、本作は全曲、本人の作詞作曲で、ストーリー性も濃くなっているようだ。しかしいつも以上にスタッフもバック人もさらに贅沢で、生の管弦も入って、これ以上ないほど上質の世界観を形作っている。最初聞いた時は完成度が高すぎて、ちょっとお腹いっぱい感があって、次に聞くまで少し間が空いた。しかしほどほどの空腹感を感じたところで改めて聴いてみると、完成度の高さを素直に受け入れられるようになっている。吉澤嘉代子の世界はこれから新しいステージを開いていくのだろう。


LOOP POOL
√(root) 14/CD/JPN/JPN ONE ON ONE OOOL-0006
*マスフェスで聴いてはまり、物販で買ったセカンドアルバム。折り畳み式のジャケットのアートワークも秀逸。ガットギター、アップライトベース、ドラムスの3ピースで、ライブでは音もアグレッシブで、エフェクトも濃いめに使っていたが、このCDを帰って聴いてみたら、かなり印象は違っていて、楽器のアコースチックな響きが生かされた美曲揃いだった。ゲストのバイオリンが入ったM4なども。帯にはこちらも最近聴くようになった jizue のメンバーのコメントが付いていて、なるほどと思う。ファーストアルバムもさかのぼって聴いてみたい。


ルルルルズ
色即是空 14/CD/JPN/JPN ENGAWA ENGW007
*ライブで聴いてすぐに気に入ってしまった。甘くやや気だるい、それでいてはかなさも入り混じるモミのボーカルが、バイオリンを含めたジャジーなアレンジのクールなバンドサウンドに載って、とても心地よい。曲と詞と色彩感あふれ軽やかなアレンジの一体感が、このバンドにしかない確かな個性となっていて、ライブで繰り返し楽しみたいバンド。
ルルルルズ 17/CD/JPN JPN RURUCD-001
*3年ぶりのアルバムは、何も変わらないとも言えるし大きく変わったとも言える不思議な作品。変わらないのは楽曲のコンセプトで、それはおそらくこのバンドが3年もアルバムを出さないままでありながらしっかりと結ばれていることから想像されるように、バンドが求め続けている音楽の姿が揺るがないということなのだと思う。変わったと言えばアレンジで、フルートやサックス、パーカッションなどの音が加わり、リズムにも多彩さが増している。それでいてバンドの音像はあくまでもすっきりとさわやかで、モミさんの声も生の耳当たりをそのまま残していて(これは聞いた第一印象だったけど、エンジニアさんの意図であったようだ)、イヤホンで聴くにも良いオーディオで聴くにも、古くて新しい体験をさせてくれる音ではないだろうか。『色即是空』を愛聴してきた自分には、月並みな言い方だが珠玉のような作品。ほんとうにすてきだ。


レミ街
フェスタシエスタ 06/CD/JPN/JPN THANKSGIVING 3DS DOCG1004
musicamusica 10/CD/JPN/JPN MIDI CXCA1279
フ ェ ネ ス テ ィ カ 15/CD/JPN/JPN THANKS GIVING DDCG1009
レミ街×中村区中学生コーラス隊 the dance we do 15/CD/JPN/JPN THANKS GIVING DDCG1008
*去年の暮れにライブで聴いて、一発で気に入ってしまった、名古屋のバンドの新作。レミ街名義では5年ぶりの新作と、4月に「中村文化小劇場 × 人形劇団PAN共同企画 the Dance we do」、中村区中学生コーラス隊とダンススタジオAMSとの共演コンサートを記念して会場限定で作られたミニアルバムが好評だったので、一般発売されたもの。まずアルバムのほうで言えば、リリース間隔が空くのは3人のメンバーがそれぞれに多彩な活動をしているからであって、出来上がった作品は、ジャンル分け不能の心地よい音楽が詰まっている宝箱のようだ。アコースチックでエレクトロニック、パストラルでアーバン。サポートにアコースチックな楽器が多いこともあって、しばしばトラッドのような土や草の匂いがする。ミニアルバムのコンサートについては、「フワフワ」が動画で先行公開されていて、その現場のわくわく感が伝わっていて、これも楽しみしていた通りの、中学生という年頃の精一杯な伸びやかさがほとばしる音楽になっている。派手さがないのにこんなに楽しくて明るい音楽を作り出す人たちがいるのだということが、もうとんでもない幸せなことである。4月のコンサートはいけないかどうか本気で思案したほどだったが、結局行けず、残念な思いをした。次に関東に来るのをひたすら待つ。


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