>HOME >MUSIC >LIVE EVENT
LIVE EVENT 2017  index | 2019 | 2018 | 2017 | 2016 | 2015 | 2014 
KAMINARI WORKS presents"ULTIMATE SESSION 2017" Piano.ちゃんMARI(ゲスの極み乙女。)、Drums.柏倉隆史(toe/the HIATUS) 、Drums.オータコージ(L.E.D.) 、Bass.守家巧 【DJ】imazeKING(KAMINARI WORKS) 2017年12月19日(火)@三軒茶屋グレープフルーツムーン  
 振り返って気づくと、これが2017年最後のライブの楽しみとなった。本当はもう一本行きたいのがあったのだが、インフルエンザでダウンしてしまったのだ。
 この日の会場はグレープフルーツムーン、椅子席でゆっくり、じっくり楽しめるのもうれしい。ジャズのライブには雰囲気があっているように思う。あの空間でのあの距離、ぜいたくそのもの。ちゃんMARI目当てとはいえ、ツインドラムが柏倉隆史とオータコージ、ベースが守家巧という、凄い顔ぶれである。敢えて言えば、絵的にはちゃんMARIが(名前的にも笑)完全に浮いている。でもあえて本名の方を使わない意図があるのだろうか。
 前回の公演も好評で、行った人から様子を聞いてうらやましかったので、とても楽しみに出かけた。すべて即興演奏という、玄人好みの企画だが、私のようにジャズの素人でもたいへん楽しめる演奏だった。四人の息のあった演奏が素晴らしすぎる。どうしても目を引くのは柏倉ドラムス。あの人は、叩きながら宇宙を見ている。凄いと思うのは、即興でドラムス二人なのに、ぶつからない。ベースとあいまってピアノを支えて自由に躍らせでいるかのようだ(ジャズ知らないので見当違いだったら申し訳ない低レベルの感想だが)。ピアノすごいと思って一曲終わると、ちゃんMARIはやっぱりぴょんぴょんするので、そのギャップが可愛い。アンコールは(なんかあっけに取られてアンコールの拍手がわかず静まり返ってじっと待っているという、不思議な客席になったのだが)会場からお題をもらって、という川谷流に。出てきたお題は「犬のお散歩」。詞を考えなくてよいとはいえ、四人のイメージがどうまとまるのだろうかとわくわくする。ピアノは途中、あのお散歩の曲を取り入れて、軽快な演奏で仕上げた。即興演奏というものの素晴らしさに圧倒されながらも、本当に楽しいライブだった。

ページの先頭へ

チーナフィルハーモニックオーケストラ / 原田茶飯事 / 東京カランコロン / 木村ウニ / 神聖かまってちゃん / 関取花 / チーナ "みんなで祝おうチーナ10周年祭" 2017年12月16日(土)@東京キネマ倶楽部  
この日は真剣に悩むことになった。チーナ10周年企画とkatyushaワンマンがもろ被りなのである。15時スタートのチーナ企画は、チーナ&チーナフィル、東京カランコロン、神聖かまってちゃん、原田茶飯事、木村ウニと、超豪華であるとともに、チーナ企画でなければありえない組合せである。katyushaはえつこさんのプロジェクト、えつこさんが忙しいために本来のkatyushaはなかなかライブができず、しかしその忙しさの中で作り上げたアルバムでようやくメジャーデビューが叶ったという、これまた大切なリリース記念ワンマン、こちらは18:30スタート。悩んだ挙句、ギリギリまでチーナ、そのあとkatyushaに駆け付け、ということにした。チーナはトリだし、当然盛り上がりはラストに来るのだから、苦渋の選択ではあるが、救いはチーナフィルがトップに来ることで、チーナサウンド、椎名MCはとにかく聞ける、ということだ。
 キネマ倶楽部はDADARAY以来。会場の雰囲気は最高だ。前回は立ち入れなかった二階席は一部開放されていて(そもそも入場が2階席側からである)、気軽に歩き回りながら(空いていれば椅子もあって)楽しめる。
 オープニングはチーナ・フィルハーモニック・オーケストラ! もう最高としか言えない! 繊細さと豊かさのあいまった演奏が、椎名さんの歌をダイナミックに盛りたてるし、回数は少ないながら多くのメンバーがもう一つのホームとしてなじんできているように思う一体感。かなりステージ近くで見ていたので、ハープのほしやまさんやアコーディオンのマメルダさんが近くてドキドキ。ところが!途中でかまってちゃん乱入で目の前があばれるmonoさんに笑。こんなコラボ空前絶後でしょうね!
 さて転換中の中二階では原田茶飯事。ギターと歌、と言うのは私はあまり聴かないのだけれど、迫力もあるし歌は響くし。それにしても口トロンボーンの口真似?が凄すぎて、最初は仕込みかと思ったほど。リーダーとのコラボも、ふだん女性優位のバンドなので、なんか男っぽくて良かった。
 メインステージは東京カランコロン。最初はアウェイ感があったのかちょっと戸惑い気味だったかもしれないけれど、いちろーさんの人懐こいMCですぐ会場は打ち解けたと思う。またまたこのポジションはせんせいのまん前という!!!いやでも思ったけど、せんせいかわいいなあ、と思うとテニス帰りの奥田瑛二みたいな佐藤全部さんが視野に入って正気にかえらせてくれるという、絶妙のポジショニングですね。カランコロンもいろいろあったようですけれど、ふっきれた明るさと強さ、エネルギーが漲っている!今度はチーナの弦楽隊がコラボ、これはぴったり。優美さとはつらつさがカランコロンの楽曲に厚みを加える。弦楽隊とにかく楽しそうだ!
 次の転換小ステージは木村ウニ。コラボは椎名さんと23区の歌など、と思ったらせんせいも加わって、トリオはあのときのDANGO。自然に仲の良い3人なのだろう。歌うまいしそれぞれ個性あるのに、3人ともどこかとぼけた味があって、その相乗効果で見ていて嬉しくなる。  さて、ここまででタイムアップ。かまってちゃんも、もちろんチーナも見たかったのはいうまでもなく、後ろ髪を引かれるというのはこのこと。なんか申し訳なさと、ちょっとした不完全燃焼感を抱えつつ、次のライブを楽しみに待つことにする。あとでツイッターで知ったのだけど、ある音楽ライターの方が同じようにチーナからkatyushaのハシゴしたそうで、しかもその方はkatyusha終了後駆け戻ってアンコールに間に合ったとか。うーんそれは考えなかった。プロはすごいな。

ページの先頭へ

katyusha 1st full album "I Like Me" releaseワンマンライブ -歌えば尊し-  2017年12月16日(土)@新宿MARZ  
 チーナ10周年企画とかぶったものの夜ライブなのでハシゴを決めて、鴬谷から高田馬場乗り換えで西武新宿へ。新宿の人ごみを避ける目論見だが多分正解だったかと。なんとか間に合った。これはもう、絶対駆けつけなければならない企画である。  メジャーデビューのリリパでもあるこの日のライブ、もちろんフロアは大盛況。思うに楽曲の素晴らしさと、えつこさんの人柄もあると思う。ちょっと話したり、MC聴いたりしているだけだけど、すごく真剣になる人だと思う。つまりとても真面目に音楽に向き合ってきた人だということだ。  katyushaはえつこさんのソロプロジェクトだが、ドラムスの川野栄理子さんとベースの白神真志朗さんとのトリオ構成は、最強にして不動の体制と言うしかない。えつこさんのパーソナリティがくっきりとうかぶ楽曲と歌の魅力はもちろん、力強いピアノと強靭なリズムセクションのグルーブ感は快感でしかない。何と言うか、がっちりした体格の音楽である。新曲はもちろん、これまでの曲も含めて、どの曲もじっくりと聞き込みたくなる密度の濃さだ。  MCではバックコーラスにDADARAYにと忙しい中で、まるごと自分自身の音楽表現であるkatyushaにも打ち込む大変さと葛藤、そしてメジャーデビューが決まるどころか何もないところでアルバムを作っていた(!)ことなど、全く想像もしていなかっただけに、演奏を聞いていて涙した観客も多かったのではないか(私も目頭が熱く・・・)。だからこそこの力強い(どちらかというと恋には不器用な?)歌がずしっと届くのだ。これからもkatyushaは続いていくという確信を得た、素晴らしい夜だった。

ページの先頭へ

NakamuraEmi / DADARAY "毎日がクリスマス 10TH ANNIVERSARY!"  2017年12月13日(水)@横浜赤レンガ倉庫1号館ホール  
 この企画は元キマグレンのISEKI企画で、もう10年続いているそうで、今年も16日間にわたっていろいろなバンドやミュージシャンが登場する。他にも見たい企画がいくつかあるが、そこは我慢。赤レンガ倉庫はすっかりクリスマスの装いで、広場に立ち並ぶとりどりの屋台も洋風に洒落ていて、下戸の私でもビールが飲みたくなる雰囲気である。ホールも実に洒落ていて(こればかり)、うれしいことに着席である。知り合いのファンの方にもお会いして、開演を待つ。
 ツーマンの前にオープニングアクトでちささんという女性歌手が登場。歌うまいし振りやMCも手慣れていて、ミュージカルでもやってる人かな、と思ったくらい。無料のCDをもらった。みんな頑張っているな。
 まずはNakamuraEmi。小柄ながら実にパワフル。私にしては珍しく予習してきたのだが、ストレートなメッセージが伝わる。バックバンドもかなりのベテランのようで、実に聞きごたえのあるステージだった。
 続いてはいよいよ目当てのDADARAY。3人とはいえバックも3人入るから、今まではたいてい誰かは見えない状態だったけれど、今日は広々としたステージ、ゆったりと座ってみんなよく見える。そうはいっても「少しでいいから殴らせて」からのセトリはパワフルな展開で、REISに促されて(!)スタンディングになったけれど。アンコールの「イキツクシ」まで8曲(だったかな)、もっともっと聴きたくなる、一つ一つが濃い楽曲ばかり。年明け以降のツアーがさらに楽しみになる。

ページの先頭へ

Atlantis Airport Last Tour "For Now" 2017年12月9日(土)@新宿MARZ  
 ついにラストフライトの日を迎えてしまった。
 MARZは満入りの盛況。初めて見たのがいつで、そのきっかけが何だったのかが思いだせないのだが、プログレおやじの琴線に触れるバンドだった。とにかくsoneさんはユニークで可愛くて目立っていて、y0denさんBONOさんの絵的な存在感が薄い(たいへん失礼な言い方であるが)というのが第一印象だったように思う。ライブの感想をここに残すようになって、最初の記録は2014年11月の、成田イオンモールの時だから、確実に3年は経っているわけだ。最初は楽曲のプログレ感(特に「光と影の間」の間奏とか)、しかし次第に多様な表情も見えてくる。BONOさん脱退でどうなるかと思ったら、まなぶさんが新しい空気を吹き込んで、あべさんも正式メンバーになり、しおんさんのギターサポートもぴったりはまって、これからまだまだいけそう、というところでの解散は正直さびしい。新曲の出てくるペースがちょっとゆっくりかな?という気はしていたが。
 ラストフライトは持ち歌全曲プレイ!という企画。音源化されていない初期の曲や、なんといっても私の大好きな(みんな大好きか)「なつめいろ」もじっくり聴けて、セトリ的には当然完ぺきであるが、加えて演奏のパワーが最高潮だった。フロアの熱気のせいもあったにせよ、彼らが最後の完全燃焼を目指していたことがひしひしと伝わる。全曲だからアンコールはなし、その代わりに、降ろされたスクリーンにはこれまでの活動を振り返るエンドロールが。おそらくはy0denさんの力作なのだろう。
 人は皆歳を重ねていく。私のような年寄りは、つい去りゆく時代を惜しんでしまうが、バンドの若い人たちは、一つの丘を越えた先に見えてくる次の丘に向かって、ためらいなく歩みを進めていくのだろう。一人一人のこれからを、またこの老人に見せてくれたら嬉しいと、胸の中でつぶやくばかりである。

ページの先頭へ

indigo la End / くるり インディゴラブストーリー vol.2 2017年12月8日(金)@恵比寿ガーデンホール  
 12月に入って、自分としてはかなりのハイペースでライブに通っている。この日ももともとは2連荘になるから控えていたのだが、対バンがくるりに決まったと聞いて我慢が出来なくなった。
 恵比寿ガーデンホールは初めて。あいにくの小雨模様だったが、クリスマスデコレーションの恵比寿ガーデンはかえって良い雰囲気。清潔で広々したホールに、くるりとインディゴのそれぞれのファンが大勢集まっている。
くるりはもちろん好きなバンドだが、正直なところあまり最近は聴いていなかった。知ってる曲がどれくらいあるか気にはなっていたが、始まってみればそんなことはどうでもよくなった。国境もジャンルも超えた中から生まれた多彩な曲想に、まぎれようもない岸田の歌が紡がれてくるりを象徴する。京言葉丸出しのMCでゆるゆると、なぜ自分たちを呼んだのだろう、という辺りから、川谷が29歳で若いとか、自分たちは若いころからBPMのゆっくりな曲しかやってないとか、なごませてくれる。新曲も披露してくれるサービスで、ラストはこれは私にもまだ歌える「ロックンロール」。やはりくるりは代わりのいないポジションを確立しているなあと感動する。
 転換後はいよいよのindigo la End。「心ふたつ」で幕を開け、続いてはキャッチーな「見せかけのラブソング」。くるりと対バンのせいでもあるまいが、厚みのある曲が並んだような気がする。MCではくるりに対するただならぬ尊敬の念が伝わった一方、去年に比べて今年はライブやって楽しかったと自虐ネタで笑わせる。「緑の少女」は懐かしい。そしてファンに大好評の「PLAYBACK END ROLL」で本編は幕を閉じる。アンコールは新曲の「冬夜のマジック」から、おなじみ「夏夜のマジック」とつないで、ラストは「幸せが溢れたら」と、雰囲気のある曲をならべていた。
 二つのバンド、もちろん比べることに意味はないが、いずれも稀有なメロディメイカーを擁している。末永く活動してほしい。

ページの先頭へ

indigo la End / ななまがり / にゃんこスター / 流れ星 / ゲスの極み乙女  「エノンの日」 2017年12月3日(日)@ZeppTokyo
 川谷絵音の誕生日企画。何と言っても去年のこの同じ日、同じZEPP Tokyoで、活動自粛前最後のライブだった。素晴らしい内容だったけれども寂しさや不安がぬぐえなかったものの、今年はこれからの期待が膨らんだ中での、ファンサービスもたくさんの企画となった。川谷の2つのバンド、indigo la End とゲスの極み乙女。の他に、何とお笑い芸人3組というラインナップである。川谷のお笑い好きは知られているけれども、まさか同じステージでやるとは、と意表を突かれていた。
 会場セッティングの遅れということで開場が大幅に遅れてはらはらしたが、中に入ると、ステージ後方には「私以外私じゃないの」の垂れ幕が。昔のライブで使っていたかなと記憶を手繰るが定かではない。後ろにいた女性の一人が「なぜ、私以外私じゃないの、なの?」と言ったら、もう一人が「当たり前だからじゃない?」と答えて完結したのがおかしかった。
 そうこうしているうちに、インディゴのライブでスタート。もうこの「瞳に映らない」は名曲すぎる。カラオケで歌おうとしても泣けてきてしまう歌。想いきりから見せかけのラブソングは美しい。そして夏夜のマジックから新曲の冬夜のマジックへ、やはり女声はREISだった!そしてインディゴラブストーリーの6曲だった。川谷のバンド、やっぱりそれぞれに個性があると感動する。骨太のリズム隊に、ハードでエネルギッシュなときもどこかひょうひょうとした味のギター、そして川谷のボーカルである。短いステージだったが、押した分曲を削ったらしい。まあ5日後にはツーマンが待っているから、ここは野暮なことは言わずに。
 インディゴに続いては3組のお笑いライブがスタート。ななまがりは「ナスを持つ時だけ左利き〜」といってヘンな動きをするシュールなギャグ。近くにいた小学生ぐらいの女の子が「何?意味分からなーい!」って言っていたのも可笑しかった。佳境に入ったところでなんと川谷登場!並んでナスのネタを共演!これには参った。つづくにゃんこスターは、私でも一応名前と芸はテレビで知っていたが、リズム縄跳びをはやし立てているだけ?とちょっと思っていた。でもこれも生で見ると、スーパー3助の盛り上げ方はなかなかのもので(私の世代だと海老一染之助・染太郎を思いだすのだが)、キラーボールで縄跳びは当然盛り上がるにしても、indigoやゲス乙女をかなり知っていないと出てこないだろうディープなネタまで披露(緑の少女のMVとか!)、そしてここでも当然川谷がアンゴラ村長と縄跳びや振りを披露するという展開。そしてラスト流れ星の肘神様も、もちろん川谷登場と、まあようやるわ・・・と思ったら、最後にゲスの極み乙女。の名前が。転換なしで出てきたゲスの極み乙女。、四人でコントを披露である。なかなか不思議な内容だったが、オチは川谷が残りのメンバーに「自業自得!」とはやしたてられるという・・・。お笑いタレントになりたかったという川谷だが、いつもMCを観ていて課長ボケ、川谷ツッコミはお笑いとしてはいまいちである。むしろ川谷ボケに突っ込める相方がいれば玄人受けはすると思うが、やはりミュージシャンになってよかったのではないか、とちょっと思った(彼が作る曲の数々を楽しんでいる立場からは当然だが)。彼のお笑い好きのおかげで、愉快な経験をさせてもらえたことは良かったが。その後ステージで、忙しすぎて会場を離れてしまったにゃんこスター以外で和気あいあいとトーク中に、川谷誕生祝いケーキが到着。愛用のギターを模した飾り付けも見事なケーキを囲んで、会場写真。
 いよいよ転換してゲスの極み乙女。である。いきなりのキラーボール、そしてドレスを脱げのコールアンドレスポンスは「川谷!」「絵音!」で。餅ガール、crying march、星降る夜に花束を、と、スピードある盛り上げ曲が続く。シアワセ林檎と新曲で本編終了。この新曲、ちゃんMARIのイントロのリードシンセから超かっこいい。そしてアンコールはキラーボールのリミックスバージョン、ルミリー、だけど僕は。短くてもユニークなセトリに、大いに満足して、ひたすら楽しい夜は終わった。
 前日にはMステスーパーライブへの出演も発表され、翌日の沖縄から、CDJも出演と、よい年末になりそうである。来年は一層の飛躍を期待。ゲス乙女のフルアルバムぜひ。

ページの先頭へ

DADARAY インストアライブ 2017年12月1日(金)@HMV池袋エソラ
 フルアルバム発売記念のフリーライブ、この日は休日課長抜きの二人によるアコースチック編成。えつこさんがピアノとコーラス、REISさんがボーカル。ちょっと早く着いたらリハーサル中で、REISさんはとても良く声が出たので本番なしでもよいですか、などと冗談を言っていた。時間は短かったが、手練のバックメンバーなしの二人だけの編成もとても良く、ということはもともとの楽曲の良さが際立つということで、やはりこのバンドが長く続いていってほしいと強く思わされた。演奏終了後に休日課長も文字通り駆けつけて、サイン入りのカードのお渡し会には顔ぶれがそろった。おそらくnikiieファンらしき人たちもいて、終始和やかな雰囲気だった。もちろんバックも充実のフルアルバム期待大で、ライブ終了後に予約の列に並ぶ人たちも多かった。13日には横浜でツーマンライブ。楽しみである。

ページの先頭へ

大人の文化祭『NEWTOWN』@多摩ニュータウン 11月12日(日)
@デジタルハリウッド大学八王子制作スタジオ(旧八王子市立三本松小学校)
 午前中の所用を済ませて、ふらりと訪れたのが、大人の文化祭『NEWTOWN』の二日目。CINRAの主催で夏に日比谷公園で一回目が開催され、そのときも「NEWTOWN」というタイトルだったが、二回目は多摩ニュータウンの近所で開催ということで名前もぴったり。多摩モノレールの松が谷駅から歩いてすぐ、正式には「デジタルハリウッド大学 八王子制作スタジオ」となっているが、廃校となった旧八王子市立三本松小学校が会場。校舎や校庭を使ってのさまざまなイベントが楽しめるのだが、私の関心はまずは体育館のバンドのライブ、音楽室の弾き語りのライブである。まさに文化祭の再現。
 体育館のライブはTempalayに間に合う。いつものようにAAAMYYYが加わった4人編成。体育館ということで音響的には大丈夫なのかなと思っていたけど、問題ないどころか結構良い。まあexpop!!!手がけるCINRAの仕事に手抜かりのあろうはずはないか。前方はパイプいすが並び着席での鑑賞(年寄りにはありがたいが)、子どもが走り回ったり、体育館後方では卓球やってたりという、自由な雰囲気が、和やかなライブ感を高めていて、最初バスドラがずれていくというハプニングはあったものの(笑)、それも含めて楽しいライブであった。正直なところ曲をよく知らないのだが、twitterのつぶやきなど見ると、人気の定番曲や新曲でファンにも満足のセトリだったよう。続くトリプルファイヤー。ニューアルバムが出たところというのと、タモリ倶楽部での吉田のキャラクターで、今や話題のバンドと言ってよいと思うが、やはり吉田のキャラクターのユニークさは突出している。彼が缶ビールを飲んで何か言う度に、それはリハの音合わせに過ぎないのに、笑いが起こる。本番が始まってみれば、突き放したような歌詞と歌い方、テクニカルな演奏、愛想のない曲の終わり方、どれをとってもトリプルファイヤーらしさとしか言いようのない個性と面白さである。
 その後は校庭をぶらぶらして、出店や屋台を覗く。ズラリと並ぶフードカーは二日目の午後ということで、売り切れもあって、食べたいと思っていたものが食べられず残念。出店はいろいろなジャンルがあって、後でATLANTIS AIRPORTのそねさんが来ていて、小山健に似顔絵を描いてもらったのを知ったが、ライブの事を知らなかったらしくそねさんらしいなと思った。しばらくうろついた後に音楽室へ、ベントラーカオルの弾き語りを聴きに行く。クウチュウ戦もといkoochewsenで荒ぶるキーボードの人というイメージでいたから、ギター弾き語りとは驚いた。生ギター一本にマイクも使わない、もっとも純な弾き語りである。声量はそれほどでないがメロディもギターも歌も実に繊細で、多様な才能のある人だなあと心打たれる。バンドマンにはいろいろな側面を見せて活動する人も多くて、楽しみは広がる。
 時間が限られていてライブもコトリンゴ断念したし、いろいろな対談や体験など多彩な内容を楽しんだとは言えなかったが、何せ人気の3バンド(人)を無料で聴けたわけだから、満足度は高い。次回は時間に余裕のある時の開催であったらよいなあと期待させる、盛りだくさんな内容だった。

ページの先頭へ

ゲスの極み乙女。ワンマンツアー「ッアーーー!!!」 11月6日(月)・7日(火)@新木場STUDIO COAST
 赤坂からはじまったツアー中盤、新木場2デイズである。赤坂は初日のみしか行かれなかったが、こちらは何とか二日とも都合をつけた。体力が心配だったがコーストは後ろからでもまあ見えるので、いざとなったら座り込んで音だけ聞くくらいのつもりだったが、結果的には両日とも一階の後ろの高くなったところの手すりあたりに入られたので、良く見えたし体力も温存できた笑。
 一日目は衣裳セットが赤坂で見に行った時と同じで、まあ川谷といこかさんはどんな衣装でもかっこいいんだが、何と言ってもちゃんMARIの赤いアジアンな衣裳が似合いすぎのかわいらしさである。赤いreface YCを肩掛けで花道に出て弾いたり。課長はだぶだぶな感じのアレで、これも似合っていると言えば確かに。見慣れてきたというべきか。二日目はシンプルなワンピース、課長もまあ普通の?恰好である。「あなたには負けない」のオープニングは舞台袖からの登場で花道に出てくるパターン。で、例の「グーグーパンチ」はちゃんMARIを男子二人がやぐらに載せる振りがかわいい。
 ついついちゃんMARI可愛いばかりになってしまいそうだが、もうこれは聴くたび見るたびに思うのだが、ひとつ前のライブよりは今度の方が確実にクオリティが上がっていて、しかも次のライブを見ればまたクオリティが上がっているのだろうと期待させる所が凄いのである。もちろんかっちりと最初から終わりまで仕上げ切ってからツアーを回すべきだという考えもあるのだろうが、レコーディングであれライブであれリアルタイムに起こっていることを見せていく(もちろんいつでも満足のいく完成度になることはいうまでもない)ゲス乙女は凄いとしか言えない。
 私が行ってきた3つのセトリを比較すると、間違いもあるかもしれないが、赤坂初日だけで演奏された曲が7曲、新木場1日目・2日目のそれぞれのみで演奏された曲がそれぞれ4曲ずつだった。赤坂がツアー初日であることを考えると、新木場を基準に考えてだいたい4曲ぐらいは入れ替えているのだろう。どの一回に行っても満足できるし、何回行っても新しい発見がある。赤坂初日のルミリー、新木場1日目のsong3やブラックパレードリミックス、2日目のInkやO.I.A.リミックスなど、最近のライブではレア曲で、どれもすばらしい。やはりプログレ好きとしてはInkにO.I.Aリミックスは最高であるが。一方で、踊れる定番曲はいつ行っても聴けるのだが、ホワイトワルツ、ドレスを脱げを2曲目や3曲目にやってしまうというのも大胆だ。アソビやキラーボールは終盤に持ってきつつも、本編ラストは心歌舞くやハツミでいわばチルアウトするというのも、なかなか大胆な、自信の表れのようでもあり、余韻を残す心にくさでもあり。曲数だけでなくバリエーションも豊富な彼らならではの工夫である。アンコールも毎回趣向が凝らされていて、特に新木場では花道でメンバーが近くまでやってきたり(先ほども書いたショルキーちゃんMARIがかわいい)、かなり遠くまで「餅」が飛んできたりと、赤坂の時はやや持て余していた感もあったが、ファンを喜ばせてくれる仕掛けとして活用されていた。
 そして最後、川谷がお題を集めて即興弾き語りのおまけ。観客も容赦がなくてとんでもないお題が飛んでくる(お題のとんでもなさは回を追って増しているようで・・・良曲を聞きたければもうちょっと筋の良さそうなお題を投げないかな〜)。そこでシンキングタイムを持たせるために課長が漫談?を披露(新木場1日目は恋愛遍歴?、2日目は誕生日の栄太郎と掛け合い漫才?で、これまた観客大喜びのサービス)。結果、3時間オーバーのショウを楽しんで、足の疲れを感じつつも満足してお開きとなったわけである。
 今回は新曲が一曲あったが、他にもできているのだろうか。インスタではレコーディングの様子などもちらほら見えるので、新しいアルバムを大いに期待して待ちたい。

ページの先頭へ

BAHAMAS FEST 2017 11月4日(土)@新宿MARZ&Motion
 今年もやってきましたマスフェス。毎年楽しみなマスロックのお祭りだが、今年も外国からの2バンドを迎え、実質18バンドがそれぞれの演奏を繰り広げた。
 MotionトップのAGATHAは3ピースで複雑で速いリズムを繰り出す、正にこれぞマスロックという、オープニングにふさわしいバンドだった。MCでとにかく楽しいうれしいと連発していたのも印象的で好感。MARZに下って二本目はNENGU。AGATHAが陽ならこちらは陰か。にこりともせずにフロアで円陣を組むかのような体勢で演奏する。最後の「クラシックやります」というMCの後の、歪んで重く引きつったクラシックメドレーは彼らの象徴か。ここでまたMOTIONに上ってyukue。ここもスピード感と重厚さのあるギターロックだが、MCは明るくスベりまくっていて楽しかった。4本目はヨソハヨソ。パーカッションの人が酒のんで上裸になってフロアに降りてくる(そしてバーカウンターで酒のお代りをする笑)のもお約束。5ピースだけに音も複雑で豊かになり、聞きごたえ十分。
 ここでちょっと一休みを入れてからの5本目は東京塩麹。初モノだったがこれはすごかった。8人組なのかな。パーカッションの人や、トランペット、トロンボーンがいる。ミニマルを標榜するだけあって、大人数で複雑なリズムの繰り返しはお手のものという感じ。女子ホーン隊の存在感もあって、複雑ながら楽しい世界を作っている。最後はフロアを交えてのライヒ「クラッピングミュージック」で大盛り上がり。ぴたりと合うのはやはりそういうのが好きなお客が揃っているからだろう。早速物販でCD購入。6本目はフランスからのJEAN JEAN。重厚で轟音なのだが、ふと抒情的な展開が現れたりすると昔のフレンチアバンギャルド、たとえばエトロンフーなどを思い出したりする。MARZに降りて7本目 about tess は、マスロックにしては珍しくビジュアルにこだわりを感じるバンド。3ピースバンドを二つ組んだような構成の6ピースだけあって、演奏は重低音に高音圧。さすがにベース二本は強烈である。8本目はWOZNIAK。ベースには照井さん、ギターにはnenguの人が入っての4人体制。もうとにかく星さんが叩くわ叩くわ。組合せがどう変わっても星さんのパフォーマンスを中心にそれぞれの個性が上乗せされる感じ。さすがとしか言いようがない。9本目、MOTIONに上がって、オーストラリアから来た SEIMS。トランペットとシンセ、ベースとシンセ、ギター、ドラムスという構成のようだが、基本的には4ピースの高速轟音マスロック。ギターは変わったのか女性だった。先入観だろうがオーストラリアのバンドにはその国の広大なイメージがなんとなくおおらかさとして備わっているように聞こえる。
 終わってMARZに恐る恐る戻ると、sora tob sakana が中盤。照井さんの変拍子を歌うアイドルグループがMARZをいっぱいにしているという、考えてみれば真っ当ではあるが、そうはいっても珍妙でもある現象、マスフェスならではの出来事に違いない。さて、去年は疲れてだいじろーを見に行かなかっただけに、今年は jyocho を何としても見ると決めていたが、素晴らしかった。キーボード、ドラムス、フルート、ギター、ベースの5人体制で、ベースサポートはコシュニエのしゅんすと聞いては、聞き逃すわけにはいかなかった。クリーンなギターの速引きを聴けば、宇宙コンビニから続くだいじろーのコンセプトがより高みに上っていくのが感じられる。ここでnuitoを残して帰るのは非常に心残りではあるのだが、スケジュールと体力上残念。というわけで11本をほぼフルで楽しんだ。年齢的にはよく頑張ったと思う。フラットな移動ではないので笑。ほんとこういう企画を実現してくれるたけさん他スタッフの皆様には感謝しかない。

ページの先頭へ

New Age Connection-vol.10 2017年10月26日(木)@高田馬場CLUB PHASE
 シキサイパズルのツクイさんがブッキングマネージャーをしている高田馬場CLUB PHASE、この日はツクイさんの誕生祝い企画でもあるとのこと。
 ATLANTIS AIRPORTが解散までのカウントダウンに入ってしまって、私が見に行けるのはこれと最終ライブになってしまった。勤め帰りとはいえ、フルに楽しもうとOAに駆け付けたが、このSEABREADというバンド、なかなか素晴らしかった。キーボードボーカルにドラムスに、なぜかベース2本!? ギターレスだが、フルにボーカル取りながらピアノもしっかりと主張するし、ベースの内5弦の方はハイポジションでよく歌うので、非常に私好みの音像である。これは面白いバンドを聴かせてもらった。続いてROLLICSOME SCHEME。最近ではしおんさんがAAのギターサポートをしていて、そっちでもほとんどバンドの一員のような印象だが、やはり復活RSではさらにいきいきしている。いきいきしすぎて一曲目でストラップ外れて途中からしゃがみこんでのプレイというのもしおんさんらしいといえばらしい。まあとにかく全員が楽しそうに演奏していて、ワイコさん改め朝際イコの歌のパワーを全員で支えているというのか相乗効果というのか、元気をもらうというのはこういうことを言うのだろうと思う。終わった時には何とも高揚した気分。また聴きたい。物販で一番新しいという音源を購入、ミニ金庫持ってにこにこしているしおんさんがかわいい笑。続くFILTERは本八幡でライブしていたところを声かけられたというようなことをMCで言っていたから千葉のバンドなのかな?ギターボーカルとキーボードボーカルの男女ボーカルに、ギターベースドラムスの5ピース。楽しむためにやっているという通りパワー全開すごい音圧と畳みかけるリズムで痛快なバンドだった。トリ前はasobius。英語のボーカルにギターベースドラムスの4ピース。結構活躍していると思っていたらボーカル除く3人が脱退とのことで、asobiusは甲斐さんのソロネームになるのだろうか。メロディアスさとバンドサウンドの洗練があいまって個性的だけど聴き心地よい。と、途中これまでのライブで初めてコンピューターがクラッシュというアクシデント発生! しかしじゃあアレやろうかと言って始めた締めの曲が甲斐さんアコギで熱唱でなんか一番良かったかも。さていよいよのATLANTIS AIRPORT。このバンド、まず何がいいって、しおんさん含めたステージの見栄えというか、統一感のなさ笑。そねさんはやはりちょっと緊張気味に見えたけれど、ステージは最後まで飛ばしていく感にあふれたものだった。「映画の中の出来事」のそねさんの「お手を拝借」って台詞が昭和っぽいのとか、よでんさんの左手ぐるぐるとか、もう相変わらずで泣けてくるほど。小さなまなぶさんと大きなあべさんのリズム隊のワイルドさ、そしてローリックからずっと楽しそうなしおんさんと、なんか一人一人つくづく眺めまわしてしまった。フロアにはお馴染の顔ぶれと、スティーブさんも。こんな景色をもう見られなくなるのはやはりさびしい。アンコールの後、ツクイさんにハッピーバースデイを歌ってまなぶさんからプレゼントが渡され、盛り上がったイベントは和やかに幕を閉じた。

ページの先頭へ

ゲスの極み乙女。ワンマンツアー「ッアーーー!!!」2017年10月10日(火)@赤坂BLITZ
 ついに22公演のツアー初日である。幕開けとなる赤坂2デイズはソルドアウトと、好調な出だし。入場して驚いたのが、これまで見たことのないステージ前方の張出しというかランウエイというか花道というか。一体これはどのように使われるのだろうか、と期待にあふれる。後方段差の最前という見やすく安全な、私のようなおっさんにはベストポジションで身構えていると、客電が落ち、期待通り「あなたには負けない」でスタート。MVの例のスプリングバージョンをこのタイミングで公開というのも、なかなかのやり手である。野音では客席後方からという登場は、今回舞台袖からだが、ランウェイに次々と進んで周りのファンを間近に楽しませてくれる。後方のわれわれからも近くに来てくれるわけで嬉しい。ツアー開始早々ではセトリに触れることができないが、みんなが好きな曲(だったかな)というコンセプトから、まさに新旧取り混ぜてのファン歓喜の展開である。どうもこのところ恒例となってしまった「歌詞が飛ぶ」川谷、今回は途中で止めて、確認の間、課長やちゃんMARIにMCで持たせるようにむちゃぶりする。課長は「ステージには魔物がすむってね。おばあちゃんが言ってました」といって、バレリーナだったおばあちゃんや定番のおやじさんのエピソードでつなぐものの、ユルさにかけては川谷に負けないレベル。BLITZはさすがにTBS、ステージの照明がまたきれいなのだが、音も良くて、演奏も今まで以上にパワフルだけど粒立ちが良くて本当に聴きごたえがあって、えつみおコーラス隊や、課長のベースも堪能。結局、ランウェイは本人たちが最初から言っていたように今一つ使いきっていなかったが、川谷といこか様が肩を組んだり、課長が前に出てきたりと、それなりにファンサービスがあって楽しめた。ちゃんMARIの衣裳もとてもかわいかった。本編「次で最後の曲です」、会場「えーっ!」、というお決まりのやり取りなのに、言わずもがな「アンコールあるやん・・・」で笑いを誘ったり、アンコールの最後は新曲、そしておまけにこのところ恒例の、お題を貰っての即興! ギターを抱えた川谷はまず「なぎこー!」と歌いあげてお題を募る。とんでもないお題にもかかわらず、今回は実話をもとにしたというオチを効かせた歌でお楽しみをチルアウト。いつも思うがこんな気取りの全くないステージ、若手のバンドではなかなかない。さてこれからのツアー、行く先々でどんなハプニングがあることか。新木場に戻ってくるのが楽しみだ。

ページの先頭へ

やなぎさわまちことまちこの恐竜 / all about paradise / SUMMERMAN / Yodocolts / Eupholks “Merge, Emerge 1” 2017年10月7日(金)@下北沢BASEMENT BAR
 Eupholksがずっと気になっていて、ようやく生で聴く機会ができた。といっても、メンバーは流動的なので、今日見たEupholksが明日のEupholksと同じとは限らないのだけれども。
 一番手はやなぎさわまちことまちこの恐竜という、いささか人を食ったバンド名に面食らうが、これがなかなか良かった。やなぎさわまちこはソロでも活動している人で、歌の他キーボードやトランペットを使う。この日のバンドはギター2本、ベース、ドラムス、サンプラーやDJを加えての6人組。心地よいバンドサウンドに乗せたフォーキィで牧歌的な歌のスタイルに、ときおりハッとするコード進行や、いろいろとエフェクティブな彩りを添えるサンプラーなどが効果的に配されていて、とても面白かった。あとで物販で買ったやなぎさわのソロ名義のCDを聴いても、同様の印象。これはお気に入りになった。二番手はall about paradise、これも気に入ってしまった。キーボードボーカル、ギター2本、ベース、ドラムスの5人組。バンドとしてはまだ今年結成されたばかりらしいが、洗練された軽快なポップロックを、ダンサブルなノリで聴かせる。サトーカンナの前に出る声と、2本のギターの多彩なリズム、ベースも一曲アレシスマイクロンでビンビンのシンベを聴かせるなど、聴きどころはいっぱい。私は良く知らないがクラブでも盛り上がりそう?な楽しい雰囲気。まずはDLコード付きのステッカーを購入して復習したい。さてここまでの2バンドがツインギターだったけれど、次のSUMMERMANはなんとトリプルギターの5人組。こういうバンドをエモというのだろうか、というような元気のよいギターロック。さらに四番手のYodocoltsは、ボーカルギター、ベース、ドラムスの3ピースのガレージロック風。これがまた非常にパワフルなバンドで、女性ボーカルの3ピースバンドというのがここまでアグレッシブになれるのかと、自分の不明を恥じる次第である。
 さていよいよ、Eupholksの登場。このバンドは小池さんのプロジェクト的な形で、いろいろなメンバーが加わるので、このバンド?を知ったのもチーナフィルでアコーディオンを弾いているマメルダさんが参加したり、heavenstampのサポートで見て好きになったUさんが今日もドラムス、さらに最近indigo la Endのグッズで知ったmegumi yamazakiさんもサポートで入っている、といったことなどによる。しかしもう、演奏始まってすぐのギターとボーカルで、一気に引き込まれてしまった。なめらか、というのもヘンかもしれないが、小池さんが奏でるギターの音と美声が一体となって、全体の音を包み込んで広がる。こういうバンドサウンドにはなかなか出会えるものではない。バンド全体も温かいふっくらとした説得力のあるもの。そして醸し出す雰囲気がまろやかでふくよか。ベースの人はなぜかずっと横向きで不思議なんだけど、時々その人越しに見合って笑顔でタイミングを取る小池さんとUさんの様子がまた楽しくて、ずっとこのまま演奏が終わらなければ良いのにと思ったほど。それにしてもサポートを入れ替えてメンバーが更新され続けるEupholks、いったいどれだけ聞いたらよいのだろうか。欲張りな自分を満足させてくれるラインナップ、素晴らしい企画だった。

ページの先頭へ

CRCK/LCKS ハイスイノナサ "2ndEP『Lighter』リリースツアー" 2017年9月30日(土)@表参道WALL&WALL
 CRCK/LCKS の 2ndEP『Lighter』リリースツアー最終日、対バンはハイスイノナサ、DJに荒内佑(cero)という顔ぶれである。会場の表参道WALL&WALLは音の良さで評判。入ってみたら天井が高く、音響設備もよさそうである。清潔さも含めライブハウスに在りがちな閉塞感がないので、客が大入りでも窮屈さはないが、ステージ低めでフロアに奥行きのあるシューボックスタイプのため、私のような背の低い人間には、真ん中より前でもほとんどステージが見えないのが残念である。
 目当てのハイスイノナサが始まってみれば、確かに音が良く、お馴染の映像作品がステージ後ろに大きく投影されて、すぐに彼らの音楽の世界に引き込まれる。一糸乱れのないアンサンブルがいつもすごい。でも演奏している姿がほぼ見えないせいもあって、アドリブしたり暴れたりするバンドではないから、我儘と知りつつ少しもの足りなさを感じてしまうのは正直なところ。転換のDJもなかなか凝っていたが30分は長く感じた。そしていよいよ、CRCK/LCKS。私はこれが初めて。ジャズを中心に活躍するすごいメンバーが集まった、話題のバンドという。小西のMCや小田の歌がたいへんエモーショナルでありつつ、演奏はテクニカルでクール、個性あふれるメンバーの相乗作用で、ほかで聞いたことのない深いグルーヴが生まれている。ボーカルの語りやささやきの表現の幅が、聞き手になじむかどうかはある。
 全体として音楽的には満足な夜となったが、結局両バンドのメンバーはほとんど見えなかった。も少し背が欲しい♪

ページの先頭へ

チーナ十周年記念企画 vol.1 「みんなでつくろう! チーナのワンマン」 2017年9月16日(土)@渋谷 7th Floor
 チーナのライブは楽しい!まずはそこから!
 オープニングアクトのザ・ジェットスターズとやら(笑)からもう、サービス精神の塊。ドラマーのHAPPYさんがギター、コントラバスの林さんがドラムス(!)、ギターのリーダーさんがベースで、パクチーの歌を歌うという、とんでもない(しかしそこそこ様になっている)演奏である。本編もSAWAGIなど縁の深いバンドから呼んだゲストを交えるなどするサービス精神。タテジマヨーコさんにぴったりと「いい人間になりたい」を選んだとか(歌の魅力は確かに素晴らしいわけですが)、RIDDIMATES の akiragさんのソプラノサックスと椎名さんのピアノボーカルで聴かせる「キャラメルの包み」の美しさはもう、絶品としか言いようがないが、先立つ椎名さんの「akiragさんはただのイケメンに見えますが、ただのイケメンではありませんよ、ほんと面白い人です」というひどいものだったので、しんみりしすぎなかったり。後半はあらかじめ募集していたリクエスト曲から、抽選で5曲選んで演奏するというもの。実際には20曲練習してきたということで、柴さんに言わせるとバイオリンのないパートを除いても3時間はかかったというから、本当にご苦労さんである。ファンは別に、チーナの曲はたいがい気に入っているわけだから、たとえば初期作品から5曲やります。というだけでも、企画としては十分に嬉しいのに、そこをあえて、募集+抽選で、5曲のために20曲練習してライブに臨むというのは、感動的ですらある。まあとにかく、爆笑と感動の波状攻撃で、あっというまの3時間半あまりであった。椎名さんは最初、今日は長いですよーライブ終りの飲み会とかはすぐキャンセルして下さいね」とか、途中でも「5時間ぐらいやります」とか言っていて、まあこれもいつもの調子でファンは楽しんでいるのだが、初めての人がいたらあまりのつじつまの合わなさや毒にやられてしまうだろう。アンコール前にはエンディングテーマを担当した映画『パーフェクト・レボリューション』の監督(椎名さんと親しいらしい)のあいさつもあった。で、アンコールは当然その「世界が全部嘘だとしても」。全部で20曲余りを、いろいろな仕掛け入りで聴かせてくれて、もうこれは12月のキネマ倶楽部が楽しみでしかたない。

ページの先頭へ

MANHOLE NEW WORLD / バスクのスポーツ "NEW WORLD SPORTS 夏の喉自慢大会" 2017年9月9日(土)@大宮ヒソミネ
 超絶変拍子インストバンドのツーマンで、基本的にはほぼ歌わないのに喉自慢大会という(ノウミさんが生ギター弾き語りはしたけど笑)人を食ったようなタイトルが彼ららしい。MNWはようやく、バスクもまだ2度目で、どうしても見たい2バンドの競演とあらば、ちょっと遠いけど足を延ばす価値はあると、出張終りに駆け付けた。入ってみたら驚いたのは、ステージからはみ出してフロアにも置かれている、2バンド9人分の楽器。もともと、正方形に近いスペースを対角線で区切るタイプのレイアウトだが、その対角線部分のフロア側に、ノウミさんのキーボードと、ぬましょうさんのマリンバ&ボンゴなどが置かれている。つまりこのツーマン、基本的には9人がステージ上にいて(ときどき休むメンバーもいるが笑)、演奏はかわるがわるやるという、まあ転換に必要な時間を考えれば効率的な?スタイルである。これでもフロアスペースを少し広げて当日券を出したというのだけれど、40から50人くらいではないだろうか(初めのうちカミヤさんが数えて35人、なんてジェスチャしてたが笑)MNWの演奏中にカミヤさんが準備体操?の腕立て伏せをやったり、ノウミさんが歌う時にMNWの3人が真似をしたりと、まあ伸び伸びとやりたい放題。一曲ずつ相手の曲を演奏したところは、いずれ劣らぬテクニカルなバンドだけあって、圧巻だった。音的にはMNWのマリンバ速弾き、バスクはノウミさんのハモンド&ムーグのプログレ的キーボードが特徴だが、まあとにかくどちらのバンドもテクニカルでプログレッシブ、息もつかせぬ興奮を充満させるステージだった。とはいえユーモアにもあふれ、バスクのカミヤさんからは目が離せないし。MNWのぬましょうさんは途中でかばんの中から次々と、小さなタンバリンなどを出しては観客に渡して、ついにほとんどの観客も演奏に参加する羽目に。後ろの壁際にいたワタシのところには、わざわざ自分のタンバリンを渡してにきてくれるというサービス(もう頑張って鳴らしましたけど、リズム乱していなかったか今でも気がかり)。アンコールに至ってはボンゴやマリンバまで観客にやらせるという無茶ぶりも最高。この小さなキャパに9人が全力で大サービスのライブ、それぞれのワンマンが控えているとはいえ、落ち着いたらぜひまたやってほしい企画である。

ページの先頭へ

ゲスの極み乙女。"丸三角ゲス" ツアーファイナル 2017年9月3日(日)@日比谷野外音楽堂
 8月の渋谷でスタートした「丸三角ゲス」ツアーも、この日比谷野音でいよいよファイナル。前回、野音にゲス乙女を聴きに行ったのが、2015年の5月31日だから、2年あまりたっている。野音は音が聴きやすいし、ステージもよく見えるから、もともと大好きな会場だし、特に課長のテクニカルなベースがよく聞き取れるのがうれしい。
 開演時間から10分ほど押して、配信されるという動画に気を取られているうちに(私は結局うまく見られなかった。新曲の歌詞がシンクロして表示されたらしい)、客席後方からメンバーが登場、フロアにしつらえたお立ち台?でダンス!を始めるという、意表を突くオープニングからステージへ。みなあっけに取られる。その新曲「あなたには負けない」、ステージ後ろのスクリーンにもデザインされたタイトルが書かれて、実に挑発的な歌だが、後のMCでは特に何も主張してはいない、というのが人を食っている(しかもこの日のラストは「スレッドダンス」)。
 ステージに揃ったところで「シアワセ林檎」から怒涛のゲス乙女サウンドにおぼれる。ツアー初日の渋谷と比べて演奏はさらにパワーアップ。セトリは「達磨林檎」からはもちろん、新旧交えての豪華版。「某東京」からのニューアルバムの曲が続いて、「DANCER IN THE DANCER」〜「いけないダンスダンスダンス」〜「いけないダンス」の流れは圧巻。お楽しみの方も、例の達磨さんが転んだの寸劇?の後に、課長のソロダンス(笑)が組み込まれたのは、ツアー中の成り行きらしい。「ドレスを脱げ」からはお馴染の曲でフロアの熱狂を高めていく。
 アンコールは「私以外私じゃないの」の新バージョン〜「ハツミ」〜「スレッドダンス」。この私以外とスレッドダンスのソロ回しが、ちゃんMARIと課長大活躍。終了後、ファンクラブの再開でファンを喜ばせてくれるというおまけもついて、残るはアルバムの発表か。おそらく年明けには出るのではないだろうか。この後すぐの「ッアー」ツアーと併せて、ますますの期待しかない。

ツアーファイナルゆえ備忘にセトリ。

あなたには負けない(新曲)
シアワセ林檎
サイデンティティ
影ソング
ロマンスがありあまる
crying march
某東京
午後のハイファイ
心地艶やかに
小説家みたいなあなたになりたい
Dancer in the dancer
いけないダンスダンスダンス
いけないダンス
darumasan
ドレスを脱げ
アソビ
jajaumasan
星降る夜に花束を
だけど僕は
キラーボール
(アンコール)
私以外私じゃないの(新バージョン)
ハツミ
スレッドダンス

ページの先頭へ

ルルルルズ / sonesolo 2017年8月13日(日)@渋谷7th floor
 フードも美味でゆっくり座れる7th floorで昼ライブ。オープニングはそねざきさんのピアノ弾き語りソロsonesolo。宇多田カバー(確かツイッターでアンケートしていた)を交えたセトリで、グランドピアノの美しい鳴りに溶けあって魅了された。アリソネも近々あるし(都合で行けなくてがっかりだが)、活発な活動で聴く機会が増えるのがうれしい。唯一残念だったのがちょうどそねさんの顔と私の視線の間に置かれるステージドリンク(おなじみ、炭酸を抜いたコカコーラ)。ご尊顔を拝することがなかなかかなわず。そしていよいよルルルルズ。久しぶりである。まずはあの名曲、"All things must pass" でスタート。もうこの曲一発で、好きになってしまったのだ。3年半ぶりのアルバム発売を控え、サックスとフルートを持ちかえる人が二人という、珍しいゲストを迎える。がぜん音が豊かで、面白くなる。新曲はいずれも、ルルルルズの美しさ優しさをそのままに、よりくっきりとした輪郭に仕上げられていて、変わらないものと変わったものの両面に心揺さぶられてしまう。そねさんとのデュエットも楽しかった。「誰もしらない」のMV、「いつものあなたで」の音源はすでに聴けるので、ますます新譜発売への期待が高まる。

ページの先頭へ

チーナ / SOUR / センカヲス "ゆかたで銀ぶら 〜SPECIAL LIVE〜" 2017年8月6日(日)@数寄屋橋公園
 銀座通りと数寄屋橋公園+泰明小学校で繰り広げられたイベント「ゆかたで銀ブラ」の、数寄屋橋公園での無料ライブ。もちろん目当てはチーナだが、SOURとsenkawosは初モノで、いずれもユニークなベテランのバンドでこれも楽しみだった。  チーナは全員浴衣でのステージ。HAPPYさんは胸板を見せてはしゃいでいた。リーダーは背が高いからどんな格好してもカッコイイね。不安定な天気が続いて雨天中止の可能性もあったが、チーナは野外での演奏で雨に降られたことがないという。リーダーが晴れ男だという椎名さんの説明。"Granville Island Market"で元気よくスタート。銀座にもぴったりの曲。野外は音がストレートに広がって、とても聞きやすくて好きだ。まさか数寄屋橋公園でチーナを聴けるなんてね。そう言えば私の初チーナはつくばロックフェス、やはり野外だったことを思い出した。「桃源郷」に続く「シラバス」は最初のピアノとボーカルのイントロがかっこいい。蝉も鳴き出して、まるで張り合っているよう。椎名さんのユニークな詞のセンスが現れる「プールサイド」とつないで、最後が「はじまる」というのがいかにもチーナらしい。30分のステージではどうにも物足りないが、お散歩中に立ち寄った柴犬が、柴さんのバイオリン聴いているのとか、小さな子どもたちとか、野外ステージならではの予期せぬ出来事がまた楽しかった。
 続くSOURは、アコースティックギター・6弦ベース(後で調べたらウッドベースもよく使うみたいだ)・ドラムスの3人組で、これがめっちゃうまい。ギターは高めの声でボーカルも取るが、何と言ってもそのギターはテクニカルでかつ美しい。スリーピースの緊張感あふれるプレイと、むしろギャップとさえ言える優しい歌声との融合が魅力的だった。
 泰明小学校でそろそろ盆踊りも始まってしまうという悪条件中でセンカヲスの登場。これがまためちゃ上手くて楽しい。ギターボーカル、キーボード、ドラムス、ベースに加えて、いろいろな仕掛けで楽しませてくれるパーカッションの5人組。テクニカルでちょっとエスニックさもある、複合リズムも入ってプログレおやじにも何とも嬉しい、スピード感あるジャズロック。痛快な聴きものだった。
 もちろん暑いさなかではあったが、こんな充実したステージを無料で楽しめるのだから、嬉しい企画だった。泰明小学校に出ていた千疋屋のかき氷の屋台の行列が凄すぎて断念したのは残念。三笠会館のバーテンダーさんたちがお洒落だった。

ページの先頭へ

ゲスの極み乙女。全国ワンマンツアー「丸三角ゲス」 2017年8月1日(火)@渋谷WWW-X
 5月10日の、実質的な復活ライブ以来、待ちかねたツアー初日。開場時間の渋谷は土砂降りという、このバンドにありがちな条件の中、もう期待は高まりきっている。何せ復活ライブでは達磨林檎からの曲は殆ど演奏されなかったから、生で聴くのは初めてという曲が並ぶはずだからだ。ところでこのツアー、夏フェスシーズンを挟むので、ファイナルの9月3日日比谷野音まで続くため、ネタバレになることは書きにくい。一方で、これを書いている時点で札幌公演があったわけだが、セトリが結構異なることが分かって、ちょっと驚いてもいる。なんか、面白いことが始まっているなあという予感に満ちている。まあスタートが「シアワセ林檎」だったことぐらいは書いても良いでしょう(これも札幌では違ったらしい)。例のいこかさんとの掛け合いシーン、いこかさんのしぐさがすっかり自然になっていて、女優効果だな!と納得。川谷君はちょこっと歌詞が飛んだりってのがあったが、声はとても良かったし、いつものぐだぐだMCも絶好調?だった。WWWXがスペースシャワーの経営なんだよと言って課長が耳に快い響きですね〜みたいなことを言うと、うそだ入った時スペースシャワーか〜って暗く言っていたとか、ちゃんMARIが服にカレー付けてたとか、まあ結構ひどいぶっちゃけができるのも仲の良い証拠!というような展開。しかし今回のMCで最大の笑いを取ったのはいこかさんの物販。なんと舌をかんだか切ったかしたらしく、タチツテトがうまくしゃべれない。そこに川谷君だったか「黒革の手帳って言ってみて!」と絡む。まあそんなこんなで、いつものゲス乙女でした!って言う感想では、なんだか分かりませんが。肝心の達磨林檎の曲、もうこれもいつものことだけど、CDでもライブでも、複雑なアンサンブルがまったく同じように決まるものだから、ライブで初めて聴いた気がしないくらい。とにかくメンバーの演奏力が素晴らしいので、ライブでもじっくり聴きたくなる(もちろん踊っても跳ねても良いのだが)。だから私のようなおじさんおばさんもライブにかけつけるのである。私は夏フェスにはいかないので、次の野音を楽しみに、余韻に浸ることにしようと思う。

ページの先頭へ

DADARAY "oneman tour「灯火」" 2017年7月22日(土)@赤坂Blitz
 好評の2マンツアーを終えて、大阪と東京のワンマン。赤坂BLITZは2014年11月にゲス乙女のツアーで来て以来だったか。「美しい仕打ち」で幕を開けると、「block off」「ダダイズム」「ダダマン」「ダダックス」と、攻撃的なナンバーが立てつづけに演奏される。ステージは天井が高くて音もよく、紗のカーテンと美しい照明がここまでのミニアルバム&ツアー攻勢のラストを飾るにふさわしい。課長やえつこさんのMC、REISさんのかわいいけどきついことをサラッという感じとか、栄太郎さんの小話?とか、もちろんメンバーのキャラクターは相変わらずなのだけれど、先日の千葉と比べればindigo la Endや川谷Pの話にはまったく触れなかったのは、DADARAYというバンドがしっかりと独立した個性を打ち立てたということを暗示していたのではないかと、勝手に思っている。曲はすでにすっかりおなじみだが、アレンジや曲の繋ぎがプログレだったりして、これはライブならではの楽しみ。アンコールでは新曲も披露し、全18曲のツアーファイナルは充実していた。ファーストミニアルバムが4月の発売だから、早くもこのようなフェーズに到達したバンドというのも、なかなか他にはないだろう。ゲス乙女&インディゴの活動が本格化する中で、DADARAYがどのようなインターバルで活動していくのかは未知数だが、とにかく楽しみが増えたことは間違いない。

ページの先頭へ

DADARAY / YOUR ROMANCE "DADARAY 2man tour「DADAPLUS vol.2」" 2017年7月11日 (火)@千葉LOOK
 この日は仕事の都合で、ちょっと厳しいかなあと思いつつ、千葉LOOKで間近なステージがみたいということもあって、チケットを思い切って買ってあった(結果的にSOLD OUTしたから、買っておいてよかった)。やはりもう開場時間になってようやく職場を出られたほどで、こりゃ厳しいなと思いつつ急ぎ会場へ。結局楽しみにしていた対バンのYOUR ROMANCEにはまったく間に合わず、それでもDADARAYはたぶん3曲目の途中ぐらいには間に合った。とにかくえつこさんの地元ということで、千葉トークが冴えわたったのはいうまでもないが、indigo la Endの新譜フラゲ日ということでティスさんがしゃべるしゃべる。ほとんどえつこさんとのバトル状態だった。この二人や佐藤さんのMCの間のささみおさんの表情(というか無表情)も面白い。私のポジションからはティスさん全く見えず、課長もほとんどネックと左手しか見えなかったのだが、LOOKというハコの特性もあるかもしれないが非常に音が稠密に聞こえて、バンドアンサンブルのさらなる成熟を実感したし、観客との距離も近くライブバンドとしての実績もかなりの勢いで増していると実感。赤坂のワンマンがとにかく楽しみになってきた。

ページの先頭へ

nica / RAMMELS / Via tov "nica 1st single RELEASE PARTY" 2017年7月7日(金)@下北沢THREE
 nicaがついに初の全国流通版シングルを8月にリリースすることが決まった。このリリパに行けば、ほぼひと月早く手に入るわけで、もちろん出かけないわけにはいかない。
 一本目はRAMMELLS。前に聞いたのはいつだっけと思ったら、この顔触れは去年の8月のFABRIC#43だった。おしゃれで長身のベーシストと、小柄な女性キーボードボーカルの見た目も楽しいが、ジャズやブルースを匂わせながらの疾走感のあるサウンドが爽快そのもの。パーティのはじまりにはぴったりだ。
 二番手はVia tov。私はFABRICの時には聴き逃しているのだけれど、一昨年にMARZ ATTACKでやはりnicaと共演した時に聞いている。非常に特徴的な音で、当時生声も良いのだからそこまでエフェクトかけなくてもという感想を持っていたが、今回はそのころよりは生声聴かせていたような。最後の方でゲストにサックスが入って、これがまたカッコ良かった。クールなバンドだ。
 そしてトリはもちろんnica。申し訳ないけれど、このかっこいい音楽を説明する言葉がなかなか見つからない。男女ツインボーカルだけど男声がとても高い。気持ちよいノリをたたき出すドラムスと深く丸い音でテクニカルなベースのリズム隊。ギターは繊細に音選びされている。そしてここぞというところで艶やかに響き渡るサックスの音色がまたたまらない。主役とあってどうやらアルコールも回ってきた応援団も声を挙げ、パーティは大いに盛り上がって幕を下ろした。CDとTシャツを購入したのはいうまでもない。CDを持ちかえって、ゆったりと聞きたい。

ページの先頭へ

ENTHROLLS / チーナ "月面着陸" 2017年7月2日(日)@三軒茶屋GRAPEFRUIT MOON
 今日は万華鏡作家のひとの投影と、合間はDJのセンスの良いBGMを織り交ぜつつ、魅力的なツーマンを、着席でゆっくり楽しめる企画。こういうのは年寄りにはありがたい。
 ENTHROLLSは久しぶり。HPを見ると3人組のようだが、今日はキーボードボーカルの井上さんとキーボードの青木さんの二人で始まり、サポートドラムが加わった。青木さんが思い切ってサンプラーなどの機材をそろえたと言っていたが、チーナの林さんが加わっての四人になって青木さんがアップライトピアノを弾く2曲が、特に好きな感じだった。井上さんは相変わらずの張りのある声で、歌に説得力がある。よいバンドだなあ。物販で新しいアルバムを購入。
 チーナはいつものようにというか、いつも以上に椎名さんの愉快なMCを交えての展開。通常の形態のライブは久しぶりとのこと。何よりもチーナは10周年を迎えたそうで、「10年なんてあっという間ですよ、みんなすぐに死にますよ」という、何の衒いもなくすっと飛躍するコメントが椎名さんの天才である。ENTHROLLSの井上さんとは親しく、井上さんも言っていたが彼女の不幸を楽しんでいるとか。井上さんがツナ缶を開けて食べようとしたがお箸がない話とか。そもそも、ツナ缶を開けて食べようとしているんですよ、それにこの髪の毛も不幸っぽくないですか、みたいな話で、とにかく面白い。演奏を始めようというところで「あっ」と言っていきなりライブの告知を初めてリーダーを怒らせたりとか、お約束のやり取りなんだがまったくお約束なしでそういうことが起こる。井上さんに歌わせるのはこれしかないと選んだのが「あやまりではじまり」。なるほどと唸った。考えてみれば椎名さん以外の歌でチーナの曲を聴くのは初めてだと思うが、こうして聴くとよい歌作っているのだなあと改めて思う。チーナはどんどん演奏のクオリティが上がるのだが、ハッピーさんのドラムの熟練がその大きなポイントかもしれない。コントラバスとバイオリンが、リズムに乗って跳ねる跳ねる!5人のコンビネーションがすばらしい。アンコールはオーナーが暗い曲をリクエストしたけど明るい曲やりますと「Granville Island Market」。暗い曲って何だったんだろう、とちょっと気になりつつ、幸せな夜は終わった。10周年記念ライブのチケットを早速購入して帰宅した。後で気がついたが、チケットには「10周年企画第一弾」と書いてある。第二弾以降もあるのか。楽しみ。

ページの先頭へ

DADARAY presents "DADAPLUS 〜SPECIAL PARTY〜" 2017年6月10日 (土)@東京キネマ倶楽部
 ツーマンツアーに先立ってのスペシャルパーティーは、オープニングアクトとしてenon=川谷絵音がアナウンスされ、ファンの注目を集めていた。東京キネマ倶楽部のステージ、中二階?の入り口から降りてきての登場、打ち込みのバックや自身の生ギターでindigoや「ひこうき雲」のカバーをリラックスして披露。会場のお題を5つでの即興は、観客も容赦しない。ハーフとか(もっともこれは先立ってのMCでREISがハーフじゃないという話を自分でしていたせいもある)マッシュルームとか。川谷もそんなお題をdisりながらも(「顔覚えたからな!」とか笑)、そこそこ長考の揚句、うまいことまとめていた。「REISが応援するつもりなんだろうけどE・N・O・N!とか言ってほんと腹立つ」などとなかなか不機嫌そうなMCで会場を笑わせていたが、その後インディゴのメンバーが勢ぞろい(後鳥さん久しぶり!)して、新曲、インディゴラブストーリー、夏夜のマジックと3曲聞かせて、これはもう観客狂喜である。インディゴ再始動のステージとなった。
 ここまでで一時間くらいだったか、ちょっと川谷盛り上げすぎじゃないか、DADARAYがやりにくいんじゃないかと思わないでもなかったが、とんでもなかった。「美しい仕打ち」からはじまったDADARAYのパフォーマンスは圧倒的な説得力に満ちていた。このバンドはすごいことになっている。REISの声がまず磨きがかかっている。迫力となめらかさがともに増していて、最初の頃の「ちょっときつめ?」という感じが全くなくなった。バックバンドを含めた演奏の安定感も、最初からあったものがさらにまとまって、全体の密度が高まっている。えつこのアグレッシブだがオープンマインドなスタイルも、休日課長の彩鮮やかに浮かび上がるベースの音も、個性を打ち出しながらもREISの歌を確かに引き立てる。面白いのだが、これだけ決まった6人で演奏していて、一体感があるのに、やっぱりDADARAYの3人とサポートの3人、なのである。メンバーとサポートの関係というのが、親しい仲間たちだからこそ上手く作られるのだろうか。
 REISのマイペース感のあるMC、あえての「E・N・O・N」に、ブルゾンえつみのえつこ&課長長田の寸劇と、ファンを楽しませるネタも挟み込みながら、新曲「誰かがキスをした」も含め11曲、「イキツクシ」で締めた後はアンコール、MVも話題の「Breeze in Me」、そして「灯火」は特別な編曲で、最後の繰り返しでぐんぐん盛り上がって(キラーボールのアダルトバージョンを思い出す)幕を閉じた。レトロできらびやかなキネマ倶楽部の意匠に、モダンなDADARAYのステージはとてもよく似合ったと思う。これからの2マンツアー、そして赤坂BLITZのワンマン、楽しみでしかたない。

ページの先頭へ

アルクゥ / 石井卓とジョン中村 / Andare / katyusha / full full full  hajimecobain presents "Your Soul Needs vol.8"  2017年5月14日(日)@稲毛K'S DREAM
 katyushaが大好きなので、数少ないライブにはなるべく行くようにしています。今日は稲毛。地元が千葉ということで、じつは埼玉住まいの自分にとっては、下北沢に行くより便利。何でもブッキングマネージャーのhajimekobain氏の(本当は前日が)39歳誕生日を祝う企画?らしい。アルクゥはそのはじめさんがドラムスで、アルクゥとしてはまだ新しいバンドということでしたが、うまいギターボーカルは昔からはじめさんに世話になってきたというようなことでした。なおはじめさんのお母さんやお嫁さんも来ていてやや緊張気味らしい。小気味良いバンドサウンドを楽しんだ後は石井卓とジョン中村、これはギターボーカルとドラムスの二人組で、とにかくすごい迫力。バンドとしてはスリーピースが究極のスタイルのように思ってしまいがちですが、このように二人でガチのロックを聴かされると、本当にロックの真髄をむき出しで見せられた気になります。Andareはアンデアと読むそうで、国吉亜耶子and西川真悟Duoがバンドスタイルになったということだそう。で、このピアノボーカルの国吉が凄い声。厚みがあるし切れ味が鋭くて、痛快。曲も歌も迫力があって小気味よく、加えてバンドメンバーも超個性派ぞろい。よくも集まったものだと思うくらい絵的にも印象が強烈。さていよいよkatyusha、なんと今年初めてのライブで、一か月前にリハに入った時はまあ合わない合わない!とか。ヤンチャそうなえつこさん、はじめさんに「なんかおとなっぽくなった」といじられていたましろうさん、ドラムスの一見ほんわかしたえりこさんのトリオは、演奏が始まるやリズムの塊のようになります。もうほんとカッコイイです!初めて聴いた時の感動と興奮を、聞くたびに味わえます。このタイトでパワフルな音、もっともっと聞きたい。そしてうれしい発表、12月にアルバム発売と都内ワンマン!待ち遠しいです。というところで、わたしは翌日の予定のためここでリタイアでした。

ページの先頭へ

ゲスの極み乙女。"『達磨林檎』発売記念ライブ" 2017年5月10日(水)@ZEPP TOKYO
 ようやくのライブ活動の再開。タイアップや紅白で何となく知った程度の一般の人たちは、その後の一連の騒動で関心を失ってしまったかもしれないが、アルバムを買ったりライブに通ったりしていたファンは、彼らの音楽に飢えていたから、待ちに待った『達磨林檎』の発売とライブ再開、感無量である。しかも当日、会場で『達磨林檎』を買った人がくじを引けて、当選したら入れるという、いささか一か八か感のある企画なので、わざわざやってきて外れの缶バッジだったらどうしよう・・・でも行きたい!という筋金入り?のファンが集うわけで、これが盛り上がらないはずがない。
 会場は前から後ろまでギッチリ埋まり、ステージを隔てるスクリーンには『達磨林檎』からのMVが繰り返し映し出され、いやがおうにも期待が高まっていく。そして5ヶ月ぶりの彼らの姿が現れ「パラレルスペック」の前奏が聞こえるや、観客の熱狂はいきなり高まる。「私以外私じゃないの」は当然として、ベース大活躍の「星降る夜に花束を」のぐんぐん来るビートは素晴らしい。そして次は何と「サイデンティティ」、これもサビが魅力いっぱいだ。
 ニューアルバムからはまず「心地艶やかに」。私はこの曲がこのアルバムで一番好きかもしれない。「ロマンスがありあまる」を挟んで「某東京」。これはコーラスが大活躍で魅力だ。「シアワセ林檎」以外の収録曲はライブ初披露だがもう完璧に仕上がっていたと思う。もっともMCでは川谷が「達磨林檎」からの曲はここまでということで、こんなに新曲やらなくてよいのかと思いながらもセットリストが上に通っちゃって・・・みたいな、相変わらずぶっちゃけトークで笑わせる。もちろん聴衆には不満はないだろう。今日はこうして、また彼らの音楽を変わらず楽しめるようになったという喜びを共有しているのだから。
 そして「ホワイトワルツ」「ドレスを脱げ」「jajaumasan」「キラーボール」と、鉄壁の盛り上げ定番曲で畳みかけての黄金のエンディング。そしてアンコールはしっとりと「ルミリー」「ユレルカレル」。ここで驚きと感動を覚えたのは、演奏するメンバーの影を次々と切り替えて映し出す照明だ。というのもしばらく前にジョナサン・デミが亡くなって、私はTalking Headsの"STOP MAKING SENCE"を思い、もしジョナサン・デミがゲスの極み乙女。のMVを作ったらどんなかなあ、と夢想していたのだったが、それが目の前で展開しているように思えたのである。照明の担当のスタッフさんもデミのファンだったのかな、と嬉しくも感動したのだ。そして、川谷のイメージにもっとも合っているように感じてしまう「crying march」をもって、復活のスタートが終わった。シンボルの達磨の片目をメンバーが交互に入れて行き(その時のやり取りも面白いのだが)記念写真を撮影、いよいよメンバーとお別れというところで、まだ帰らないでね、と川谷はいい残し、はけた後のスクリーンで全国ワンマンツアー 「丸三角ゲス」決定のお知らせ! やはり小規模なライブハウスが多いが(渋谷WWWXなんて、凄い倍率だろう・・・)、ラストの日比谷野音は何とか行きたい!野音は反響がないから音が本当によく聴こえて、特に課長のベースが心地よいので最高だ。
 後日、AbemaTVで一時間編集して放映されたが、ほんとうに記念すべきライブなので、ぜひアンコールまで含めてDVDにして欲しいと強く願う。

M1.パラレルスペック M2.私以外私じゃないの M3.星降る夜に花束を M4.サイデンティティ M5.心地艶やかに M6.ロマンスがありあまる M7.某東京 M8.シアワセ林檎 M9.ホワイトワルツ M10.ドレスを脱げ M11.jajaumasan M12.キラーボール EN1.ルミリー EN2.ユレルカレル EN3.crying march

ページの先頭へ

"VIVA LA ROCK day2" 2017年5月4日(木・祝)@さいたまスーパーアリーナ
 ビバラは近くて楽しいから、来たいのは山々だけど、懐具合もあるしどうしようかな、と迷っていたところ、なんと DADARAY の参戦がアナウンスされて、一も二もなく行く事に。しかし DADARAY は GARDEN STAGE だから、ただ見もできるのである。そうは言っても、やっぱり行く以上はフルに楽しみたいので、妻と二人で出かけた。スタートはもちろん、キュウソネコカミ。朝イチ、VIVAステージ、しかも同じ関西のDENIMSとかぶると言うあたり、絶好調にかみつく笑。観客の上を歩きながらマイクが死んだと言いつつ後輩には負けたくない!後輩とはSHISHAMOじゃあ!などと、もう面白くて仕方がない。これで一日が始まるというのは、鹿野さんにそういって説得された通りになったね。さて次は水曜日のカンパネラに行ったのだが、正直なところ私も妻もいまひとつ・・・なので、いったん外に出て屋台を回ることにする。ローストビーフ丼やゴマだれうどんをシェアして楽しむ。私としてはCAVEステージを覗きたかったのだが、妻と一緒となると、というところもあって、SPECIAL OTHERSから復帰。これはもう、申し分のないベテランの気迫。そしてSTARステージで東京スカパラダイス・オーケストラ。これはもう楽しいとしか言いようがない。その後はDADARAY待ちに外へ出てGARDENステージへ。もちろんリハからじっくり見るつもりである。最初のうちはドラムが別の人(上手い!)だったので、今日はサポートメンバー違うのかな?と思ったら、終り頃に栄太郎さんが交替。いつもの顔ぶれに。最後に退けた休日課長が、「ベースの音がうるさいとかないですかあ?」と呼びかけて笑いを取る。まあちょっともうステージが相変わらず見えない位置だねえ、と背伸びしているうちに本番スタート。まだミニアルバム発売から一カ月で、ライブハウス2回に、インストアでアコースチックセット、そして小さいながら野外ステージと、いろいろなシチュエーションで聴けてうれしい。REISさんの通りのよい美声、えつこさんのキレ味の良いピアノ、課長のマニアックなこだわりのベースと、野外ならではのクリアな解像度で楽しめる。あっという間に30分、短くて名残惜しいほどのステージだった。その後はイチゴ削りを食べて一休み。うーんceroは行きたかったけどね・・・。というところでSTARステージのリラックスゾーンに戻って、Suchmos、うん、これはカッコイイよね!と思ったら妻がすでにノリノリである。帰りにCD注文させられてしまった。サカナクションが始まってしばらくしたところで、これは二人ともうーんとなってふらふらと外へ。ピエール中野のDJをちょっと楽しんで、そば食べて帰りました。中高年夫婦としてはいろいろと無理は利きませんので。

ページの先頭へ

"ORIE解散!4年間ありがとう!" 2017年4月30日(日)@下北沢BASEMENT BAR + THREE
 ORIE解散記念フェス?のような企画で、隣り合う二つのハコで全部聞こうと思えば聞ける、半日使っての大サービス。ORIEはさわやか元気なバンドというイメージが強かったけれど、これからの展開があればもっと面白くなったのか、こういう形で次のステージに向かった方が良いということなのかもしれない。
 まずはKOTORIからスタート。カワイイ名前なのにストレートで気合十分、オープニングから目を覚まさせてくれた。隣に移動して、一本目というか昼の部のORIE。わかつきるなさんの声は良く通る。いつもながら、あの小さな体で大きなベース抱えて、本当に元気だ。次に東京パピーズ。このバンドも名前のかわいらしさに反してガチでロックだし上手い。そしておいしくるメロンパン。バンド名からイメージするゆる甘なところは実はみじんもない!スリーピースバンドの理想形のようなスピード感。少ないセットリストでドラムソロ入れちゃうってくらい、演奏もすごくうまいし。これは驚かされた。ここでちょっと疲れてきたので、遅い昼食を取りに下北沢の街へ。戻って166cm楽しかった。バンド名通りにへんに背伸びしたところのない、ストレートな若いバンド。そしてお目当てのAtlantis Airportは、新曲からのスタート。もう何をかいわんや、サポートのしおんさん込みで息もピタリとあって、ステージを見るたびにパワーアップしている気がする。大好きなバンド。次にこれも期待のFINLANDS。やはりこの声はすごい。最初エフェクトかけて作っているのかと思うほどの独特の倍音が出ている。曲も演奏も攻めまくり。バンド名から厚着しているのだろうが、これからの季節野外とかたいへんそうだ。パプアニューギニアとかにしたらどうだろう。夏だけでも。Johannは初めてだったけどツインドラムスのインストでめちゃ乗れて、これはかなり気に入った。バンド名から来るイメージと違ったのだが、じつは四畳半から来ていて、グッズの図版も四畳半柄だった。MCではおじさん色を出していたが、このパワーはおじさんにしては爽快だった。saidはストレートなギターロック。そして最後のお目当てのメランコリック写楽。成仏できなーい♪とか歌詞も面白いし、MCは行っちゃってるし。最後までいたかったがやはり日曜の夜はじいさんにはこれくらいが潮時である。ORIEの皆さんの今後の活躍を祈りつつ。

ページの先頭へ

sone+JittaryJackal/Aimee/Vityazz/nica "Fabric #49" 2017年4月18日(火)@新宿MARZ
 おなじみ(というほど行けていないけれど)MARZの平日お得企画。仕事の都合でアリソネに行けなくてがっかりしていたところ、まだ行けていなかったそねさんのプロジェクトと、ありささんのnicaがあるので、今度こそと勇んで出かけて行った。そのsone+JittaryJackalからのスタート。サンプラーを巧みに操るJittaryJackalと、ボーカルのsoneの二人組。そねさんがとても気持ちよさそうに、シーケンスに身をゆだねるように歌う。sonesolo、アリソネ、Atlantic Airportとはまたさらに異なったそねさんのスタイルがあった。二番手のAimeeは全く予備知識がなかったが、友田ジュンさんがキーボードのほか、ウッドベースとドラムス、それにボーカルという組み合わせ。ジャンル的にはジャズだろうか。歌ものもさることながら途中で聴かせるピアノのアドリブがスピード感とボリュームで凄技を見せるなど、がっちりした3人のバック演奏がまた素晴らしかった。三番手はVittyazzで、これがまたウッドベース、ドラムス、ギター&ボイスの3ピース。ボイスといってもスキャット風で、歌詞を歌っているわけではない(と思う)。で、このジャズ風のバンド、とんでもなくテクニカルかつタイトで、たいそうカッコ良かったのである。ロック中心のライブハウスではそれほど出会えないタイプなのだが、近々配信でEPを出すようなので、ぜひ入手して繰り返し聴きたいと思う。トリはnica。6人組にキーボードサポートの7人だが、久しぶりに見てあれっと思ったのは、男女ツインボーカルがよく動くようになったということ。これまではどちらかというと静的というか、ありささんはピアノの後ろにいて、あおきさんは腰かけて、以心伝心という感じで歌っているように思うのだが、今回はピアノも横向きで、二人ともリズミカルに動きながら歌う。フロントの印象ががらりと変わったほどだ。その効果も加わって、とても明るく躍動感のある演奏に感じられ、nicaのこれからがさらに楽しみになってきた。夏ごろと言われている音源の発表も楽しみである。

ページの先頭へ

DADARAY "DADAPLUS VOL.1 TOKYO" 2017年4月12日(水)@新代田FEVER
 DADARAYと阿佐ヶ谷ロマンティクスの対バン。久しぶりの新代田FEVER、期待にあふれたお客さんで、開場町の雰囲気も明るい。ERAでの初お目見えの時も、タワレコのときもほとんどステージが見えなかったので、あまり良い整理番号ではなかったけれども、少し期待しての入場。後ろの方ではあったけれども、まあまあ見える場所をキープできた。まずは、久しぶりの阿佐ヶ谷ロマンティクス。最初に聞いたときも好印象だったが、改めて、大人数でポジティブで都会的だけれども親しみのある音と雰囲気が、よいバンドだなあという感を強くした。あんがい、こういうタイプのバンドは少ないのではないだろうか。今回は新曲が、なかなか心地よいコード進行に載せたボーカルがかっこよくて、特に印象に残った。終盤の盛り上がりが楽しかった。さて後半はDADARAYである。これはほんとに、バンドが仕上がっていく、そして進化して行く過程を、目の前にしているのだなあという、ざわざわするような興奮に満ちたステージだった。会場が違うせいはもちろんあるが、メンバーの出す音や声が確信にあふれ、デビュー企画のときより大きくスケールアップしているのである。特に休日課長のベースがよく聞こえ、バンド全体のグルーブを作りだしている様子がはっきりと伝わってきた。新曲も加わってアンコール含め14曲、既発の音源は5曲なのだから、どこまで行くのかと思ったら、5月と6月にそれぞれ6曲と7曲入りのミニアルバムを立てつづけに出すとか。この創造性のスピードこそ、川谷とその作品を実体化する周辺ミュージシャンの凄さだ。6月から7月にかけてのツーマンやワンマンのライブスケジュールも発表され、一方でゲスの極み乙女。活動再開によってこっちはどうなるの、というファンの心配は払拭された。欠かさずライブに行きたいバンドが確実に増えたということだ。

ページの先頭へ

"YOIMACHI2017" 2017年4月9日(日)@大塚Hearts+, Deepa, MEETS
 ただでさえ方向音痴の私、大塚のライブハウスは初めてである。まずは北口に出て、Hearts+に寄ってリストバンド交換。駅に戻って自由通路を南口に。Deepaもすぐ見つかった。思っていたより近いので、行き来は楽そうだ。
 一本目は予備知識がないので、とりあえずDeepaに入って、ennを聴く。サウスポーのテレキャスが残響系エフェクトで音の壁を作り、プレシジョンがごつごつした低音を支える。オルタナっぽいギターロックだった。半分ぐらい聞いたところで、すぐ近くのMEETSへ。カワズの後半を聴く。こちらはややとがり気味の印象のオルタナかな?大塚ネタで笑いも取っていたが。
 さて勢いをつけたところでHearts+に戻って、今日一番目のお目当て、バスクのスポーツ。初めて聴いてすぐにCD買ったほどお気に入り、ようやく生で見られる。もうちょっとこれ、素晴らしすぎる。演奏はコテコテのプログレで、キーボードは指見てたらこれ相当な人だ。楽器はハモンドのSK1とmoog sub37(たぶん・・・)と、機材は新しいが70年代プログレ王道の組合せで、音はビンテージを再現するものだ。ベースとドラムスは複合リズムにもいっさい乱れないタイトさ、そしてとんでもないモヒカン上裸のギター!この四人が繰り出すインストプログレは、スリリングそのものだ。噂の発光スケベ椅子は極めてシンプルな構造だった笑。これはもう、ロングセットやワンマンぜひ行きたくなる。
 次はDeepaで小林未季でチルアウト。普段、バーなどで歌っていてライブハウスはあまり慣れていないそうで、去年は一曲入魂で上手くいかなくて今年は頑張る、みたいなことを言っていた。ギター、ベース、ドラムスがバック。あたたかな曲、まろやかな声質でなごむ。
 続いてHearts+に戻って、これまた楽しみにしていた羊文学。ずいぶんメンバーチェンジ繰り返しているようだが、おそらくギターボーカルの個性がはっきり出ているのだろう。スリーピースとは思えない轟音で、印象としてはtricotを思い出したけれど、とにかくとても気になるバンド。
 ここで小休止を入れる。ふだんのポリシーは、サーキットでは回れるだけ回る!なんだけど、翌日は朝から仕事だし、万が一にも年度早々足腰を壊すわけにはいかないアラ還としては、夜の部に備えておかなければならない。ということでちょい戦線離脱。一時間半ほど休んでいたのだが、戦線復帰してみたらどこも時間が押してきていて、3つ飛ばしのつもりがほぼ2つ飛ばしで済んでしまった。
 というわけで間に合ったHealthy Dynamite Club、7人編成。これは元気が出て目が覚めた!バンド名そのままの、陽気な音。セミアコエレアコのツインギターににドラムとパーカッション、ベースとキーボード、そしてノリのよいボーカル。パーカッションの人(あとでHP見たら名前がふるさと捨て夫ってどうなの)はシェイカー振りながらフロアに降りてくるし、ボーカルは大塚ネタで「おおつかむすめ〜♪」と歌うし、まあとにかくお祭りバンドだった。
 次はインスト轟音系、I love you Orchestra。トリプルギター(一人は時々キーボード)、ツインドラムス、ベースの6人。クラシックのフレーズを入れたりするが、音はあくまでもヘヴィ。怖いバンドかなと思うとサイリウム振るし。後で調べたら成り立ちからプロデュースまで破天荒で自由なバンドだった。気になる。
 MEETSはあまり押していないようなので、そそくさと移動して笹口騒音&ニューオリンピックス。笹口騒音は相変わらずのゲスいMCをリハから飛ばしまくる。ニューオリンピックスで聴くのは初めてだが、小回りが利く分、より笹口騒音らしさが表現さているのかなと思った。
 次は見逃せない聞き逃せない、クウチュウ戦。演奏技術がどうのこうのいうレベルのはるか上を行きつつ、ギターボーカルによるメンバー紹介はひどいし、なんとも形容しがたい化け物バンドである。ベントラーカオルはフロアに転がり出てきちゃうし。
 ここでDeepaに移動、あとは終演まで動かない。Emeraldはジャズやソウルなどのアメリカンミュージックがルーツなのかな。演奏も歌もとても心地よい大人の音。終演後ボーカルの人がキリンジの堀米さんのつもりで歌っていたというようなことを話しているのが聞こえてきて、なるほどなあと思った。
 お次は久しぶりに聴く箱庭の室内楽。ハシダカズマのとめどもないMCだらだらトークも面白いけれど、いつものように複雑な構成の楽曲を紡ぎ出すバンドの実力はさすが。非常に複雑に絡み合ったようでいて精緻なリズムを刻む新曲「ふしぎなおどり」が気にいったので、会場限定?CDRを購入した。とてもよい感じ。
 50分押し?ぐらいで始まったのが、もうすっかりおなじみ、大好きなチーナ。始まる前に喫茶店でリーダー見かけたり、入り前に椎名さんにちょっと挨拶できたり、かるくコミュニケートできるのは良いねえ。Deepaのステージの高さだと椎名さんの指は見えなかったが、柴さんのバイオリンがよく見えた。今回も明るく楽しい雰囲気で、のびのびとした演奏を楽しませてくれた。バンドも客もいっしょになってこんなに楽しそうにしているステージというのは、ありそうでいてない。
 もう押しすぎていて笑っちゃうレベルなのだが、明日は仕事で家は遠いという条件で、クロージングアクトのオワリカラに最後まで付き合えるかどうか?という不安なスタートとなった。ロールシャッハで盛り上がるオープニングから、フロアは盛り上がる。ヒョウリくんカッコイイし、ツダさんファッション異次元に行っちゃってるし、聞いても見ても誰もこの勢いを止められない。ヒョウリ君の歯で引くギターは堪能したが、アンコールを待てずに駅に走った私は、その後例のあの曲をやったのかなと・・・勘がないようにしています。
 というわけで、終わってみれば、(フルに聴けなかったものも混ざるが)13バンド、うち8バンドは初モノと、かなり頑張ったほうだ。大塚のライブハウスも初めてなら、バスクのスポーツや羊文学を初めてライブで聴けたのもよかったし、クウチュウ戦、チーナ、オワリカラなどは何度聞いても良いし。最近増えてきたサーキットは、定番がいくつも聴けるお得感と、新しいバンドをたくさん試せるチャンスで、ほんとうに楽しい。次はいつ、どこに行こうか。

ページの先頭へ

DADARAY "タワーレコード・インストアミニライブ" 2017年4月5日(水)@TOWER RECORDS渋谷店
 DADARAYのミニアルバム発売記念のインストアイベントに行ってきた。場所は渋谷タワレコの屋上スペース。アコースティックライブだがメンバーはサポート含めて6人が揃うということもあって、なかなかの盛況、私は後ろの方だったのでえつこさんの帽子ぐらいしか見えなかった。アコースティックライブと言っても、いつものサポートメンバー3人もそろっているし、休日課長がエレアコベース使ったりしているが音的には音源のものと大きく違うと言うことはなく、短い時間だったが和やかな雰囲気で楽しめた。終了後はサイン入りポストカードのお渡し会で3人のメンバーとハイタッチ。

ページの先頭へ

チーナ×チーナ・フィルハーモニック・オーケストラ "「PULL」&「PUSH」Wレコ発2マンLIVE" 2017年2月25日(土)@代官山UNIT
 ああもうすばらしい! ずっと予告されていた、チーナとチーナフィルのツーマン、あまりにも楽しみにしていたし、本当に最高のコンディションでこの日のライブは繰り広げられた。去年のクリスマスの千葉LOOKで、チーナは最高のライブができたと言っていたけれど、ちょうど2カ月後のこの日は、5人のバンドのクオリティはさらに高まっていた!これに先立つツーマンツアーで、いろいろなコラボレーションを試みてきたとのことで、これまたYouTubeにあげてくれてそれも楽しめたのだけれど、おそらくそういう交流の中から、新たな自信とひらめきがあったのかもしれない。
 チーナはお約束「はじまる」で始まり。なじみの曲と新譜の曲ととりまぜて9曲。「プールサイド」も好きだし、バンドとしてのライブはこれが初めてという「キャラメルの包み」はもうほんとに大好きな歌。この歌詞の、シンプルだけどすべての状況や情景を包み込んだ素晴らしさ、あのサビ(なのかな)のたった一行の言葉は椎名さんの天才を明らかにしている。「おへその目指す方へ」で一休みに。
 転換(これがたいへんそう)中は、アルバム作成中の動画を流してくれて、これがまた楽しい。あの「コーラス賛歌」コーラスレコーディングの風景が懐かしい。椎名さんが後でMCで「勝手に流しちゃいましたが事務所的にまずい人いましたか?いたらリーダーに言って下さい。リーダー金持ちなんで」とかとぼけたことをいつものように言って笑わせてくれたが。
 さて後半、チーナ・フィルハーモニック・オーケストラである。ステージはどっと賑やかな15人編成になって、「アンドロイド」で幕開け。もうこれは、すごいとしか言えない。音の迫力、躍動感、このユニークな編成が、もうぴたりとはまっていて、この15人だからこそのアレンジが楽しくて仕方がない。「わりとみにくいアヒルの子」、「四面楚歌」となじみの曲から、ライブで初めてという「紙ひこうき」、そしてお待ちかねの「コーラス賛歌」。もちろんオーディエンスは強制参加。「録音した人たちは当然ちゃんと歌わなきゃだめです!」と椎名さん。盛り上がりました!「蟻の行進も」大好き。そして、何と終わりは「はじまる」。「はじまる」で始まって「はじまる」で終わるなんて、なんという趣向だろうか。
 とは言ってももちろん、アンコールである。やはりあれはぜひやってほしいと、おそらくファンのみんなが思うであろう(とワタシが勝手に思っているだけかもしれないが)「それでそれから」!この始まりの、ハープとスチールパンとソプラノサックスのところ、思い出すだけでじわりと来るほど。思い出に鍵をするのは、忘れたくもないし思い出したくもないから、なんてハッとさせられた歌詞。そして「乾杯の挨拶」で楽しく盛り上がって、夢のようなライブは幕を閉じてしまった。
 会場も異なるし時間も経っているから、単純に比較できないのは当然だが、チーナフィルは明らかに成長して、お互いの音を探り合う必要なく思うままの音でアンサンブルが決まる集合体になったと思った。チーナフィルデビューのライブのDVDも買ったし、この余韻をしばらく味わいつづけることにする。幸せ。

ページの先頭へ

DADARAY / susquatch / DJ 有るジェルゴッドリッジ "DADARAY presents「DADAIST vol.1」" 2017年2月23日(木)@下北沢ERA
 ついに始動した休日課長のプロジェクト、DADARAYの企画である。新曲のMVは公開されるや数日で50万回以上再生され、チケットは瞬間で売り切れ。楽曲提供は川谷とあって、indigo/ゲス乙女ファンの注目を一気に集めた感じだ。物販でTシャツを買って、いざ会場へ。もうぎっしりと人が埋まって、身動きが取れない。ERAがこんな状態になっているのにでくわしたのは初めてだ。まずはsusquatchから。4人編成のベテラン、英語のロックンロールはかっこいい。indigoにゆかりがあって、メンバーはMVにも出ている。何のビデオか当ててみてとふろうと思ったら、本人がばらしてしまう、という展開に大笑い。熱く濃厚な演奏を堪能した。十分以上に温まったところで、DJ有るジェルゴッドリッジ、つまり栄太郎さんのDJに。会場が詰まっているので踊ろうにも踊れない状態というのはDJにはちょっと厳しいが、みんな楽しそう。ラストはindigoの曲で繋いで、観客は大喜びだった。さていよいよ、DADARAYの登場である。休日課長、REIS、えつこの3人組(課長両手に花状態いつもいいねえ)に、ささみおさんのコーラス、栄太郎ドラムスに長田ギターとくれば、ゲス乙女ファンもindigoファンも胸を熱くせずにはいられない。大歓声に包まれて登場すると、観客は息をのむように一曲一曲に耳を傾ける。何せ、完全に公開されたのは「イキツクシ」一曲だけなので、もうすべてを聴きもらしたくないのである。まずいいたいのは、REISさんの歌で、これがとてもよい。MVで聴いてけっこうきつめの声質かなあと思っていたのだが、ライブで聴くと、強さに加えて丸みがまして、上手いなあという感じ。えつこさんのコーラスと、サポートのささみおさんのバックも加わって、贅沢な女声の厚みに酔う。課長のベースも自在に動き回り、ちょっとプログレッシブでアヴァンギャルドな曲なども楽しそう。ゲス乙女のいこかさんのドラムスとの組み合わせは絶妙だが、栄太郎さんのパワフルなドラミングにはまた違った強さで応えている。まさに職人ベースだなあと思う。ティスさんのギターももちろんここぞというところで飛び交う。もうこれは、6人編成のバンドといってもよいくらいだ。発売予定のミニアルバムの収録曲数以上のレパートリーがすでになって、恐らくプレス向きに配布されたのであろうセトリがツイッターで流れて、そこに曲名が入っていたので、ここにも備忘として載せておく。予告されているミニアルバム収録数より多い笑。実質的にバンドお披露目と新曲お披露目でもあったわけで、帰り道はまるで夢の中にいるようだった。ゲス乙女/indigoの再開も待ち遠しいが、その間を埋めるDADARAYにも期待が高まった。

01美しい仕打ち
02block off
03東京Σ
04誰かがキスをした
05ダダイズム
069月に落ちるひとしずく
07イキツクシ
アンコール
08灯火

ページの先頭へ

nica / HeatMiser / アダチヨウスケグループ "shibuya HOME 9th Anniversary 「LUNCH TIME IS POP」" 2017年2月19日(日)@渋谷HOME
 なかなかチャンスがなかったnicaのライブ、都合のよい日曜日のお昼に、カレーを食べながら楽しめると言う企画に喜んで出かけてみた。nicaはアコースチックセットということだが、いつもとそれほど違うわけではない。6人編成でキーボードは入らないが、ギターが生でドラムスがパーカッションで、アリサさんも歌のみという構成。目の前が江川さんのサックスというのが贅沢でとてもよかった。近々、PV公開予定という曲、そのサックスとおがやさんのベースの低音の絡みがもうエロティックなほど。CDも待ち遠しい。やっぱりこの音楽は、日常的に聴いていたいよ。二番手のHeatMiserは、ギターボーカルの、一見ギャルっぽい?女子のプロジェクトらしい。ボーカルはフワフワした感じで、音はアメリカンロックなのか、ブルースっぽかったりカントリーぽかったり、不思議な感じ。かっちりと真面目そうなドラム、なんか泣きそうな感じ(失礼)のベース、なんか怒ってるみたいな(失礼)キーボードパーカッションで、大丈夫なのかと思ったが、MCの時はみんな和やかな表情なのでよかった普通じゃんとなんかホッとする。バンドの音は勿論まとまっているが、もうちょっとボーカルがくっきりすると分かりやすいというのは私の単なる好みの問題。MCだが、世界40カ国を回るツアーをやった(!)ということと、そのために大学を留年した(・・・)ということ、この二つしかしゃべらなかった笑。曲間は基本全員無言という、沈黙に強い人たちだ。後で調べたら大学は慶応SFCみたいだし、なんかいろいろすごい人みたいだ。これからどうなっていくのか見当もつかない、謎めいたバンドだった。トリはアダチヨウスケグループ。こちらの顔ぶれはまあ見た目は統一感がなくて素敵。ベースとキーボードが短髪メガネチェックのシャツという秋葉原的な感じ、ドラムスとトロンボーンは女性なんだけどステージっぽい飾り付けの全くない感じ(これも失礼か?)。アダチヨウスケはミュージシャンっぽい感じだけど。トロンボーンの人は新婚旅行で台湾に行って来たらしい。なんてことはどうでもよいけど、いかにもベテランのロックンロールバンドの音で、迫力ありつつ安心して身を委ねられる。グリーンカレーもおいしかったし(アリサさんはカレー好きだがあまり辛いと耳の中がかゆくなると言うの分かります)、気軽に楽しめる昼ライブ、ちょっと癖になるかもしれない。

ページの先頭へ

Co shu Nie / ATLANTIS AIRPORT / CICADA / エドガー・サリヴァン "コシュニエ オーロラコレクション 蝶篇inTokyo" 2017年1月30日(月)@下北沢SHELTER
 エドガー・サリヴァンは生は久しぶり。「らぶ」がMVはヤバい(本当に)し、曲もすごく良くてカラオケにも入ったのでよく歌っているが、その後の新譜もよかったし、かなり楽しみにしていた。やはり音源以上の躍動感と、佐々木萌さんの美しさもあって、期待以上の楽しさだった。CICADAもまたすごい久しぶりなんだけれど、記憶していた以上にパワフルだった。ベースの木村さんが抜けてしまうということだけれど、話題にしたものの湿っぽさもなく、木村さんもバンドも次のステップへ踏み出す感じだった。しばらくはサポートで埋めていくようだが、ここで新しいメンバーが加われば、さらに新しい展開が生まれるだろうか。Atlantis Airportに関しては、とにかく会場限定NEO TOKYOが未入手のままだったので、会場について速攻で購入してひと安心。修士論文に追われつつもしおんさんはすっかりメンバーのようになじんでいたし、イメチェン?で髪やひげのお手入れを欠かさないあべさんドラムスと裸足のまなぶさんベースは息もぴったり。そねさんよでんさんは相変わらずのクオリティだ。新しい曲はどれもポジティブでポップな明るさで光っている。私としてはもっとヒネリの効いた曲も加えてほしいところではあるが。そして、いよいよのコシュニエ。一言で言うと、どんどんカッコよくなってる!今や何物にも似ていないコシュニエサウンドの個性が打ち立てられている。グロー感のある響きのボーカルはどんなに派手な演奏にも埋もれない強さがあるし、ベースラインのかっこよさも最高。2人+サポートドラムという少人数編成だからこその楽曲と演奏の凝集感とでもいうべきものの凄さを感じる。会場限定シングル2枚を買って家で復習したけど、どの曲も個性的で、コシュニエならではのスリルと陰影にハッとさせられてばかりだ。

ページの先頭へ

sora tob sakana / siraph / ハイスイノナサ "照井順政生誕祭" 2017年1月19日(木)@渋谷WWW
 マスフェスでハイスイノナサの素晴らしさにすっかりやられてしまったものの、なかなかそれ以降のチャンスがなかったところに、ようやく回ってきたのがこの企画。とはいえ照井プロデュースのsora tob sakanaは平均年齢14歳の4人組アイドルグループである。自分は大丈夫かなと思いつつ、久しぶりのWWWへ。
 「お目当ては?」と聞かれた前の人が「おさかなで」というのを耳にして、なんか「ハイスイノナサ!」とキッパリというのがキッパリ過ぎたかもしれないと反省しつつ、ぎっしり埋まったWWWの一番後ろにとりあえず陣取る。
 さすがはもと映画館(だからなのかどうかは知らないが)、ステージ裏のスクリーンに映し出される映像は見ごたえがある。sora tob sakanaが始まると、サイリウムの光や掛け声が飛び交い、これはちょっと困ったぞと思ったのもつかの間。数曲したところで、いかにも照井らしいポリリズミックなイントロの曲。彼女たちはこういう凝った曲を今から歌って踊っているのだから、将来が非常に楽しみな気がしてきた。ラスト2曲は「てるりん」たち「おさかなバンド」の生演奏になって、さすがに迫力も乗りも変わってくる。贅沢な構成だ。
 続いてはAnnabelが歌うsiraph、こちらも初モノだったが、しっとりとしつつも迫力のあるボーカル、しゃれたメロディと演奏の、聴き心地の良いバンドだった。
 転換中はAnnabelと「てるりん」の掛け合いMCでつなぐ。時間的にsora tob sakanaの皆さんはもう帰ったはず、これからはようやく下ネタが言える!という喜びを語っていた笑。そしていよいよの、8人編成となったハイスイノナサの登場である。照井は例の3文字言葉で雄たけびをあげ、いわく「合コン編成」の男女4人ずつの、スリリングな演奏が繰り広げられていく。あの複雑な楽曲が次々と、ライブならではの音圧と臨場感を伴って、湧き上がっていく。映像の効果も素晴らしい。まだまだハイスイノナサ初心者の私としては、これからさらに聴き込んで、ライブも楽しませてもらうつもりである。それにしてもあの気さくな人柄と、音楽とのギャップには未だに驚いているが。

ページの先頭へ

Wasalabo. / Ry / ヨルニトケル / Emu sickS / ミスタニスタ / コハクノアカリ "ゆたちん炎のスペシャルイベント〜土日BOOKING編〜" 2017年1月15日(日)@下北沢ERA
 なかなか予定の合わないWasalabo.を久しぶりに楽しめるのと、ちょっと気になっていたコハクノアカリが出て、全6バンドで予約2000円と、なかなかのお得感で下北沢ERAに向かった。他の4バンドは全く予備知識もなく、あえて予習もせず。Wasalabo.がトップでコハクノアカリがトリだから、中の4つも当然、聴くことになるわけで、良い出会いがあるとよいなあという気持ちだった。
 まずはWasalabo.から。今日はベーシストが「仕事で島に行っている」ために不在の3人編成。どんな仕事なのかが気になる。「二人がとてもシャイなので、私が頑張ります!」というドラムの杉山さんが、必死に笑顔ですべりまくってMCを務めたのもご愛嬌、みおさんの低域が豊かで滑らかに艶のある歌声がよく、これはこれでアリだね!と思った。今回はベースラインが重要な"wasabossa"なしで、「水の器」で締めた。どんな編成であれみおさんの歌には説得力がある。
 二番手のRy(らい、と読むそうだ)、これがなかなかの見つけモノだった。スリーピースだがギターボーカルが基本アコギ(最後の曲はセミアコに持ち替えていたが)で、力強くも流麗なアルペジオやコードカッティング、残響系のエフェクトやギターシンセをかます。歌も英語を交えて上手いし、インストの曲もあってこれがなかなか壮大。物販で「Ryってライクーダーのライ?」と尋ねたらその通りとのこと。気になるバンドが増えた。  三番手はヨルニトケル。4ピースでスピード感のあるストレートなロックだった。続いては大阪からのEmu sickS。これはかなり気に行った。眼鏡の普通の学生っぽいドラマーが、もう最初っからハイテンションで喋りまくり、叩きまくる。後で調べたらプロフィールの名前が「16ビートはやお」である笑。ギターボーカルも普通の学生っぽいのだが、やはりノリがよい。雑な言い方であることは承知の上で、大阪のバンドらしい、お笑い精神を破天荒なパワーでぶつけてくる、嫌いになるのがすごく難しいタイプのバンドだった。トリ前は京都から来たミスタニスタ、ここもまたなかなかのお笑いパワーを持っていた。ドラマーのおかしな文字Tシャツはトレードマークのよう。ギターボーカルの声質はとてもよくて、君を忘れてしまうと言うこととかいうまじめな?歌の時にはその実力がよく伝わる。たまたまかもしれないけど関西からの2バンド、どちらも笑顔で元気で、爽快痛快。TOKYO CALLINGで感じたことが確信に変わりつつある(笑)。好きだわ関西。
 さて、いよいよトリのコハクノアカリである。女性ボーカルでバイオリン入りという、単純すぎるかもしれないが私の好きな要素が揃っているので、気の効いたバンド名を知った時にちょっと予習はしてあった。聴き心地のよいボーカルだし、バイオリンもきれいだし、予想通りの雰囲気だった。コーラスをつけるギターも上手いしかっこいいし、全体に清潔でお洒落な感じが、結構これから行くんじゃないの感を漂わせていた。ちょっと引くのは最前におっさんが増えて、やたらとステージを撮影していること。まあ別に迷惑でもないのだけれど、こういうのは初めて見たので驚いた。
 ということで、ゆたちんが何なのか分からなかった(ブッキング担当者かな)とはいえ、毛色の違った6バンドを楽しんで満足の日曜の夜だった。

ページの先頭へ

copyright 2014-2017 rim-mei