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"紅白歌合戦" 2015年12月31日(木)@NHKホール
 まさか生で見ることになるとは夢にも思わなかった紅白。なぜ見に行く事になったかといういきさつはここでは省くが、最初で最後かもしれないという思いで、妻と二人で訪れたNHKホール。
 指定された席に着くと、紅白2本の長い風船と、大型のペンライトみたいなものがおいてある。放映時間の30分ほど前に、前説が始まる。有働アナは黒いドレスの大きく開いた背中を見せて、「出てくるときに、スタッフからきれいな背中ですねと言われたので。わたし、顔もついてるんですけど」と笑わせるのはさすがの貫録。プロデューサーからは、風船やペンライトの使い方の説明や、曲に合わせた振りの練習。ペンライトはリモコンで色が変わるとか。振りはほとんど覚えられなかった笑。会場は3000人、スタッフは1000人とのこと。あとトイレ休憩はテレビのニュースの時間だけなので、カメラなどが動いているのでぶつからないように気を付けていただいて、どうぞ行きたいときに行ってください、との余裕の案内。結局自分はあのニュースタイムに行ったので、ちょっと開始時間に遅れたが、どうということもなかった。
 もちろん、主たる観客はテレビの前なので、クレーンカメラは平気で視界を横切るが、面白いのはセットの転換。出演順とセットはうまく考えて組み合わせている。セットもプロジェクションマッピングを多用しているから物理的には思ったよりシンプルだった。昔はもっと大変だったのではないだろうか。そういう意味で大物感があったのは石川さゆりだ。福山雅治などほかのアーチストは会場外の中継でもステージに大きく映し出されたが、BUMP OF CHIKEN の時はステージ上方の小さなスクリーンに映すのみで、ステージ側は大規模な転換をしている。上手の奥行たっぷりに遠近感のある柱が並んでいく。オープニングの部分だけなのに大勢の三味線奏者が居並び、始まればドライアイスの湯気も大量。会場ではせっかくBUMPなのにな〜という印象だが、後で録画を見て気づいたのは、当然ながら中継の部分はテレビで見る限りホールの映像と大差はないから、これでよいのか、ということと、ステージではぞろぞろと退場していった三味線奏者の人たちが、テレビでは一瞬のうちにいなくなったような演出になっているなど、さすがの凝りようだなと思った。
 さて、目当ての人たちについてだが、まずやはり椎名林檎はかっこよかった。いきなり向井秀徳が登場するは、後ろには浮雲が寝そべっているは、ヒイズミマサユ機はピアノソロ聴かせるは、AyaBambiと一緒に踊る椎名林檎、最高に艶っぽかった。それからPerfumeはMVなどで見る通りの不思議な映像をステージで完全に再現していた。これは会場で見ていても同じ。よくできているなあと感心。それからなんといっても楽しみは初登場ゲスの極み乙女。、ステージではメンバーの顔写真をプリントした衣装に着替えての登場。さすがの川谷絵音も緊張しているとは思ったが、コーラス隊に見慣れない女子、いや、見紛うはずもない、ぱいぱいでか美ちゃんがいる! こんなサプライズが許されるとは、NHKもなかなか粋だ。
 他に面白かったことをいくつか。水森かおりや小林幸子の大掛かりなセットも、テレビでは見せない仕掛けも見えるステージ斜め前からその出入りまで見物していると苦労がわかるし、あんな高いところでよく平気で歌ってるな〜というプロ意識にも感心する。ゴールデンボンバーのサービス精神も大したものである。AKBなどの若い女性集団は目の保養だが、あまりほっそりした子を見ると心配になる。その点、E-girlsの皆さんはダンスで鍛えているだけあって、しっかりした太ももが健康そうで安心する。朝ドラの出演者たちを生で見られたとか、スターウォーズのドロイドたち、特にBB-8が実際に動いているのを見られたとか、そんなことも思い出になる。
 行く前は、正直ほとんどの出演者には興味があまりないので、退屈しないだろうかと心配だったけれど、かえって普段見ることのない分、さまざまなジャンルのアーチストが次々と登場するのは、楽しく、退屈することはなかった。視聴率も上がらずいろいろ言われていはいるが、現場を見るとさすがに伝統あるイベントだけのことはあると思った。深夜運転の電車と、途中からタクシーを乗り継いでやっと帰り着いた正月。疲れたけど楽しかった。

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吉澤嘉代子 "秘密ツアー" 2015年12月17日(木)@LIQUID ROOM 恵比寿
 吉澤嘉代子のライブに行くのは初めてである。恵比寿リキッドはツアーのセミファイナル。仕事終わりに駆け付けたが、ファンクラブ限定で販売されていた廃盤『魔女図鑑』が売り切れにはがっかりしたものの、気を取り直して会場に入る。若い女の子がほとんどかと心配していたが、男子も多いし、何よりも気になっていたおっさん密度は案外、低くはなくてほっとする(というのも変だが)。ステージは「綺麗」のMVのようなセットで、幻想的な美しさ。いやがおうにも高まる期待に、大好きな「ユキカ」で幕を開ける。アレンジはステージ向けに工夫されていて盛り上がる。「キスはあせらず」「未成年の主張」と、彼女の声の魅力が引き立つ絶妙なセットリストが進んでいったところで、「チョベリグ」ではフロアに降りてきて、私の近くも通ってくれてうれしい。自分がリキッドに観客としてきたときの思い出などを織り込んで話して、ステージに戻り際、「まだ私に触ってない人〜?」「うおー!!!!」「女の子だけだよ〜!」「うおー(こっちは男子の落胆の声・・・あたりまえだけどね!)」とからかわれるのがまたうれしかったり(<バカ)。私が彼女の歌にのめり込むきっかけとなった「泣き虫ジュゴン」、やっぱりいい歌だな―と感動すると同時に、吉澤はステージからいったん衣装替えに消えるのだが、ここでギターの弓木英梨乃がエモいソロを聴かせる。ふんわりした感じの女性なのにまあそのカッコイイこと。バックのメンバーはいずれもベテランぞろいで、吉澤の歌を引き立たせる。後半は「綺麗」から怒涛の名曲が立て続けに。「ブルーベリーシガレット」では歌詞の痛さをものともしないでサングラスかけて歌っちゃうし、「ケケケ」ではシェーバーポーズでフロアとつながって、「必殺サイボーグ」でエンディング。可愛くて面白くてちょっと痛い、吉澤佳代子の世界が楽しかった。アンコールでは次のアルバムのタイトル曲「東京絶景」と新曲を披露、また新年のホールツアーが予告された。行きたいなあ。

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大比良瑞希/Kai Takahashi/ルルルルズ/大和田慧/uquiyo/wonderver "TUNECONNECT 2015" 2015年12月16日(水)@原宿アストロホール
 久々にルルルルズが聴きたくて、学生中心のイベントらしいこのイベントに出かけて行った。一番手はこのところ縁がある大比良瑞希。今回はソロだ。チェロが入らないとどうかなと思ったら、途中からは打ち込みのバックも加わり、変化があって楽しめた。見た目がクールでかっこいいからついつい気付かないが、声質はまろやかで温かみがある。だからその取り合わせがよいのだと思う。またバンドでやるという発言もあって、これもちょっと楽しみである。二番手はKai Takahashi(Lucky Tapes)。多方面で活躍している人のようだ。打ちこみとサンプリングとミニキーボード等を使った演奏で、ワタシに分かるジャンルではなかったのだが(DJ風?)、終りの方で大比良瑞希が加わり、さらに本人も歌ったら、案外ハリのある声でいい感じであった。さて次はいよいよ目当てのルルルルズ。ほぼ一年ぶりの上、前回はキーボード氏は留学中、アトランティスエアポートのアコースティック企画での演奏だったのだが、そこでもう一気に気に入ってしまったのだった。とにかくモミさんの歌がすばらしいし、アダルトでモダンな曲がその声や歌い方にぴったりで、伴奏もバイオリンが要所で引き立って、本当に感動的なのだ。今回ようやくフルバンドで聴いたわけだが、アルバムで繰り返し聴いてきた印象そのままに、うっとりと聴かせてもらった。最高だ。さて次は大和田慧、初めてである。この人はニューヨークでも歌っていて、ソウルやアメリカンポップスをルーツにしているそうでいやもう本当に上手い。ピアノ伴奏だけで本格的な歌を聴いたという満足感でいっぱいになる。ここまででタイムアップ。uquiyoとwonderverは聴けなくて残念。

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Marmalade butcher×ATLANTIS AIRPORT/CO SHU NIE "Rembrandt Rays Release Tour" 2015年12月6日(日)@新宿 MARZ
 マーマレード・ブッチャーとアトランティス・エアポートのスプリットアルバム発売記念ツアーの最終日、ゲストにコシュニエという豪華三本立てのライブに出かけて行った。スタートギリギリに入ったら、フロアが結構埋まっていて、この組合せは、どのバンドのファンにとっても魅力的だと確信。
 ちょっと押していよいよコシュニエからのスタート。3人組だと思ったら正式メンバーは5弦ベースの男子と、ボーカルギターの女子の2名で、ドラムスはサポートのようだ。ボーカルギターがキーボードや打ち込みも担当しているようで、ステージでもサンプラーやシークエンスを駆使して複雑なリズムやヒネリの効いたアンサンブルを生みだしていた。ボーカルの声や雰囲気が個性的。打ち込みを多用するバンドに生ドラムがいるのをよく見かける気がするが、そのことで音に説得力が出るように感じる。率直に言うと私個人は、どのバンドということではなくステージで打ち込みを使っていると今一つ乗り切れないところがあって、コシュニエも初ということでその今一つ感はあったのだが、いくつかの楽曲に引っかかるというか非常に気になるものがあったので、物販にいたお兄さんに尋ねてCDを一枚買って帰った。後日談としては、このCDで復習してとても気に入ったので、また聞きに行きたいと思っている。打ち込みを使用する都合上なのかベースのMCがあと10秒!とか言われながらノート読みあげているのも愉快だったりする。
 さて、マーマレード・ブッチャーは私はまだ2回目だが、モテるインストが売りだけあってとにかくカッコイイのである。高速で複雑なリズム、テクニカルなギターが唯一無二。このインストバンドに、今回のスプリットアルバムでは、ゲストにそねさんが加わり、ボーカルを提供しているのが「降下する都市」。当然、そねさんがステージに立ち、CDより心もちワイルドに歌い上げる。そねさんの出番が終わってからにえぬさんが、そねさんは知らないがこの曲はエロゲーに基づいた歌だとネタばらし。MCはにえぬさんも大谷さんもゆるゆるだが、宅録、同人誌、エロゲーといったオタク文化を背景に持ちつつマスロック界を昇華して行くマ肉の音楽は、他所者にとってはいつの間にか巻き込まれ絡め取られていく危険に満ちている。
 さてトリはアトランティス・エアポート。ボノさんの脱退で二人組になってしまうと思いきや、ずっとドラムサポートしていたお馴染あべさんの正式加入と、新ベースまなぶさんが加わって、すぐに4人体制に。マ肉のJ氏のギターサポートも続いていて、隙のない5人編成でツアーも回ってきた。初めて耳にするあべ/まなぶのリズム隊は強力だ。まなぶさんは小柄な(150ないと自分で言っていた)女子だが、見た目を裏切るキレキレのベースを弾くし、あべさんのドラムとのコンビネーションも完ぺきというか、お互いの力を引き出し合っているかのようなパワフルさに圧倒された。まなぶさんは何とMC担当で、これまたハキハキとして明瞭そのもの。そねさんも最近はカッチリとMCを決めにかかっていたが、今回は完全にまなぶさんに任せたようで、バンドの引き締まり加減を象徴しているかのような雰囲気だった。聴く毎に旧曲もパワーアップという印象は毎回のことだが、スプリットCD収録の2曲と、アンコールで披露された新曲を聴いて、タイトでパワフルな楽曲を叩き上げていこうとしているアトランティスエアポートの方向性が見えたような気がした。

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大比良瑞希/エドガー・サリヴァン/箱庭の室内楽/nica "nica's kichen order.1" 2015年12月4日(金)@新宿MARZ
 nicaによる初企画で、江古田の喫茶ポルトもフードで参加、4バンドのいずれも楽しみなライブだったが、仕事の都合で大比良瑞希は聴けず、エドガー・サリヴァンのラストからの入りとなってしまった。大比良瑞希はこの前マーズアタックと同じチェロの伊藤さんとの二人編成だったようで、聴きたかった。エドガー・サリヴァンは初ものだったので残念。物販でそう言ったら「その曲も入ってますからぜひ!」と佐々木萌さんに勧められて、思わずCD買ってしまった。萌さんのキラキラ感に抵抗できる人はいないだろう・・・。箱庭の室内楽は4ピースバンド構成。10月のMARZ ATTACKでハシダカズマのソロを見ていたから、ここでようやくバンドで聴けて、大いに楽しんだ。MCはあいかわらず。そしてトリはもちろんのnica。うーんこのバンドを聴く幸福感をどう喩えたらよいのだろう? アリサさんの歌も青木さんの歌も美しいし、バックの皆さんの安定感も温かみもすばらしい。江川さんのサックスも艶っぽい。同じ歌もアリソネで聴くときと違うのは当たり前なのだが、よく分からないけれどたぶんアリサさんが包み込まれているようなふわふわしたやわらかさみたいなものがある。アリソネではそねさんがあの調子だからアリサさんはお姉さん的に映るのだが、nicaでは確かに女王様的なんだけど男性メンバーの豊かな楽音が包み込んでいるんだよなあ・・・。そして最後はなんと、歌姫が全員集合で「中央フリーウェイ」を歌うというサプライズ!ということで、この日もすばらしい音楽に酔いました。order.2を楽しみに。

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katyusha "歌えば尊し" 2015年11月18日(水)@下北沢SHELTER
 ゲスの極み乙女。やindigo la Endのバックコーラスでおなじみの、えつこさんのバンド。千葉での活動が多いらしく、都内ではこれが初のワンマンになるとのこと。ゲスの幕張公演でサプライズ公表された、川谷が勝手に予約したという下北沢SHELTERは、雨模様だったけれど満員の盛況で、客席には休日課長らしき人とか、福井伸実さん(美人!)とかいるし、和やかな中にも期待が充満する空間になっていた。いよいよ、えつこさんのピアノ弾き語りで幕を開けるが、歌のうまさにピアノもダイナミックに、ふつふつとわき上がるような情感があふれる。2曲ほどでメンバーが合流。バンドは3人、見た感じふわっとした女性ドラマーと、かっこいい男性ベーシスト。これが始まるとタイトで複雑だが気持ちよいリズムを打ち出して、変幻自在のピアノと絡み合う。ピアノも基本、打楽器だから、ギターレスのピアノ入りの編成というのは、要するにパーカッシブで、祝祭性が高いのだ。乗れるリズム、技巧的なアンサンブル、パワフルな歌唱と、なんとも私好みのバンドだった。中休みでは何とインディゴがフルメンバーで登場し、一曲披露というお楽しみもありで、前の週には千葉でゲス乙女もライブに合流していたぐらいだから、バンドつながりの人脈の広がりも素晴らしく思える。帰りには当然、CDも購入。えつこさんが忙しいのでなかなか機会が限られるようだが、ぜひ聴きに来たいバンドが増えた。

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アリソネ / Addicted by sigma / The quilt / 1984 "MIX UP"  2015年10月26日(月)@新宿MARZ
 またまたadv2000円(+1drink)で楽しめる企画。平日夜は翌日が気になってなかなか足が向かないが、今回は4バンド中の2バンドがすでにお気に入りである上に、その一つである Addicted by sigma がこれで活動休止(メンバーがライブ中にうっかり解散と言っていたが、事実上そういうことなのだろう)という次第なので、どうにも聞き逃せない夜だった。
 この日のトップはアリソネ。そねさんはアリサさんから借りていた「アレシスちゃん」(MICRONのこと)が壊れてしまったので、「新機材」(MAC)持ち込みである。ちなみによでんさんから借りていたJUNO-Gも壊れたらしい。いずれも「左側」が壊れたということだが、一体どういう壊れ方なのかは分からない。さてその新機材、要はリズムの打ち込みだったのだが、リズムパターンが流れ出すと最初はちょっとこれは・・・と心配になるような斬新さなのだが、二人の歌が載ってくると、これがまた不思議にも良くなじんだ伴奏に聞こえるのである。ということで毎回色々なサプライズのあるステージだが、歌の美しさ、力強さは変わらない。二人の声質が全く異なるので、この組み合わせで聴く歌の彩は独特で美しい。サプライズと言えば、12/4のnicaの企画に続いて、12/6にATLANTIS AIRPORT × Marmalade butcherが、いずれもここMARZで行われるとのこと。今から待ち遠しい。
 二番手は初もの、The quilt。男子4人組のギターロックで、バンド名からは何となくトラッドの香りを想像していたらほとんど真逆な、挑発的で激しいステージアクションと、突き刺さるような爆音で、攻撃的なステージを見せた。メンバーチェンジなどの事情でやや停滞していたらしい活動を、これから大いに盛り上げていこうという意気込みにあふれていた。
 三番手は、ついに活動休止となるAddicted by sigma。勝手な想像だが、若いバンドだから、学生メンバーの進路とか、そういった事情であろうか。しかし演奏力もみな高く、なかでもボーカルのハルカさんの歌唱力はなかなかのもので、まだまだ伸びしろがありそうなだけに、非常に残念な思いではある。今回は前回以上にいきいきとしたステージで、確か前に聞いた時はベーシストがけがしていてたいへんそうだったのだが、今回は元気そうで安心もしたりしつつ、全員が力いっぱい、本当にいきいきとしたステージを見せてくれた。音楽を続けるメンバーがいたとしたら、このバンドから巣立っていく事ができたというのはなかなか幸福なことではないだろうか。ハルカさんの歌、ぜひまた聴きたい。
 ラストは1984。正直なところ、次の日の仕事もあるので、ここらで失礼しちゃおうかなと、フロアから階段を上がっていたのだが、演奏が始まるとこれがなかなか良いので、結局2階でほぼ最後まで聞いてしまった。バンド名からこっちはダークなディストピア風の音を想像していたのに、爽快でスピード感のあるギターロックだった。バンドのまとまりも良い感じで、MCも面白かったし、素直で明るい楽曲でフロアもリラックスして楽しんでいた。これまたゆっくり楽しんで聴きたいバンドだと思った。
 そんなわけで、充実した夜を過ごすことができて、ちょっとさびしいけれど大満足の月曜日の夜だった。

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"ミミノコロックフェス" 2015年10月24日(土)@吉祥寺PLANET K, SILVER ELEPHANT, WARP, SHUFFLE
 NUMBER VOGELが仕掛ける、吉祥寺の4つのライブハウスを使ってのサーキットフェス。ワンマン以来行っていなかったMENOZが出るというのがこのフェスを知ったきっかけだが、最近はライブで訪れることが比較的少ない吉祥寺、面白そうなバンドを見つけられればというつもりもあって、いそいそと出かけた。
 受付のプラネットKでリストバンド交換、そのまま入るとCHERRY NADE 169がやっていたが、会場はほぼいっぱいで、いきなりの盛り上がり具合。少し聴いたところでシルバーエレファントに移動してみた。同世代ぐらいの、おそらくバンドメンバーのお母さんと思われる人が満を持して待機していたり、身内と思われる人たちの「今日はお父さんは来られないのよ〜」などの会話がきこえたりして、和やかな雰囲気で始まったのがtheBrush。リーダーはプラKで働いている人らしい。で、これがかなり面白かった。ご当地ソングと思われるほど身近な地名がいろいろ織り込まれた歌詞は、不倫とか青春とかおっぱいとかがテーマらしいが、なかなか面白いし、バンドの演奏も痛快。ただソロでも活動しているキーボードの人が今月で脱退とのこと。通しで聴いたバンドの一本目としては、大当たりだった。
 もともと、ほとんど予備知識もなくバンド名と勘を頼りに回ることにしていたが、このあと一通り4つの箱を回り、THE BOY MEETS GIRL、 LILY、アンテナ、256、Synclonized doorといったところを、ちょっとずつ聴いてみた。たまたま回ったのがそうだったのかもしれないけれど、若い男たちのギターロックがほとんどで、それぞれによかった。今も昔も主流はやはりこれだなんだね!と年寄りは妙な所に納得する。しかしまた年寄りは年寄りらしく、これだけ続くとやや聴き疲れしてきたというのも正直なところ。
 そうこうしているうちに、Shuffleで規制かかってMENOZ聴けなかったら何しに来たかわからないと気になって(実際にはそんなことはなかったのだが)、ひとつ前のはねカエルというバンドから入ることにしたのだが、これがかなりの当たりだった。けっこう活動歴の長い人たちのようで、久々に集まってライブというシチュエーションのようだったが、熱くハードなのに円熟した渋さがあふれている。これで満足感が高まったところで、いよいよ本日最大のお目当てのMENOZである。リハから待っていたら、大好きな「僕らのナツ。」を少しやってくれて、もううれしくなっている。今日は目の前が角谷さんで、キーボードとは思えないマッチョボディに斬新なTシャツが迫力満点。ひかるさんのイメージがとにかく強いけれど、ギターのテツさんの軟らかめな雰囲気といい、メンバーの見た目的な個性も楽しいのだ。クマさんの声もいいんだよね。ひかるさんは相変わらずのパフォーマンスで、元気いっぱいに歌って、跳ねて、今日も短いけれどいつものように楽しいステージだった。で、やっぱり気づいてみると、昔シンセサイザーをいじっていたからでもないだろうが、自分はキーボードの入っているバンドの音になじみやすいみたいだ。
 いい加減足腰が疲れてきてもいたので、そのままShuffleに居ついて聴き続けることにしたら、結果的に女性ボーカル+キーボード入りのバンドばかりで、私にはどれも良い感じだった。ENTHRALLSは、ギターレスでキーボードがいる4ピース。リズム隊のタイトさとピアノのアンサンブルが、やや低めの声域をまろやかに響かせる女性ボーカルを引き立てる。メロディラインが個性的で魅力的なので、もっと聴きたくなる。1000sayは「せんせい」と読むのかと思っていたら「あさうざんどせい」だった。4ピースでヴォーカルベースとドラムスが女子、ボーカルギターとキーボードが男子という構成が面白い。男子は髪を染めて白いつなぎ着ていて、いかにもエレクトロ系だが、とにかくバンド全体が元気が良い。海外でも活動し、12/5には10周年ワンマンをやるとのことだが、10周年というのが逆に意外に思えるほどの活きの良さで、これからも楽しみ。
 さて、Shuffleのトリはなんとさめざめである。福井伸実とのコラボレーションで知ったものの、おっさんにはなかなか足を運びにくいバンドであるが、この機会に聴けて良かった。笛田さおりの才能とキャラクターは知られている通りで、この日のステージでも楽曲はもとよりステージアクトの破天荒?は期待以上だった。ピアノの佳奈子といいギターの人といい、独特のミステリアスな雰囲気をステージに漂わせて、あられもない言葉や身振りも、ギリギリのところまで笛田ワールドを沸騰させる。始まる前にはおっさんにとっては刺激が強いかなと思っていたが、このギリギリ加減が絶妙で、最後までのらせてもらった。笛田さおり恐るべし。
 率直に言って、私がいた限りではShuffleはあまり入りが多くない感じだったけれど(それに入口が分かりにくくて、目がちかちかする模様の階段も老眼おやじには怖いけれど笑)、見たバンドはどれも良かったし、それぞれの個性が光っていた。翌日の休日出勤を控えて、ここで帰ることにしたが、素晴らしい音楽の一日に恵まれて、幸せな気分で懐かしの吉祥寺(小学生時代の大半をここで過ごしたのだ)を後にした。

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nica / ZaFeeDo / ハシダカズマ(箱庭の室内楽) / 大比良瑞希X伊藤修平 / Via tov "MARZ ATTACK" 2015年10月22日(木) @新宿MARZ
 平日夜だがこのメンツをadv2000円で楽しめるのはなんともお得というか太っ腹な企画である。一番手はVia tov。ギターボーカル、ベース、ドラムス、キーボードコーラスの4人編成。あとでサイトを見たら女性のキーボードコーラスの人はサポートのようで、正規メンバーは3人のよう。ジャジーな雰囲気でボーカルもほとんどが英語らしい。ドラムスは難しいリズムをたたき出し、ピアノもインプロが入ってかっこいい。私の好みとしてはボーカルがエフェクトかけ過ぎというかかけっぱなしなぐらいなのがちょっともったいないというか、ピアノの人がコーラスつけるときなんか自然に良い感じだし、もっと生声が聞きたいと思ってしまうのだが。
 二番手は大比良瑞希X伊藤修平。これはまず絵的にやられる。ギターボーカルの大比良瑞希がまずかっこいいし、伊藤修平はチェロである。大比良はバンドをやっていたが昨年からソロに転向。MCで同じ江古田の地元のnicaと飲み明かしたことを紹介して、人数が多くていいなあと漏らしていた。セミアコとレスポールを持ちかえながらキレのいいカッティングやプレイに押し出しの良い低めの声で歌う。チェロがボウイングとピチカートを使い分けて低音とリズムをおおらかに支える。この組み合わせはなんとも巧妙。大比良瑞希は歌もギターもロックなのだが、チェロとの組合せでけっこううっとりとした気分にさせられる。
 三番手はハシダカズマ。ギター抱えての弾き語り、となると私の苦手なタイプのはずだが、なにせ箱庭の室内楽のリーダー、そこは一筋縄ではいかなかった。クラシックギターがまずとんでもなく上手いし、楽曲のヒネリもきいていて、ゆるめるモ!の三分の一は自分の曲というように、作詞作曲の技が伝わるのだが、仕事を変わったら給料が三割減ったとか、自虐を交えた毒舌で、まあよくしゃべること、これがまた面白い。最大11人の箱庭の室内楽、あまり活動しないのは人数が多くてお金もかかる、マックで伴奏付けたらメンバーいらないんじゃないかと思う、メンバー来てないよな、だいたい自分のソロの時メンバー来たことがない、仲悪いわけじゃないですよ、良くもないけど・・・といった具合。楽しかったし、マックをバックに演奏した曲も確かに十分に箱庭っぽかったけど、大編成の箱庭もやっぱりライブで聴きたい。
 四番手はZaFeeDo。ボーカル、ギター2本、ベース、ドラムスの5人組なのだが、ドラムス以外のメンバーは皆シンセサイザと掛け持ちで、女性ボーカルもエフェクトを効かせているし、ベースなどシンベ弾いている方が多いんじゃないかと思うほどで、それでいてドラムスは完全に生なのも面白い。というか、このドラムスの生音があってこその、バンドサウンドのまとまりなのかとも思う。テレキャスの人のギターソロかなりカッコ良かったけれど、やっぱりシンセ弾いているし。独特の雰囲気をもつ不思議なバンドだった。後で調べたらギターのうち一人はサポートの人のようだ。
 五番手、今日のトリは、いよいよお目当てのnica。バンドとして聴くのは2回目だが、前回以上にすばらしい演奏を聴かせてもらった。男女の生ボーカルが、サックスを含む熟練のバックにのって、ある時は柔らかに、またある時は力強く歌い上げる。やはりこれはなんともぜいたくな音だ。これだけのメンバーに君臨する黒髪ロングの小さな歌姫アリサさんの歌の魔力もとい魅力にやられない人はいないだろう。うれしいことに12月4日にnica企画をやるとのこと。どんな顔ぶれになるのか(soneさんはかたいな)楽しみでしかたない。
 nicaがトリでなかったら途中でリタイアしていたところだが、結果的にはそれぞれの個性あふれるバンドが楽しめて、すごく得した気分の帰り道だった。

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ゲスの極み乙女。"ゲスチック乙女〜アリーナ編〜" 2015年10月14日(水)@横浜アリーナ
 楽しみにしてきたゲス乙女の横浜アリーナ公演! 幸い仕事のやりくりがついたので、珍しく先行物販の時間に並ぼうと、夫婦で待ち合わせて早めに出かけた。着いた時にはすでに物販の列がアリーナの反対端にまで伸びていたが、回転は早くて、さほど待たずにお目当てのゲス君ポーチやら限定Tシャツやら何やらを無事入手。同行の妻と二手に分かれて、3000円以上(だったかな)お買い上げでもらえるビニールバッグをそれぞれもらう。さらにCD販売の列に並んで、これまた会場限定特典のゲス君チケットホルダもいただく。もう、しょうもないミーハーなファンである。それにしてもゲス君ポーチは、子どもたちがつけていると可愛い。平日なので幕張のときほどではなかったが、それでも学校が終わってからの子ども連れも多くて、ファン層の広がりが相変わらず感じられた。
 今回の私たちの席は、横浜アリーナではセンター席というが、一般のホールではアリーナ席にあたる部分の20列目あたり。前に背の大きな人が来ると見えないなあと心配していたが、幸い小柄な女子でステージが良く見通せてよかった。ステージ自体も高さを活かして、ドラムスは一段高いところにあるし、両脇の大きなスクリーンとは別に、背後にそれぞれのメンバーを映し出したりする大型のディスプレイがあるなど、凝った作りになっている。
 いよいよ場内が暗くなると、スクリーンに映し出されたのが、部分公開されていた「無垢な季節」のアニメーションの未公開場面。涙の海に吸い込まれていくゲス君に、思わずゲスく〜ん、と叫びそうになるような切ない映像から幕が開いて、「無垢な季節」、「星降る夜に花束を」、「パラレルスペック」ファンクバージョンなどと、リズム隊が畳みかけるスピード感あふれるステージが展開して行った。最近の矢継ぎ早にどんどん演奏を続けていくパターンで、おなじみちゃんMARIのコポゥ!コール&レスポンスを挟んで「ロマンスがありあまる」から「スレッドダンス」まで飛ばしたところで着替えタイム。
 スクリーンにはグダグダの、ライブハウス時代からお馴染の小芝居ムービーが流れ(ちなみにこのムービーは、北海道と大阪では別の内容だったとのこと)、そのオチから『無垢な季節』MVフルバージョン初公開へという流れ。オープニングではゲス君だけが涙の渦に巻き込まれていくのであまりにもかわいそうだったのだが、フルバージョンではその先の展開があって、ちょっとほっとするけど、それにしてもなかなかせつないアニメである。
 和風の衣装に着替えたメンバーが再登場すると、「猟奇的なキスを私にして」からのヒット曲がどんどん演奏される。フロアも息つく間もなく盛り上がりまくり。充実感にあふれたところで、おなじみのMCタイム。休日課長がサラリーマンしながらバンドに参加していた頃のエピソードを、珍しく川谷がしみじみと、課長をほめ気味に話すと、ほないこかが突っ込んで、それをさらに川谷が突っ込んで、と、次々と笑いを誘っていく。そこから売り出したばかりの「オトナチック」からフィニッシュにかけて、またさらに勢いに乗って、「Ink」「餅ガール」「アソビ」「キラーボール」と飛ばしまくる。
 アンコールは新曲と「ノーマルアタマ」で終わったかと思いきや、スクリーンにLINE風のメッセージが映し出され、やり残したことがあると再登場、何とインディーズデビューのミニアルバム全曲を再現するという、驚異のダブルアンコール5曲である!「ぶらっくパレード」も久しぶりだと思うが、「ゲスの極み」はライブでやるのは初めてという。そして「ドレスを脱げ」で大団円。大満足の一夜であった。幕張で拾えなかった銀テープも拾えたし笑。
 コーラスのえつこさんのバンドkatyushaのライブへの出演や『エノンのやりたい放題』というライブハウス企画への参加がこの後は続くが、さて3月の武道館ツーデイズまでの間に、どんな展開があるのだろうか。ニューアルバムの発表はまず間違いないと思うが(P.S. ・・・と書いたその夜、1月の発売情報が解禁された笑)、さらに何かのサプライズを期待してしまうのは、これまで期待を上回り続けたゲス乙女中毒者の性である。

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天才バンド/チーナ・フィルハーモニック・オーケストラ/BONOBOS "LIQUIDROOM 11th Anniversari x HighApps vol.26" 2015年9月29日(火) @恵比寿 LIQUIDROOM
 これはもう、知ったときからずっと楽しみにしていたライブ企画。もちろん、渋谷WWWでのデビュー以来の、チーナフィルが最大のお目当てだが、奇妙礼太郎らの破天荒なバンドである天才バンド、そして多彩な活動で知られるBONOBOSの2バンドはライブ初体験なので、全体としての期待度高めのテンションで臨んだ。まずは天才バンド。すぐに分かったことは、3人とも面白いということ。ギターボーカルの奇妙礼太郎はもちろん、ピアノコーラスのSundayカミデ、ドラムスのテシマコージ、3人とは思えない音圧でぶつけてくる、パワフルで面白い曲の数々に、申何を言っているのかさえ時々分からなくなってしまう、MCの展開。オーディエンスがバンドの爆発に乗り切れていたかというとまだまだこれからだが、それだけの圧倒的でおかしみのある、ユニークなステージだった。二番手はいよいよのチーナ・フィルハーモニック・オーケストラ。幕があけば、WWW程ではないがまだまだリキッドでも狭い感じの、ユニークな顔ぶれが並ぶ十五人編成。最初からみんなキラキラしていて、本当に素敵なバンドだ。管弦打そろってアンサンブルも見事だし、いつもの椎名さんとリーダーのやり取りだし(椎名さん「チケットは通常一万五千円はするけど、今日はHIAPPS価格で聴けてみなさん良かったですね!」とかホント可笑しい)、最後HAPPYさんの明るい盛り上げもあるし、やっぱり今回も楽しかった。もう絶対に聴き逃したくないバンド。さてトリのBONOBOS、ポジティブな歌に融通無碍のリズムセクションと彩り豊かな伴奏で、すぐに引きこまれた。ドラマー脱退後、5人編成になって間もないとは思えない。もっとも、メンバーチェンジやいろいろなサポートを入れてやってきたベテランバンドとしては、慣れたものかもしれない。テーマ曲を担当している「にゃんちゅうワールド」への出演や、蔡が音楽監督を務め田中も舞台演奏者としてかかわる芝居など、多彩な活動も紹介されて、これから復習しつつ追いかけて見たいバンドがまた増えてしまった。P.S.にゃんちゅうワールド面白かった。田中は最初メンバーというより子ども番組の普通の出演者かと思った笑

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RICHARDSON ZILLIS / the gurl /テリーマンズ/ odd-rico / nica / ゆうせいから "JAPAN & MASAYA presents「3on3」-1stQ-" 2015年9月24日(木)@下北沢ERA
 ちょっと忙しかったのでどうしようかと思ったけど、とにかくnicaを聴きたかったので出かけた。6バンドが3×3で対抗でもするのかと思ったけれど(MCでだれかがそんなこと言ってたけど)良く分からなかったが、前半3バンドしか聴けなかったけれどそれでもけっこう満足な夜だった。まずは、ゆうせいから。声は柔らかいし、リズムとオルガンのブルージーな感じ(・・・違うかも)が心地よく、ライブもずいぶんやっているようだしまた聴きたいと思わせるバンドだった。次が odd-rico。サイケでポップと自称する通り、見た目も含めて面白かった。曲名も最後の「夜逃げ」とか、サイケというよりはパンクな印象を受けたが、演奏はかっちりと決めているから、これまたクセになるかもしれない。三番手がいよいよ!のnica。ここでやっぱり雰囲気ががらっと変わった。アリサさんのソロCDやアリソネで聴きなじんだ佳曲が、男女ボーカルとサックスを含めためちゃ上手いバックの厚い演奏の中で引き立つ。いい歌をソロ、女性デュオ、バンドと、3回味わえる贅沢。これでアリサさんの音楽の魅力の、入口の扉をようやくあけることができたような気がする。ここまででリタイアしたため後半は聴けずでごめんなさい。

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タラチネ/アリソネ/Flying Parsley/タグチハナ“秋の声とゆれるコスモス”2015年9月8日(火)@青山 月見ル君想フ
 久々のアリソネ目当てに出かけたのは、青山の月見ル。ここにはちょっと前にAtlantis Airportも出ていたのだが、予定が合わず断念していただけに、バンドも合うとは思うけれどアリソネは絶対に月見ルが似合うだろう、とわくわくして出かけた。あいにくの雨天だったが、ちょっと遅れて着いたところでアリサさんにバッタリ。今着いたんですか?ととんちんかんなこと言ったのは、すでに着替えていたステージ衣裳がレインコートに見えたからでした笑。変なこと言うおっさんだと思われたかもしれない・・・。さて、中は別世界。オープニングはFlying Parsleyという初もので、これがなかなか楽しかった。男3人全員メガネというルックスもユニークながら、2人がパーカッションとサンプラー、1人がベースという構成で、ゲストにキーボードが途中から参加(アントワープというバンドの人らしい)。リズムはいかにもな乗りなんだけれど、トーンが明るくて歌がはっきりしていて爽快、聴き心地がよかった。フリーのCDRもらったので、気持ちよく聴いている。次はタグチハナ、2回目である。前回、一曲目が洞窟のようなエコーで云々と感想を書いたが、今回は多分同じ曲だと思うのだが深いけれど普通のエコーで、そうすると前回のは事故スレスレな感じだったのかな、とちょっと拍子抜けした感じだ。深めのエコーでゆらゆらと不安を煽るような楽曲と声は相変わらずだが、驚いたのは、最後少しだけだけど、マイクを外して地声を聴かせたこと。自分をどう表現するのか、試行錯誤を続けているのかもしれない。さて、久しぶりのアリソネ。二人のMCの掛け合いは相変わらずのゆるさで、これも楽しいのだけれど、アリサさんの細身からハリも艶もある輪郭の歌声が流れて、ソネさんのふわふわした雰囲気から醸し出されるきらびやかな音像と響き合うアリソネの世界は、背景の満月のようにルナティックな魅力。まだ曲名が決まっていないという新曲もあって、ソロやそれぞれのバンドもあるのでそんなにドラスティックな展開はないのかもしれないのだが、そろそろCDにまとめてほしくもあり(すぐにCD言うのは旧世代のおっさんの発想かもしれないが)、ぜひマイペースで続けていってほしいユニットだ。

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“メノズノワンマン”2015年8月30日(日)@下北沢 GARAGE
 ついに実現の、Menoz初ワンマン! 祝ソルドアウト! やっぱり、このバンドは楽しいんです。とにかく他人に薦めたくなる(特にライブを!)バンドです。ひかるさんのキャラクターが圧倒的で、明るくて、パワフルなのはもちろんなんだけど、それが際立ちながらも浮かないのは、バックの男性陣のテクニカルで引き締まった演奏ありきで、もう安心してひかるさんのパフォーマンスに熱狂できるわけです。インタビューで読んだのですが、作詞作曲のてつさんはポストロックやエモをルーツとしつつイエスも好きだと。どうも、私の好みに引っかかるバンドは、どこかそのあたりに鍵があるのかなと思います。なにはともあれ、新曲や未発表曲も交えつつ、大好きな曲を次々と、心置きなく楽しめた夜は、夢のようでした。ひかるさん初ダイブのビビり具合がおかしくもかわいかった。ひかるさんには見えない羽がついているから問題なし! と信じていたのに、「百キロの半分くらいあるんよ、大丈夫かな?」とか言ってるし笑。前売り特典のガシャポンは時間がなくてできなかったけど、引換券が可愛いのでだいじにとっておきます笑。

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never young beach/チーナ/UQIYO/Heliotrope/植田章敬 “Score Book” #2 2015年8月25日(火)@下北沢 SHELTER
 平日の常でちょっと遅れて到着、一番手の植田章敬の途中から入った。岡山在住のベテランらしい。ドラムスとベースを従えて、アメリカンミュージックのバックグラウンドを感じさせる、迫力ある円熟した歌を楽しませてくれました。次のHeliotropeは横浜で活動しているとのことで、ドラムスとベースに、女性のピアノボーカルという3人組。女性のちょっとナチュラルでミステリアスな雰囲気がよいのだが、ドラム叩きすぎなくらい笑のリズム隊の演奏はスリリングで、この配分の独特さが味かなと思った。UQiYOも面白いバンドだった。基本は直毛の人ともじゃもじゃの人の2人組らしいですが、ドラムスの人もほとんどレギュラーとのことで、普通に3人組に見えます。もじゃもじゃの人が楽器や声をリアルタイムでサンプリングする手法で、直毛の人のピアノもサンプリングして同期させたりして、音響の面白い作りが個性的でした。
 それにしても目当てのチーナは、やはり素晴らしい! もうみんながすごく楽しそう。椎名さんとリーダーの仲悪そうな笑やりとりもお約束で、いつもにやにやさせられます。林さんと柴さんの弦楽隊がバンドの音の芯になっているのは当然なんですが、HAPPYさんのドラムスが全体のビートをしっかりとリードするようになって、まとまりがどんどん良くなっているように聞こえます。次にいけるのが久しぶりのチーハモなんで、これまた楽しみです。時間切れでnever young beachは聴けませんでした。

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ATLANTIS AIRPORT/MENOZ/ピロカルピン "僕らのなつめいろツアーファイナル" 2015年8月7日(金)@新宿MARZ
 ピロカルピンのワンマンに行ったときに驚きの発表で、なんとなつめいろツアーのファイナルがピロカルピンとの3マン、soneさんがフライヤー配りに来ていた!というわけで、結局このツアー、スタートがチーナでファイナルがピロカルピンと、私にとってはまったく別々に好きになったバンドが、それぞれで対バンになるという、偶然とはいえあまりにも"俺得"な企画でした。
 トップのピロカルピン、私にしてはもう長く付き合っているバンドなので、耳になじんでいますが、松木さんのボーカルは軟らかさと力強さを兼ね備えた類まれなものです。息の合った演奏を聞かせてくれるのはさすがベテラン(P.S.これを書いて間もなく、ドラムの荒内さん脱退のニュース・・・二人になるのは初めてではないと、しんじろーさんも言っていたが、新しいスタートを切ってほしいと期待)。
 もちろん、メノズのいきいきした演奏はすばらしく、圧倒的なパフォーマンス。このひかるさんの存在感を支えるには、バンドのテクニックにもパワーにも十分に余裕がないと無理だと思うのです。さらに、いよいよワンマンを控えての、バンドの一体感の高まり。この喜びと力がみなぎる音楽はものすごい。
 そういう意味では、3人組ながらツアーを重ねたバックの2人との息の合い方がもはやほとんどレギュラーメンバー並みになったATLANTIS AIRPORTもまた、どんどんパワーアップして、魅力が増し続けていると思います。soneさんの魅力はもはや天然なキャラクターが占める割合は減って、歌の表現力が高まって妖艶の域にかかってきたかもしれません。今の手持ちのレパートリーも音楽的に幅が広がってきたことが分かるので、これからがますます楽しみです。
 なつめいろツアーは夏とともに名残惜しく終わりましたが、ATLANTIS AIRPORTメンバーのセンスによる企画力も抜群だと思います。Atlantisつながりで知ったバンド、かなり好みを突いてきますので、秋からの展開もまた楽しみにしていきます。

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"Next Music from TOKYO vol.7" 2015年7月20日(月・祝)@新代田FEVER
 5バンドでトロント、モントリオール、バンクーバーと回ったカナダツアーのファイナルという位置づけである。このNMFTは、カナダ在住の日系人歯科医師スティーブが、自分の好きなバンドをカナダに呼んでツアーを組むというもので、タイトル通りもう7回目、過去にはZAZEN BOYS やきのこ帝国、赤い公園なども参加したという、感動と驚きの企画である。昨日もスティーブはバンド紹介のMCをたどたどしい日本語で務めていたが、素晴らしい楽しい人だ。
 祝日だというのに仕事があったので、ちょっと遅れて会場に着くと、白衣姿の4人組ガールズバンド、午前3時と退屈のオープニングアクトが始まっていた。この3月まで高校生だったということだが、カワイイのは確かだけど曲はヒネリがあって面白かった。サビが来るかな、と思うと外されたり。立川のバンド、というと赤い公園を連想してしまうが、どうも立川の女子は一筋縄ではいかないようだ。
 カナダツアーバンドの一本目はPENS+。普通にペンズと読めば良いようだ。このバンドも若くて、スティーブの紹介によると大学の試験中だけどライブに出てプロフェッショナルだ!ということだ。よく喋るgt&voが二人、bs に ds の四人組で、なんか仲よさそう!という感じがする。曲はけっこう変拍子バリバリでスピード感もありつつ、複雑でテクニカルなのにその疾走感と明るさゆえに気持ちの良いものだった。ギター二人がベースに楽器をかけちゃって轟音で終わるんだけど、その姿は小学校帰りのランドセル運びを思い出させた。
 次はotori。これはすごかった。ドラムスとベースががちがちのビートを刻んで、エフェクティブなギターが神出鬼没のカッティングやフレーズを決める前で、怪しくもやかましい(良い意味で)女声が襲いかかる。かと思うと女性はカオシレーター担当になって3ピースのオルタナ風の曲もあったり。これは癖になりそうで、思わず物販でCD買ってしまった。ステージでは怖かったボーカルさんににこやかに手売りされてドギマギしてしまったけれど。
 三番手はおなじみのATLANTIS AIRPORTなんだけど、今回はちょっとアレンジを変えてきたんじゃないか? テンポを動かしたり、ベースラインがふと攻撃的になったり、yOdenさんは完全にキーボードを振り回したり(これはアレンジとは違うか)、思ったのは他のバンドは知らないので何とも言えないけれど、一緒にツアーを回る中でこの5バンドの中にいるからこその音があるのかもしれない。実際に、一つ一つ聴けばそれぞれ全く個性の違うバンドが、5つまとめて聴くとそれが一つの企画に収まっているのである。というわけで時間は短いのだけれどなんだかすごく得をしたような気分で、あっという間のステージだった。スティーブは最初は他の4バンドで組むつもりが、AAを加えて本当に良かったと言っていたが、soneちゃんにI LOVE YOUとステージから声をかけられてもう死んでもいいくらいうれしいとのこと。みんなsoneちゃんが大好きだね!
 次がオワリカラ。スティーブももう紹介するところから盛り上がっていて、開始早々なんとsoneちゃんをクラウドサーフィン! フロアもそこまでギチギチではないのではらはらして思わず手を差し伸べてしまったけれど、その後も騒ぎは続いて、いつの間にかデカいスティーブも回っていた笑。もっとも、さすがに重いので、二度目は人手が足りずに床にひっくり返って、これまた爆笑を誘っていたけれど。私はオワリカラをバンドとして生で聴くのは初めてで、期待以上の暴れ具合を堪能したが、終りと見せかけての最後に歌った新曲 "new music from big pink"(! The BANDのアレじゃん!) は、歌詞にすべてが込められていると言うだけあって、聴かせる曲だった。これはシングルとして発売されるらしい。
 トリはmothercoat。マスフェスの時に聞きたかったけれど聞けなかったバンドだったので、今回は楽しみにしていた。何せこのバンド、深谷に凡人ハウスという拠点を持って農業もやりながらインターナショナルに活躍しているということで、HPに書いてあることも面白すぎるので、雰囲気ありそうと思ったがまさに期待以上。やはりまず目を引くのはちょっと室井佑月似と思った女性ベース、トキロックさん。後でインタビューを見たら、最初は客だったそうで、三線やったことがあるのでベースは弦が一本多いだけだから大丈夫だろうということでメンバーにされたというかなったというか。もうこれは、本当にライブを見ないとこのバンドのすごみはわからないんじゃないかと思う。バンドメンバーの変転も多いだけあって(今回もギターの人がこのリフは前のギターが作ったやつなんだよなと思いながら弾いていたとかネガティブ発言が受けていた)、おそらくロックの定型どころかバンドの定型というものにもとらわれない、ものすごく自由に、それゆえにストイックな姿勢で音楽を作っていると思った。
 翌日も仕事があるから、ATLANTIS AIRPORT終わったら適当なところで帰っても・・・というつもりでいたけれど、とてもそんな気にはなれず、最後まですべての演奏を堪能した。PENS+の人がデザインした記念Tシャツ、Lサイズ売り切れだったけれどどうしても欲しかったのでMサイズ購入。帰って着てみたらお腹周りがちょっとぴったり気味だけど、着れないこともないな! カナダのスティーブという一人の音楽好きの人物が巻き起こすうねりに、心地よく引き込まれた夜だった。幸せ。

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ピロカルピン"見たことないフィロソフィーツアー" 2015年7月10日(金)@渋谷 CLUB QUATTRO
 ピロカルピンのツアーファイナルは渋谷クアトロワンマン。ライブに行くのは3月の自主レーベル発足企画以来で、新作発表後のライブは初めてである。クアトロの音はピロカルピンのしっかりとした音作りに合うように思う。始めから終りまで、バランスの取れた音で聴きやすかった。演奏は前回のライブよりさらにまとまりがあって、まつきさんの声のコンディションもよくて、魅力的なバンドサウンドだとつくづく思った。新作からの曲は粒ぞろいだが、私は「ワンダーワールド」が一番好きだ。サポートベースは、、、むかいさん太った???と思ったらくどうさんという人だった。ストレートな曲が増えた分、「シャルル・ゴッホの星降る夜」あたりが出るとどうしても気分は盛り上がる。これからの聴きこみと、ライブでのパフォーマンスの練り方で、定番曲が入れ替わっていくのかもしれない。私は「恋はあけぼの」とかやっぱり聴きたいんだけどな・・・。あと期待してしまうのは、ベースに正規メンバーが加わることで起こる化学反応だ。

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ATLANTIS AIRPORT X Menoz "僕らのなつめいろツアー" 2015年7月1日(水)@新宿MARZ
 アトランティス・エアポートとメノズが組んでのツアースタート。なんとなんと、対バンにチーナという、もう完全に俺得な企画である!
 オープニングはΣ(シグマ)。このライブの後しばらくして、Addicted by sigmaにバンド名を変更した。5ピースでボーカルが小柄な女子、ベーシストは右膝と右腕に包帯を巻いて松葉杖の痛々しい姿。これはどうなっちゃうのか、、、とはらはらしていたら、まずボーカルがめちゃ上手い! 声量もあるしハリのある押し出しの強い声で声域も広い。ちっちゃくて中学生っぽい衣裳?もギャップを際立たせるが、それにしてもこの迫力はなかなか。バックは手堅く軽快で、R&Bっぽいコード進行とよく弾むリズムが心地よい。ベースは病院を抜け出して?来たようで(腕のけがと見えたのは点滴のチューブだった笑)、しかし坐ったままとはいえキレのよい音を出していた(どうかお大事に)。控え目だがギターやピアノのコードが確実に音のアクセントをつけているのにも好感。というわけで全体のまとまりも良くて、まだずいぶん若いようだしこれは楽しみなバンドに出会った。早速、物販でCD購入。
 二番手はやはり5ピースで、ドラムスとキーボードが女子、ヴォーカルギター、ギター、ベースが男子の、本棚のモヨコ。名前はよく聴いていたがライブは初めて聴く。北海道から東京に活動を移して一カ月ということで、幸いにしてまだゴキブリには出会っていないらしい。MCになるとドラムスのフワフワした語り口がほほえましいが、演奏は明るくポップでありつつパワフルなもの。MCでも日付を連呼していたが、精力的にライブを組んでいるようで、これからも更に期待できると思った。
 三番手、というか、ここからの3バンドは、私にとってはもう何と言うか、寿司とステーキとノドグロの煮付みたいな(どれがどれというたとえではないが・・・)、いずれも大ごちそうのバンドである。というわけで、5月のチーナフィルからちょうど2カ月ぶり、5人編成のスタンダード?チーナ。もう素晴らしい曲ばかりで、言うこと何もありません。"DOCCI" からの曲は、もう歌詞もずいぶん覚えているので、つい口ずさみながら聴いてしまう。特に今回、ドラムスのビート感がそうとう上がった感じで、バンドを引っ張ることでさらに全体のまとまりが高まったような気がした。それにしてもHAPPYさんは楽しそうに叩く! 私はHAPPYさんがステージに現れた瞬間にうれしくなる。リキッドのチーナフィルは予約済みだが、下北沢の3マンのチケットが物販で出たので、スケジュール確認の上購入!楽しみだ! 最近、ライブで聴けない「テレビドラマ」いつかやってほしい。
 さてお次はカナダツアー帰り、ATLANTIS AIRPORT。サポートはあべさんのドラムス、マ肉のJさんのギターと、やはり5ピース。MENOZも5人だから、この日のメンツはすべて男女混合5人組なのは偶然なのか狙ったのか? 「僕らのなつめいろツアー」だけに、まず「なつめいろ」からのスタートに陶然。キーボードもエフェクト感たっぷり。もちろん「光と影の間」「映画の中の出来事」など定番は外さないので、音の進化がよく分かる。歌の良さは相変わらず、さらにメンバーとサポートとの息の合い方が、カナダツアーを経てさらに強固になったような気がする。どんどんカッコよくなっている。あとは新曲に期待。
 トリはMENOZ。久しぶりに生で観たけれど、今回はかなり前にいたので、ボーカルのひかるさんの歌と動きにとにかく圧倒されっぱなしだった。CDでは「遥ima」や「YOROZ」を聴いてその疾走感にわくわくさせられつつも、大好きな「ファンタジア」の再録のアレンジに今一つなじめていなかったのだが、今日のステージですべての曲の〈いま〉がぴったりとおさまった気がする。もちろん、「僕らのナツ。」で締めれば、ツアータイトル通りに、Atlantis Airportと呼応して大団円。終わってから気づくのだが、「なつめいろ」も「僕らのナツ。」も、去ってしまった夏のはかなさを感じさせる歌だ。ふと、年老いてきた自分が、若い人たちの中に温かく囲まれて同じ場にいながらも、何十年かの遠い時を隔ててそこにいるかのような幻、あるいは現を見た気がする。

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ゲスの極み乙女。"ゲス乙女集会vol.4〜幕張篇〜" 2015年6月20日(土)・21日(日)@幕張メッセイベントホール
 アリーナタイプの会場でのワンマンは初だっただろうか。3000名野外だった野音の興奮も収まらぬうちに迎えた7000人ホールライブ。都合がよかったので2日ともファンクラブ先行でチケットを取ったら、同じ席で、ステージから遠いけれど2階席の最前列は、疲れたら座っても見えそうで年寄りにはありがたい。
 会場の外では物販と記念撮影用のテント、2階席のロビーにはとりどりの花輪が並び、にぎわうファンの人ごみに期待が高まる。初日の土曜日、意外だったのは親子連れ、それも小学生ぐらいの子どもの姿がずいぶん目立ったことで、後ろの席には幼児含めて3人の子どもと両親というファミリーがいたほどである。ファン層がすっかり厚くなったのには驚いたし、川谷がかつて希望として言っていたように、お茶の間で普通にゲスがゲスがと語られる日がもう来たのかもしれないが、子どもたちの耳は守ってあげてほしいとも思う。
 両日とも、新作のオープニングアニメーションで幕を開けた。今回はメンバーひとりひとりが朝目覚めて、それぞれ幕張にやってくる・・・というストーリー。絵柄の味もあるけれど、メンバーそれぞれのイメージが出ていて、とくにちゃんMARIの設定(軽トラ!)は大爆笑だった。これまで使われたアニメーションは、ぜひいずれDVDにまとめてほしい。オープニングアニメの音楽は、川谷と課長がこもって作ったものだそうで、土曜日にみんな映像に気を取られて曲聴いてなかったでしょ、と言われたので、日曜日にはしっかり聴いていた。課長が生ギターを買っていたのはこのためだったのか。
 初日のスタートは、「私以外私じゃないの」から。ちょっと恐れていた通り、音は悪かった。低音が強くて音割れを起こしていて、中高域が隠れてしまうような状態に加えて、これは位置のせいだろうが反響も聞き苦しい。これは辛いと思ったものの、MCを挟んで途中からは多少持ちなおした。2日目は比較的、最初から音は安定していたように思う。アリーナ会場は、ゲス乙女のように技の細かい演奏を聞かせるバンドには、ちょっと残念なところもある。反響が少なく楽器演奏のニュアンスがいつになくよく伝わった日比谷野音は、すばらしい会場なのだとあらためて思った。
 セットリストは野音のライブに準ずるもので、「星降る夜に花束を」以外は、タイアップやシングル曲を除いて「魅力がすごいよ」からの選曲はなし。ニューシングルからは3曲とも、さらにアンコールでは新曲も一曲披露した。一方で、昔からの定番曲は外さない。特に二日目は「song3」や「jajaumasan」が入って楽しかった。
 MCのグダグダトークでは合コンの思い出話が面白かった。男性メンバーの出身大学は、合コンしたくない大学ナンバーワンらしいが、二人とも合コンでは良い思い出はないらしい。川谷はひとり暗く、課長はひとり盛りあがりすぎて、けっきょく上手くいかなかったという落ち。課長はビートルズについて熱く語り続けたらしい。ポールのものまねをやらされていた。観客が遠いと言いつつも、アリーナの後ろの方からの声にも答えて、かつてのライブハウスの空気を受け継ごうともしていた。
 2デイズのお楽しみ、日曜日のスペシャルゲストはなんと、ぱいぱいでか美! いこかちゃんに迫るキモい課長をちゃんMARIがやっつけに行くけれどお手上げ、という寸劇風な展開からの登場である。かつてぱいぱいでか美はその歌のひどさのインパクトで、川谷が企画に読んだことがあったけれど、そのころに比べると「恋のブッキング」がとてもうまくなっていて驚いた(驚くようなことでもないが・・・)。「ゲスな三角関係」ででか美はそのまま加わって四角関係を盛り上げる。こういうどたばた芝居がこんな会場でも見られるは、ゲス乙女らしくてうれしい。
 「ノーマルアタマ」ではダンサー、「餅ガール」では餅ガールが登場と、おなじみの展開だが、ライブを支えたコーラスもなかなかの実力派で、日曜日には山田真未さんも出ていた。感動的だったのは、えつこさんのバンド、カチューシャのワンマンライブを、川谷が勝手にブッキングしたというサプライズの発表である。なんとも気が利いている。
 というわけで、音については野音のような上質さはないけれど、祝祭性ということでは確実にステージを盛り立てた2日間であった。バンドが成長する以上、この種の会場を使うことが増えていく、いや、もう小さなハコではできない、アリーナクラスの会場でやることが普通になって行くだろう。フェスとはまた違った、大きな会場にゲス乙女を選んで集まった観客に、確実に楽しみと喜びを与えてくれるバンドとしての歩みを大きく踏み出したところなのだなと思う。

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"music for airport 宇宙編 tour final" 2015年6月5日(金)@新代田FEVER
 だいぶお馴染になってきたATLANTIS AIRPORT企画、今回も発表以来この日を楽しみに待っていた。下北沢の隣とは思えないほど町の雰囲気が全く違う(というか、時間つぶせる店とかほとんどない笑)けれど、今回ばかりはあいにくの雨模様に駅真ん前のスイミングスクール地下というFEVERのロケーションは非常に助かった。今回は新譜を買うか持っていくと、ラゲージタグがもらえて、これを持っているといいことがあるかも?というお楽しみ付き。前回のフライトチケットの特典(無料企画アコースチックライブ)も豪華だったので、大いに期待してしまう。
 一番手はCICADA(シケイダ)。女性ボーカルにドラムとベースと、ピアノ、キーボード&ギターという、ちょっと変則的な5人組。R&Bやヒップホップ、エレクトロニカなどのジャンルのかかわりがあるが、リズム隊のラテンっぽいノリや、セクシーで迫力もある城戸あき子さんのボーカルの魅力がすごいので、とてもオトナの香りがする、キーボード&ギターの人はサンプラーと生ギター(サイレントギター)の持ちかえで、音のこだわりもかなりのもの。これははまりそうだ。
 続くuchuu.は四人組で、ドラムスが女性、打ち込み系のノリでダンス盛り上げ的な勢いが爽快なバンドだった。キーボードの人はシンバルもセットしてあって、派手なアクションが面白かった。これを書くためにサイトを見るともう一人、キーボードの女子がいるようだが、体調不良で6月中おやすみとのこと。いずれフルメンバー体制で聴いてみたい。余談だがベースの人が休日課長に似ていた。ヒゲメガネでガチムチな人はみな同じように見えるだけかもしれないが。
 さて、最後に出演が発表されたfox capture plan。ビレバン推しのようで行くたびにかかっていてなんとなく聴いていたり、SING YOUR SONG! 2015 や jizueとの対バンやってるのを、どちらも行きたかったのに都合で行けなかったりで、とても気になっていたバンド。ジャンル的にまさかAA企画で聴く機会に恵まれるとは思わなかった。で、やっぱり凄かった!ガチでジャズロックを標榜しているピアノトリオ、超本格派なんだけど、すべてが新しい。なんとカバーアルバムを出すそうで、そこからの選曲もあって、大いに盛り上がった。勝手に思っているだけかもしれないけれどインストバンドがカバーやるっていうのは、自分のスタイルにかなりの自信がないとできないのではないだろうか。ワンマンライブもこれから多いので、これをきっかけに行ってみたい。
 さていよいよ!ATLANTIS AIRPORT。レコ発ライブでsoneが肝心のCDを家に忘れてきたというツアー始まりだっただけに、今回はどんな(よく言えば)和やかな(普通に言えばユルい)展開?と、ちょっと意地悪な気持ちでいたことは告白しておきたい。というのは、今までに見たことのないAAをこの日は見たのである!まずsoneが・・・真面目! この日のナレーションはきっちりと仕込まれていたみたい。ちょっと噛んだくらいで、的確に進めていく姿がいつも以上に凛々しく、まぶしいほど。ボノのMCは、この人こんなにしゃべったっけ?というくらい、熱い思いを伝えていた。そしてよでんは・・・安定の穏やかな笑顔で無口笑。彼らのこんなステージは見たことがない、それほどの密度の濃さ。そして、一年を経てさらに熟して帰って来た「なつめいろ」は、思わず目頭が・・・。こうして、レコ発ツアーの最初と最後を見ることができたわけだけれど、もうこの間だけでも、エラそうな言い方になって申し訳ないけれども本当に大きく育った、腹が据わった感がありありとしていた。満足の一夜だった。この後は、飛躍のカナダツアー、そして当日発表されたMENOZとの共催「僕らのなつめいろツアー」(フライヤーが超カワイイ!終演後ひかるさんが手渡ししてくれてうれしすぎる)、7月1日の新宿MARZはなんとチーナまで出るとか! まったく別の流れで大好きになったバンドが、企画対バンで聞けるというのは、本当にうれしいものだ。・・・あれ、今気付いたけどCICADAとMENOZのボーカルのお二人、苗字が一緒なのは・・・偶然だよね?

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ゲスの極み乙女。全国ワンマンツアー "私以外ゲスじゃないの"  2015.05.31(日)@日比谷公園野外音楽堂
 天気予報では雨の可能性もあったが、幸いにして降らず。開場の16時過ぎには西日がまぶしく、席は熱かったけれど、開演時には程良く暮れかけて涼しくなった。フェスの時にも思うが屋外で聴くのはよいものである。野音は疲れれば座れるし、後ろの方だったけれど、前が特別大きなお兄さんでもなければ、ステージはよく見える。ツアーは6月3日岡山がファイナルなので、セミファイナルということになる。巨大な縦長の垂れ幕がステージ上から後ろにかけて架けられ、よく目立つ。
 時間通りにスタート、最近の白づくめの衣裳だ。課長はお世辞にも似合っているとは言い難いが、ちゃんMARIは極めつけカワイイ。
 「猟奇的なキスを私にして」を皮切りに、よく知られた曲が次々と飛び出して、会場を一気に盛り上げる。映画『ストレイヤーズ・クロニクル』の2曲はどちらもキャッチーな良曲、これはぜひ映画館で聴きたいと思わせる。気がついてみると、「ラスカ」や「crying march」など、前作のアルバムの名曲群は、バッサリと切られていて、これらが大好きなワタシはちょっと肩透かしを食らったような気もしたのだが、やはりそこは新曲「ロマンスがありあまる」と「サイデンティティ」のお披露目、かつ「私以外私じゃないの」といったまさに今の旬のゲス乙女を浮き彫りにする、走り出したら止まれない!彼ららしい構成なのだ。ハプニングでも何でもなくアンコールで「キラーボール」がよりワイルドに再演されるという展開も驚きと言えば驚き、しかしそう考えてみれば納得の演出であったと思える。スレッドダンスのちゃんMARIのピアノのエンディングとか、アンコールでの課長のベースの跳ね上がりとか、演奏の迫力もいや増している。
 MCはいつものごとくグダグダだし最後の方ではいろいろな被り物は出てくるし、あと何と言っても「しゃべくり」の・・・というだけで、見た人は何が起こったか想像がつくでしょう。もちろん、見るたびにサプライズが必ずありながら、して欲しいツボは毎回決して外さないという、本当にライブの楽しいバンドである。「ゲスチック乙女〜アリーナ編〜」アリーナツアーも発表。6月の幕張イベントホールや横浜アリーナといった、巨大なステージでは、どんなライブになるのか、単に選曲だけでなく、曲ごとの装いの変化もますます楽しみになってきた。

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"VIVA LA ROCK 2015" Day 2 2015年5月4日(日)@さいたまスーパーアリーナ
 去年のビバラから、このサイトにライブイベントの記録を載せ始め、数えてみたら29本目で一回りしてきた。ということはこの一年、月2本以上行っていたことになるわけで、出不精だった私が、これでもそれ以前とは比較にならないくらいライブに出かけるようになったのは、もちろんゲスの極み乙女。のおかげである。
 今年は妻と一緒に、11時ごろ現地到着。まず外の屋台で腹ごしらえを済ませる。去年はゲスの極み乙女。のTシャツを買うためにVIVAステージ後方のブースに一時間以上並んだが、今年は屋外にゲスの極み乙女。のブースを見つけて、並ばずに買えて助かった。そんな余裕のペースでリストバンド交換し、いよいよ入場。今年はウェルカムドリンク券が付く。
 妻と一緒なので去年ほどあちこちに移動するのは難しいかと思いきや、STARステージのACIDMANを見た後、やはり来ていた妻の姉に、妻が合流したので、私は解放されることになった。それならばと、楽しみの多いCAVEステージへ。たどり着いた時にはSCOOBIE DOが演奏中で、混雑してはいたが何とか入れるも、ステージはほとんど見えなくて、結局モニター頼りの状態。そうはいっても、外のパブリックビューよりはもちろん臨場感がある。狭くて出入りが厳しいCAVEステージ、今年はスペシャアプリでも見られるなど主催者側の工夫もあるが、明らかに集客のよいバンドも並ぶので、身動きが取れなくなれば、移動に困難をきたす。この後の04 Limited Sazabys, tricot, きのこ帝国と気になる&見たいバンドが並ぶが、SCOOBIE DOの後はとりあえず外のTSUBASAステージ、ピエール中野のドラムパフォーマンスに向かう。
 これがまた、何とも楽しいステージだった! 凛として時雨の超絶ドラマーでありDJでもあるピエール中野、今日はあくまでもドラムパフォーマンスである。「A・RA・SHI」を歌ったりPerfumeの「レーザービーム」に超絶ドラムを重ねたりと、とにかく楽しませる。極め付きは「ぐるぐるどっかーん!」と「どんぐりころころ」!!!「ぐるぐるどっかーん!」でサークルモッシュが起こるというとんでもない展開。私の隣にいた若い女子はこの2曲を完ぺきに踊っていたので、おそらく保育士か幼稚園教諭に間違いない。もちろんソロ曲もバンド曲も挟み込んで、マシンガントークと超絶ドラムスで盛り上がりっぱなしだった。この後の大森靖子も彼がドラムを叩くというから見たかったのだが、ここでCAVEステージに入れそうならと回ってみると、やはり入場規制中。ここでtricot待ちをしても入れないかもとあきらめて、STARステージに向かう。
 KEN YOKOYAMA は、とにかく熱かった。Hi-STANDARD と言われても私自身はよく分からないが、ロッカーにとっては伝説のバンドのギタリストであるし、PIZZA OF DEATH RECORDS社長という顔も持つ。多彩な活動を繰り広げるが、英語で歌うパンクバンドを自称、ベテランの濃い味のロックンロールである。
 さていよいよ、ゲスの極み乙女。の登場。1階アリーナはギチギチの入りである。サウンドチェックで「餅ガール」と「星降る夜に花束を」をほぼフルに演奏して下がった後、再登場しての幕開けは「猟奇的なキスを私にして」。「デジタルモグラ」に続いて、今ヒット中の「私以外私じゃないの」、カップリングの「パラレルスペック funky version」と一気に盛り上げたところで「ユレルカレル」をじっくりと聞かせる展開は心憎いばかり。来月発売予定の映画主題歌「ロマンスがありあまる」を紹介した後は、フェスのステージのクライマックス、「キラーボール」「ドレスを脱げ」「アソビ」で突き抜けて終わった。MCは相変わらずのゆるさで、これも楽しかった。その日の夜にゲスト出演した「しゃべくり007」の放送が控えており、川谷は「ロックミュージシャンなんだから、すべってもしかたないんだ」と予防線を張っていた(が、帰ってから見た番組は爆笑だった)。フェスでは完全に、最大級のステージに集客できるバンドになったことは間違いなく、フェスやテレビで知って、親しみをもって聴いてくれるようになる人がさらに増えることを願う。
 そのあと、フットサル場のGARDENステージでHELSINKI LAMBDA CLUBを楽しんで、ああやっぱり、こういうのもいいなあ、と思う。生きの良さとひねりのきいたセンスが、下北沢らしい可能性をきらめかせているように感じる。来年もGARDENステージで会おうという彼らの言葉は、謙遜なのか皮肉なのか本音なのか。そのどれだったとしても、それぞれそれなりの意味を持つことばだったように思う。ゲス乙女ともろかぶりで諦めたD.W.ニコルズも見たかった。
 2年目のビバラ、今年は同一日程のJAPAN JAMが、地理的にも近い幕張海浜公園に進出し、同じような規模のフェスに変貌したため、出演アーチストも似たような顔ぶれとなり、ファンもどちらに行くか両方行くか、懐具合も確かめつつ悩んだであろう(もちろん私も・・・)。JAPAN JAMより高めの料金は、いい年したおっさんにとっても決して安いものではない。大小2つ増設された野外ステージは無料で見られるし、ほかにも企画が目白押しで、楽しみ方は多彩である。移動時には大変な人ごみになるとはいえ、屋内で風雨の心配もなく、上層階にはスペースに余裕もあり、トイレもきれいで数も十分ということは確かに魅力である。家族連れも増えたように思う。ただ屋内ステージは野外の会場のような弾力性がないので、そこは文字通り窮屈でもある。なお来年度は5月末の二日間になるとのこと。JAPAN JAMとの関係はどうなるのか、今後の動向が気になるところでもある。

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チーナ・フィルハーモニック・オーケストラ 2015年5月1日(金)@渋谷WWW
 奇跡のような音楽の夜。ほんとうにすばらしいライブというか、コンサートだった。
 もともとチーナは、ピアノボーカル、バイオリン、コントラバスの、音大仲間の女子3人が始めたユニット。そこに、エンジニア兼ギターと、ドラムスが加わった形だから、成り立ちが典型的なロックバンドと違うのである。クラシックベースにポップス、ロックのさまざまな要素が溶け合って、個性的なメンバーが音楽で一つになっている。だからもちろん通常の5人編成でも、実にユニークで楽しいのだが、それが何と、15人編成でやるという予告を聞いた時から、もう期待は高まりっぱなしだった。
 徐々に明らかになってきていたその構成もユニーク。まずはバイオリンがメンバーの芝含め2人、ビオラ一人、コントラバスがメンバーの林、チェロ&エレクトリックベース(今回の限定物販、特製松崎煎餅の人)と、弦楽隊が5人。管は、たまたまjizueの対バンで知って感動していたRiddimatesからアルトとテナーサックス、ecosystemのボーカルだった壺坂恵がトランペットと3本、ハッピーのドラムスにパーカッションにスチールパンで打楽器が3人。さらにハープのNERA、アコーディオンのマメルダ、それにギターのリーダーとピアノボーカル・作詞作曲の椎名杏子。
 オープニングの幕があけば、豪華な15人編成が、所狭しとステージに居並んでいる。いや実際、渋谷WWWのステージでは狭い・・・。しかし、椎名はじめみんなの顔が明るい。これからの音楽の喜びで光り輝いている。「はじまる」で始まってみれば、どの曲も15人ならではの、素晴らしく贅沢かつ緻密な編曲で、個性的な表情を見せる。たとえば「それでそれから」のイントロでまずハープ、ついでスチールパンが入るところなどざわざわするくらい美しい。最近のライブでは聴くことのなかった、ファーストアルバムからの曲が多く、さらに新曲も加わって、選曲でも驚かされた。リーダーもHAPPYもとにかく楽しそう! 椎名とリーダーの、いつもの仲の悪そうな(笑)MCのやり取りも、今回ばかりはそうしつつも本人たちがいちばん嬉しそうだったし。
 あっという間の、魔法のひととき。それでも終演後は、椎名のコメンタリ付のプログラムが配布され、しばらくの間は折に触れてそれを見て楽しみを振り返ることは間違いない。後は第二弾か、今日のDVD化か、これっきりにして欲しくはない。サックスが暴れることのできるような広いステージや、野外の芝生の上でのんびり聞いてみたいものである。とにかくこのコンサート、たとえようもなくユニークで、直接体験するしかないものだった。

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Rise of the sun/YUMA LENNON/アリソネ/リリリ/オニオンシュテン "オニオンシュテン企画 シナジー 第三弾" 2015年4月28日(火)@三軒茶屋HEAVEN'S DOOR
 仕事の都合で時間が押すため、あまり落ち着いて楽しめそうにないので見送ろうかなと思っていた企画だったのだけれど、アリソネの出番がやや遅めなうえに新曲やるとのツイートにつられて、三軒茶屋に駆けつけることになった。入ってみると、眼鏡女子がエレキギター鳴らしてカラオケで歌っている? 演奏も良くできているし、歌も自虐的な内容らしかったがなんかふんわりとした温かみがあって、悪くない感じだった。YUMA LENNON という人で、ソロで歌うことは当分考えていなくて、ストックホルム系女子というバンド中心に活動するらしい。続いて間に合ったよアリソネ。アリサさんの持ちモノというアレシスMICRONのご機嫌がややナナメだったけれど、二人の曲、初の合作曲、カバー曲と、レパートリーの幅も広がってきた。今回はMステ風?で始めたつもりのMCがたちまち崩壊していくのは相変わらずだけど。でもこのデュオは、これからもどんどん新しい音楽を生んでいくと思う。アリサさんの声量とソネさんのエキゾチックさ?が楽しめるアリソネとしてのCDもそろそろだろうと、楽しみにしている。次は3ピースガールズバンドのリリリ。サイトで予習して行ったつもりだったが、ひねくれポップなサウンドを予想していたら実物はかなりヘヴィだった。ギターボーカルのパワーがかなりすごくて、近づきがたいオーラが湧き上がっていた。なんか、すごいことになっているのかもしれない。と、ここまででタイムアップでごめんなさい。Rise of the sunと、肝心のオニオンシュテン聞けず。

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ミヤオヨウバンド/ルルルルズ/クリテツ/ATLANTIS AIRPORT "music for airport 番外編 〜Thanksgiving Day〜" 2015年4月9日(木)@新宿MARZ
 これを書いているのはライブの翌週なのであるが、あまりにも素晴らしい夜だったので、感動の余韻がおさまらないでいる。いやもう、何をどう書いたらよいのやら。
 アトランティス・エアポートのレコ発ライブの一発目、4月3日の下北沢GARAGEも、それはそれで目出度くもあり演奏も良かったわけだが、一週間足らずの後に開催されたこのライブ、soneが中心となったAA企画のアコースティックライブで、"MUSIC FOR AIRPORT vol.4" に参加して「搭乗券」をもらっている人は無料、完全予約制という、ユニークなもの。ちなみにフードは江古田ポルトが出張、私はドライグリーンカレーをいただいたがとても美味しかった。フロアにはイスとテーブルが出され、観客の人数もある程度意図的に抑えられていたのだろうか。ゆったりと過ごすことができた。
 まずはミヤオヨウバンド。thai kick murphのミヤオヨウが、歌のうまい人を集めて好きなようにやる、というコンセプトのバンドらしい。この日はアコースチックセットということで、女性ボーカル3人にベースとギターという構成だった。全く予習なしにこの日を迎えた私は、まずこのバンドのたたずまいに軽く衝撃を受けた。まったくまとまりがない・・・。しかし演奏が始まると、すぐに引きこまれた。似たモノがない、けれどうまい。ミヤオヨウのピアノと男子二人のバックに、3人の歌が気持ちよく響き渡る。曲が面白いし、3人のコーラス、、、というか、声の塊のようなものに実体感とでもいうような手ごたえがあって、これは中毒性がある。
 次はルルルルズ。こちらはキーボードが留学中ということで不在、バイオリン、アコギ、パーカッションというバックにボーカル。これがまたあまりにも素晴らしかった! 終了後、一も二もなく物販で『色即是空』買って、今日も聴いているけれど、曲も詞ももともとよいのは分かる。少しウィスパーがかりながらも芯のある歌声が魅力だし、もともと研ぎ澄まされたように贅肉のない音像のバンドが、さらにアコースティックに徹した今夜の構成で紡ぎだす音楽が悪かろうはずがない! MCで友達がいないとか言っていたけれど、本当ですか? この実力でそんな事はないでしょう。
 さて、トリはもちろん、ATLANTIS AIRPORTのアコースチックセット。bonoのベース、y0denはギターにまわり、soneとのユニット、アリソネでおなじみ村井亜里紗がピアノとコーラス、そして彼女の新バンドnicaからサックスとパーカッション(soneによる紹介は例によって「○○さん、変態です」というひどさなんだけど、言われている人たちがいつもうれしそうなんでまあいいのか)、さらにあらかじめ決められた恋人たちへのテルミン奏者クリテツも加わって、途中テルミンミニ講座も入るという、豪華な構成。スタートはなんとsonesoloの"maegami"。ジャズ風アレンジの「映画の中の出来事」とか聴いていると、とにかくsoneの歌の表現力は、アルバムで聴いているより以上に幅広いことが分かる。アコースチックと言ってもメンバーが多いから、むしろいつもより迫力があるほどで、それでいて和やかな雰囲気に満たされていて、最高に幸せなステージだった。
 とにかく言えるのは、AA企画の出演バンドに絶対外れはないということ。魅力的な女性ボーカルが多くて(というか、最近の例外がVampilliaっていう落差がすごい)、私のような初心者にとっては、ここから好きなバンドを広げていけるのもありがたい。soneのキャラクターが面白いこと以上に、毎回何か新しい発見がありそうで、これからもライブに足を運ぶだろう。

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或るミイ / ATLANTIS AIRPORT 他 "YOUR・OWN・RISK -Vol.1-" 2015年4月3日(金)@下北沢GARAGE
 仕事の都合で、開始時間が早いこの企画、目当てのバンドの出番が心配だった。着いたら案の定、聴きたかったバンドの一つ、或るミイが始まっていた。この千葉のバンド、けっこうライブもやっているし、MV等見ていて曲の良さにひかれていた。まずはキーボードヴォーカルのひとの曲作りのセンスの良さがまずあるのかな。高速カッティングのギターの人はやたら高く構えているし、背が高くて怪しい感じのベースの人はやたら低く構えているのも、愉快なビジュアル。遅れてきたのでステージ脇にいたため、ドラムの人は全く見えなかった。まあ音源の良いバンドはほぼ間違いなくライブ行くとさらに好きになる。メロディの良さ、キーボードを聴かせるアレンジの良さで飽きさせないし、気取らずユーモラスなMCも楽しかった。二番手は目当てのATLANTIS AIRPORT。ミニアルバム出したばかりで、レコ発ツアー初日だというのに、soneがCD家に忘れてきました!というボケぶりが最高! 結局出番が終わった後取りに行って、終演に間に合わせたらしい。「光と闇の間」はもちろん、新譜からの曲はどれも素晴らしく、定番の「映画の中の出来事」も含めてあっという間の至福のひと時だった。テクニカルでプログレッシブな曲の迫力は言うまでもないが、「アメノヒ」のような抒情性の高い歌がレパートリーを広げていくことに期待感が高まった。次はroom12という立川のバンド。立川と言えばすぐ思い浮かぶ白装束の赤い公園とは逆に、黒尽くめのかっこいいお兄さんたちだった。soneが眼福と言っていたかわいい女子たちのお目当ての一つらしかった。というところで事情によりタイムアップ。ATLANTIS AIRPORTはもちろんだけど、途中からで残念だったとはいえ或るミイも聴けて満足だった。

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中根大輔/K(sugar'N'spice)/アリソネ 他 "Beat Happening! Acoustic BOY! Acoustic Girl! +1!" 2015年3月29日(日)@渋谷HOME
 水野創太/中根大輔/アリソネ/ナナツボシ/K(sugar'N'spice)というラインナップによる、アコースティックライブ企画。またまた何の予備知識もなく、アリソネ目当てでやってきました。でもこういう状況って、毎回新しい発見があるのでうれしいことです。これまでもたびたびつぶやいていたことですが、私の世代(すべてではありませんが)にとって「生ギター抱えて歌っている人」のイメージは、高校時代あたりのステレオタイプにかなり影響されていて、ズバリ「四畳半フォーク」です。でもあれから40年(・・・!)、今や例えばmiwaちゃんとか聴くと(というか聴くまでもなく)時代はとっくに移り変わっているわけで(当たり前)。今日聴いたboy&girlたち、バンドもやりつつ、そこで表現しきれないものをもってギター一本に載せて歌っているのが、偏見に凝り固まった年寄りの肩の力をすっと抜いてくれたのです。
 一人目のナカネダイスケ、歌はうまいはギターはうまいはで。バンドもやってスペインにも行っていて。見た目より歳行っているのかな?二人目は。金髪でヒョウ柄のブラウス(って言わなかったらごめん)でどんなん?と思ったらこれまたバンドボーカルで歌っていない歌を大切に歌っている。留学時代(みんなサラッと海外体験言うよな〜)の葛藤を歌った歌とか、響きましたねえ。私のあの高校時代に形成された偏見が、花見日和にすっかり解けだしたようです。
 さて三番手が期待のアリソネ。先月も楽しいステージでしたが、今日もまた、二人の「ラジオ風にしてみた」という掛け合い漫才のようなトークがゆるい。そのグダグダ感と歌の良さの対照も魅力。本人いわく破天荒なソネの歌と、繊細なピアノに載せて素晴らしい声量を響かせるアリサのデュオは、いつ聴いても胸に響きます。絶品「映画の中の出来事」アリソネバージョンは今日はやりませんでしたが、ラストの「おやすみ」が年寄りには染みました。翌日を気にしてここでリタイアで申し訳ない。でもとにかく、今日もいい夜をみなさんありがとうです。

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indigo la End ワンマンツアー 『幸せが溢れたら』 2015年3月17日(火) @中野サンプラザ
 indigo la End ツアーファイナル、実際には赤坂Blitzの追加公演が入ったのでセミファイナルになるが、中野サンプラザというあこがれの地でのホールコンサートである。ちなみに中野サンプラザもすでに採算問題などから所有者は二転三転していて、さらに再開発の波でオリンピックの頃には取り壊されようとしているようだ。駅前ではそれに反対する住民グループがビラまきをしていた。さてindigoのライブは初めてではないのだが、前回は何年前になるのか、課長のラストライブで、渋谷BOXXだったかで東放学園のイベント企画か何かだったと思うから、もう随分になるし、メンバーも半分違うわけだ。当時の圧巻は名曲「大停電の夜」だった。あのときはindigoの他にMETRO-ONGENがなかなか好みだった・・・などという思い出話は置いておいて。ホールなので座席指定。私は一回席後方の上手側。中野サンプラザは音も良いしステージもよく見える。座り心地のよい椅子はあるけれど、まあやっぱり開演と同時にみんな立っちゃうからなあ。ホールならではの高さがよい。シンプルなセットでも照明が凝っているのと、スクリーンでMVを見せるなど、演出もよかった。前半にはオオタ脱退に関することを川谷がしんみりと語ったり、ホールのせいか観客が静かで(最近のindigoのライブに来ていないのでライブハウスでも静かなのかもしれないが)、ステージで起こることを一つも見落としも聴き落としもしないぞというような、立ったまましんと静まる観客の集中力が怖いくらい。後半には長田の突き抜けた物販紹介やら、川谷の背後でおどける栄太郎の身振りやらで打ち解けるが、それにしても静かだ。「瞳に映らない」はいつ聴いても泣けるが(「幸せが溢れたら」のMV、ラストシーンで、えっそう来たの?!と言いたくなるが)、栄太郎の正式加入、そして言ってはいけないこれからのあれこれで、さらに観客は盛り上がる。さよなら、美しい世界と歌う川谷はリアルに涙ぐみ、ホール一体となる感動。すばらしいライブだった。

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ピロカルピン 『奇跡の泉が生まれる日』 2015年3月14日(土) @下北沢 Club Que
「自主レーベル設立&リリース配信記念」と銘打ったピロカルピンのライブ。去年から数えてみるとほぼ5カ月おき3回目の生ピロカルピンだ。自主レーベル立ち上げという決断を明らかにした彼らのこれからの軌跡はいかに、という思いを持って聴きに行く。前半はリクエスト曲特集。残念ながら私の大好きな「モノクロ」や「夢はあけぼの」は入らなかったが、まあどの曲も良い曲だからいいのだ。出だしはやや硬さが感じられたが、必ずしも弾き慣れてこなかった曲もあったからだろうか。後半にはいるとそれもこなれて、新曲を交えて名曲の数々を畳みかけるように演奏。ベースはこの前に続いて「むかいさん」、もうすっかりバンドの演奏になじんでいる(しかしフルネームを未だに知らない・・・)。松木のボーカルはいつもの豊かでまろやかな響きにあふれて、メロディラインのたおやかさと力強さを併せ持つ魅力は新曲も相変わらずだ。この日のライブステージで解禁された、ニューアルバムの発売とレコ発ツアーのお知らせは、まさに待ってましたというところ。チケットを買い、CDの予約は果たしたが、やはりこれは自主レーベルを立ち上げたバンドにとって新しい出発であり、大きな賭けでもある。いろいろあるのだろうが私にとって一番の期待は、まだ全曲が明かされていないニューアルバムの全体像である。松木の曲と詩と歌声は三位一体でバンドの中核なので、力みのないありのままの音楽が聞こえることをとにかく期待しつつ、今日もピロカルピンの世界に浸りきった。「太陽と月のキャラバン」からほぼ2年ぶりのリキッドワンマンを楽しみに待つ。

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ゲスの極み乙女。『ゲスでいこか vol.3』 2015年2月14日(土) @新木場 STUDIO COAST
 ついにツアーファイナルの東京は新木場studio coast2デイズ! 今回は私は1日目のみの参戦となった。自宅から近く乗り換えなしで行けるし、間口の広いステージが見やすいので好きな会場。赤坂と豊洲で楽しんだ“ゲスな魅力?”ツアーとは違った趣向を楽しみにしていたが、次々と意表を突かれる構成で嬉しい楽しいステージだった。猟奇的なキス、デジタルモグラと、立て続けに人気曲をたたみかけて、さらにパラレルスペックのファンクバージョンという全く異なったアレンジで大いに盛り上げる。後日の発表でこのバージョンは4月発売のニューシングルに収録されるとのこと。終盤のサリーマリーも同様にファンキーなアレンジで別曲のように聞こえるほどだった。定番のキラーボールや餅ガール(バレンタインだったので「チョコが!」「あげたいわ!」ってなってたのが楽しかったり)、ホワイトワルツでのゲスの四カ条など、それに長くてグダグダのMCと、ファンお待ちかねの楽しみは外さなかった。熱があったということでcrying marchのサビのメロディが飛んだという(それで二回演奏するという前代未聞のサプライズも)川谷の不調は心配させたが、MCでは[Alexandoros]とKANA-BOONのMCを参考にしたいと言いつつもしつこくいじってこちらは絶好調、いこか様は高飛車にグッズを勧めるし、無茶ぶりされた課長のラップはすべるし、ちゃんMARIはコポゥ!・・・と、こっちはいつものゲスだ。アンコールで新曲も披露、最後はアソビで盛り上げ切って幕を閉じた。前回のポイントだった列車クラシックさんやbye-bye999のクラシックテイストは今回は封印し、パワフルなロックテイストを強調した構成になっていた。旧曲の新アレンジで驚かせるなど、伸び盛りのバンドの勢いを感じるライブだった。シングルの発売、春フェス(私は今のところビバラには行くつもり)、5月のツアー「私以外ゲスじゃないの」の日比谷野音ライブと、楽しみは続く。

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jizue + RIDDIMATES『純音彷徨 vol.3』 2015年2月11日(水)  @渋谷La.mama
 生jizueに味をしめた私、東京でのライブにはできるだけ行きたいと思っていたところ、祝日で出やすいし、対バンは初めてだけどブラスが楽しそうなので、出かけて行った。渋谷La.mamaはフロアの真ん中というかステージ真ん前にどおんと柱が立っている、とんでもないレイアウトだけど、カウンターやテーブルの配置が絶妙なんだなと思う。どこにいるかで、どう楽しむかが選べるとでもいうか。
 とはいえ初心者の私はとにかくステージ前へ。若い人が多いので、おなじみの居心地の悪さでほっとする(と言うのも変だけど)。まずは、RIDDIMATES。トランペットにサックス2本、ギター、ベース、ドラムスの6人編成だったが、ホームページを見るとブラス3本とベースの4人が正式メンバーなのかな。初ものだったから何の先入観もなく聞いたけれどこれが相当楽しい。ブラス3本の迫力や、それぞれのテクニックがすごくて、あっという間の50分だった。ブラスロッカーズ・サウンドというのが標榜するところのようで、その醍醐味が味わえたステージだった。素人からすると、ものすごく長く吹き続けるやつとか、純粋に驚きでもあるし。
 後半は目当てのjizue。目の前がドラムスで、私の立ち位置からは残念ながらピアノのきえさんがほとんど見えない。スタートでダンパーペダルがトラぶったものの、始まってしまえば一気にたたみかける超絶テクニック、ディズニートリビューとのお洒落なアレンジから、初期の変拍子モノまで、一糸乱れぬアンサンブルにもかかわらず4人のミュージシャンがのびのびと実力をそれぞれ発揮している、密度が濃いのに躍動感がすごい音はライブならではの快楽だ。すごいなあ。
 このツーマンの組合せ、それぞれ個性が際立っていて、本当に楽しめた。

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arisone、他『PICTURESQUE MUSIC〜音の見せる情景 vol.8〜』 2015年2月8日(日)@三軒茶屋 GRAPEFRUIT MOON
 出演は佐々木 健太郎(アナログフィッシュ) / すずきゆきこ(BUGY CRAXONE) / ワタナベサトシ(Jake stone garage) / アリソネの4組からなるイベント。
 Atlantis Airport がもう大のお気に入りなので、4月のアコースティックライブやら新譜やらが楽しみだが、soneのソロや、村井亜里沙とのデュオユニットarisoneのライブにはまだ行ったことがなかった。この日も昼の仕事があったのだが、早めに終わりそうだったので、初arisoneのために出かけてみた。
 北区某所で仕事が終わって、会場は慣れない三軒茶屋などというお洒落な場所。南北線から半蔵門線に乗りつげばよいので、実はけっこう便利だった。駅からはちょっと遠かったが、迷いもせず、余裕を持って到着。狭い階段を下りつつなかなか進まない行列に並んでいたが、まだ座席が空いていて助かった。
 arisoneは一番手で、本当に間に合ってよかった。会場の雰囲気もあってか、現れた二人はリラックスムード。二人の声はそれぞれ特徴があって、村井は透明度の高い魅惑的な美声でうっとりさせられるし、soneは倍音が多くてコケットまではいかないちょっとロギッシュな感じがかわいい。二人ともキーボードだがメインのピアノは村井の担当か。それぞれの持ち歌が何れも魅力的だったが、AAの『映画の中の出来事』arisoneバージョンには驚いた。同じ曲がここまで装いを変えて姿をあらわすとは。実に美しいので、arisone名義の音源を作るとしたら、ぜひこれは入れてほしいと思った。物販では二人のそれぞれの自主盤をようやく入手。どちらも完成度も高くて、すっかりヘビロテとなっている。音源も買えたし、本当に来てよかった。
 続いてはすずきゆきこ。ニット帽かぶってガットギター抱えた若い女子、という絵が既視感ありありだったけれど、弾き歌いが始まればその明るい力強さに思わず引き込まれる。後で調べて見たら札幌出身でもう17年活動しているBUGY CRAXONEというバンドのボーカルギターということで、やはり経験に練り上げられてきた本物のロックボーカルだった。・・・あれ、ということは何歳・・・?
 企画自体はこれ以降の男性二人がメインのようなのだが、アラ還の私、昼間の疲れと翌日の仕事のためここでギブアップ。埼玉県民の辛いところでもある。正直、arisoneの美しい余韻に浸りつつ帰りたかったというのもあるけれども。二人の歌を、また生で聴きたい。

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チーナ、他 Beat Happening!Presents 『科楽特奏隊×映画「獅志仮面あうん」オリジナルテーマソング完成披露ショー』 2015年2月3日(火) @下北沢 GARDEN
 2013年のつくばロックフェスで「いいな!」と思ったものの、それ以後ライブに行く機会がなかったチーナ。音楽鑑賞のページでも書いたけど去年出たアルバム"DOCCI"がとてもよくて、ライブに行く機会をうかがっていたら、この企画が目に飛び込んできた。正直、4バンドのうち知っているのはチーナだけだから、少し緊張して出かけて行った。
 仕事終わりの平日の夕方、遅れそうなので新宿から小田急の急行に乗ったら下北沢で降りられないかと思った(でも降ります!て言うとすっと道ができるのは乗客=沿線住民の皆さんの上品さですね!)。駅から3分位の下北沢Gardenは、ライブハウスとしてはきれいな感じ(笑)なので、入りやすい雰囲気。どのバンドの関係者やファンか分からないけど、年齢層高めなおじさんもけっこう多い。おばさんもいるし、派手なおじいさん?みたいな人もいる。しかしこうなるとかえって、居心地がよいのかよくないのかよく分からなくなる。坐らなかったけど申し訳程度にパイプ椅子も置かれている。
 まずは物販でチーナの会場限定シングルを購入。バイオリンの柴さんが話しかけてくれて幸せ。なんとなく、柴さんがうまくこのユニークなバンドをまとめているのかな、と直感したけれど、どうだろうか。とにかくますます、期待が高まる。
 最初はタグチハナ。あとでネット見てみたら某有名ミュージシャンの親戚とかいう話だけど、登場した時の絵的には最近よく見かける「生ギター抱えて歌う女子」という印象。オープニングが赤い照明に洞窟のようなエコーのかかった怪しい雰囲気だったので、これは!!! と興奮したが、2曲目以降はわりとシンプルに聴かせる歌、ふわふわしたMCは見た目通りだった。短いステージでは正体がつかめなかったが、地声のコシが強いので、これから楽しみにしよう。
 二番手はリリーローズ。赤い公園はなぜか白装束だが、こっちは名前通りの赤い衣裳の、4ピースガールズバンド。ストレートなロックだけど、リズム隊がかなりやんちゃな暴れ方をするので、ピアノやギターが少しひねくれたソロでも入れると面白くなりそうな気がする。
 さて次はいよいよお待ちかねのチーナというところで、おずおずとフロア前方へ移動。ツイッターなんかではひたすらチャラいイメージのリーダー、セッティングの真剣な表情を見てイケメンであると発見。ドラムのHAPPYはほんとにその通りの印象の人だ。眼鏡のせいばかりでもあるまい。そしてそれぞれに雰囲気のある3人の女性。セッティングが整い、「はじまる」ではじまると、もうまさにハッピーなチーナワールド。弦の入るバンドは少なくないけれども、コンバスとバイオリンがチーナのバンドサウンドをはっきりと特徴づけているなあと思う。いわゆるリズム隊がアコースチックだからだろうか。ロックバンドにバイオリンが入ってます的な組み立てではないんだよね。作詞作曲・ピアノボーカルの椎名の声質もずっと気になっている。いわゆる美声ではないと思うんだけど、エフェクトかけないで引き立つ声で、声域も広いのではないだろうか。その声の魅力がアコースティック寄りのバンドサウンドに合う! この日は私の大好きな「テレビドラマ」はやらなかったけれど、大満足・・・というのはちょっと嘘で、もっとたくさん曲聴きたかった。それもあって、詳細未定ながら5月1日の渋谷WWW、15人編成のチーナ・フィルハーモニック・オーケストラは外せない!今からとても楽しみだ。
 と、次が今回の企画のメイン、科楽特奏隊。オワリカラのボーカルの人など、他のバンド等で活躍しているメンバーが集まって、特撮モノのテーマ曲をロックアレンジして演奏しまくるという、イロモノといえばイロモノのバンド。今回初めて特撮映画『獅志仮面あうん』のオリジナルタイトル曲を担当したので、それを披露する企画だ。前半の特撮テーマ曲の多くは、セブンまでをリアルタイムで見ていた私世代にはちょっと新しめだったが、怪奇大作戦はなつかしかった! サビのSRI〜♪が自然と出てきたのには自分で笑った。途中でナレーションが入って、妖怪が女子高生を襲って、ヒーローが登場して大暴れ、という展開。フロアに降りてきた妖怪はなかなかの迫力。その後、舞台あいさつ。監督の岡本秀郎は、キーボードのエミソンヌことおかもとえみのお父さんということで、娘にあいさつのフォローされていたりしてほほえましかったり。『獅志仮面あうん』は今秋公開予定だそうです! ステージは最後はマッハバロンまで登場して凄いことになっていた。ちなみに科楽特奏隊の活動は拡大を続け、翌日は新潟県魚沼市の小出国際雪合戦大会の前夜祭でご当地怪獣ドキラのテーマを演奏するらしい。なんかすごいな。
 埼玉県民の私は例によって終電が気になって、最後の最後まではいられなかったのだが、まずはチーナを間近に見て&聴いて、柴さんとちょっとお話もできて、科特隊(略称は一緒だ)も楽しめて、幸せな夜でした。

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