>HOME >MOVIES etc.
MOVIES etc.
最近の更新(10年7月〜11月)
☆このページは映画などの感想ですので、特に断りなくネタバレあります。悪しからず。☆

『時をかける少女』('10 日本) オリジナルもまた観たくなる

 おそるおそる見てみたリメイク版。『純喫茶磯辺』ですっかりファンになった仲里依沙には期待以上のものがあると思ってはいたが(期待以上のものがあると思うというのは期待以上であると期待しているということになり矛盾しているか?)、映画としてはどうか。結論的には、面白かったけれど、今ひとつ入り込めなかったかも。70年代のSF好き大学生という設定が自分に重なりすぎるので、「70年代の男はめんどくさい」だったかな、それほど純情ではなかったような気もするし、というわけで微妙に違和感があったかもしれない。大林&原田版の繊細な映像美に立ち向かうには、70年代へのオマージュではちょっと物足りなかったか。しかしまあ、とにかく仲はすばらしい。監督によるとリハーサルなしで入り込むタイプだそうだ。

ページの先頭へ

『鴨川ホルモー』('09 日本) オニもオニ語も小説のイメージどおりかな

 万城目学の原作は「鹿男あをによし」をテレビドラマで見て面白かったが、こちらもまた古都を舞台とした青春SFファンタジー。この映画の面白さはオニのCG化次第だと思ったが、キャラクターもホルモー場面も、とてもよく出来ていた。ストーリーの手の込んだばかばかしさはそのままよく映像化されていたし、芦名星はキレイだし。「プリンセス・トヨトミ」も映画化とか。また楽しませてもらえそうですな。

ページの先頭へ

『ハングオーバー!  消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』('09 アメリカ) ヘザー・グレアムのおっぱいがこういう場面で見られるとは

 花婿とその友人二人に、花嫁の弟の四人組が、独身最後の日のパーティのために、ラスベガスに向かう。翌朝目覚めると、ホテルの部屋がめちゃめちゃになっているばかりか、花婿は姿を消し、友人の一人(歯科医)の歯は一本抜け、バスルームにはトラが、クローゼットには赤ん坊がいて、借り物のベンツはパトカーになっている。しかも、前夜の記憶が全くない。自分たちが一体何をして、花婿はどこへいってしまったのかを明らかにするというドタバタコメディで、こういうものになるとやはりアメリカだなあ、というところ。謎解きの要素が楽しめるので、面白かった。下ネタが多いのは吹き替えで聞くとちょっと違和感がある。

ページの先頭へ

『コララインとボタンの魔女』('09 アメリカ) トビネズミのサーカスすげー!

 ストップモーション・アニメーションはすばらしいですね。ピングー大好きだったし。でもこれは、クレイアニメではなく、人形の表情も膨大なパーツの組み合わせで出しているらしい。もちろん、撮影技術や編集技術にコンピュータが果たす役割は否定できませんが、被写体そのものをCGに頼らないところに、なんでもアリのCGには結局見つからなかった夢があるという、青い鳥気分で見終わったところです。夢の世界に浸りつつも、あーすごいなーこれどうやって撮ったんだろ!!!という驚きだって、映画を見る楽しみには違いないのです。庭園とトビネズミのサーカスのシーンは、肌が粟立ちますね!今思い出したのが、大学に入った年、オリエンテーションで先輩が見せてくれたのが、学園祭で上演した「コマ撮り」のアニメ作品だったこと。詳細はもはや忘却のかなたですが。教員になってから、文化祭と言えば「映画作ろうぜ!」とクラスの生徒たちに最初嫌がられながら、でも出来上がると充実感いっぱいだったなと(思い込み?)。さすがにコマ撮りアニメは作れませんでしたが・・・。ちょっと遠い目をしてしまいました。ストーリーもなかなか面白いです。説明が少ないところが好み。子供向けでもこれくらいのわけの分からない不安と怖さのあるお話がもっと欲しいですね。

ページの先頭へ

『ソラニン』('10 日本) そもそも彼女たちは部員だったのか?!

 宮崎あおいのバンドものといえば「少年メリケンサック」が痛快で面白かったから、つい比較してしまうのだが、まずこの淡淡とした運びがまだるっこしく、前半は半分にして欲しかったという無茶な感想を持ってしまった。原作コミックを読んでいないので違うかもしれないが、コミックと実写のリアリティの転換が今ひとつ追いついていないのかもしれない。業界との接点など音楽部分も類型的で、死んじゃうラブストーリーの展開としても意外性はなく、ちょっと肩透かしだった。伊藤歩もステキだが、とにかく桐谷健太、近藤洋一の二人の個性が立っていて、主人公の二人の輪郭が薄ぼんやりした印象なのも、見ていて居心地が悪い。うーんもうバンドものはそろそろ、ご馳走様お腹いっぱい、かな・・・

ページの先頭へ

『ガタカ』('97 アメリカ) ユマ・サーマン美女すぎ

 たまたまだが映画鑑賞がSF4本連続になってしまった(実は夏休みにギャラクティカにハマってもいたりするので「たまたま」というのはウソに近い・・・やっぱり止められませんよSF)。いたって真面目に作られた、近未来SF映画というのは、最近では珍しいかもしれない。遺伝子操作が当たり前になった時代、「自然に」生まれた人間は不適格者として扱われる。当然、宇宙飛行士にはなれない。事故などで将来を断たれた適格者になりすまし、宇宙飛行士の夢を実現しようとする主人公が、ある殺人事件の捜査に巻き込まれ、追い詰められていく。はたして彼は宇宙に行けるのか?・・・という話。血液と尿で本人特定するようになると、見た目はあまり気にされなくなるというのは気に入った設定だ。今でもいくらでも整形できるのだろうし。これだけ遺伝子管理されていながら、ブローカーが存在してなりすましができるというのもどうかと思ったが、しかしいくら管理社会でもそういう闇の世界は必ずできるものなのだろうと思うと、それもまたおもしろい。シリアスSF映画としては、やや突っ込みどころが多い気はするが、クールな映像と寓話的な設定で許せる範囲だ。隠し味や伏線もけっこううまく作ってある。出演者も新旧とりまぜて有名どころが出ていて、イーサン・ホークとユマ・サーマンはこの共演がきっかけで結婚したとか。離婚していますが。

ページの先頭へ

『月に囚われた男』('09 イギリス) ロボットが日本製だと顔文字がガラケー並みになって台無しだろう

 これもSF話題作。エネルギーを月の採鉱に頼る近未来、一人で基地を守る男が主人公。まあこれはすぐばれるので言ってしまえば、寿命の限られたクローンが交代で勤めているわけだが、事故で前のクローンと次のクローンが同時に存在してしまったところから、話が捻じれてくる。彼らの葛藤よりは、わりとすぐに会社のやり口のほうに目が向いてしまう展開はちょっと物足りない。ロボットのキャラクターは意外性があってポイント高いが、月面エネルギー産業の仕組みを想像すると、ここまで高度の人工知能+クローン作業員という組み合わせも、いささか腑に落ちない。これくらいエネルギー依存度が高かったら、クローンなど大した問題にならないかもしれないと思うと、この落ちはやや残念。というわけで、設定の無理を言いたてたらいくつもあるのだが、それでも抑制のきいた特撮を含めた演出の、イギリス映画らしい渋さ、無機質で冷たい手触りの映像美には、ソラリスや2001年のノスタルジーをくすぐられて、けっきょく、満足してしまう。せっかくなので、未見の方はデビッド・ボウイの『地球に落ちてきた男』も観ましょう。

ページの先頭へ

『第9地区』('09 アメリカ) 結局、何しに来たの?

 これは評判通り、たいへん面白かった。南アフリカに巨大宇宙船が現れ、大量の宇宙人難民の居留地ができるという設定は絶妙だ。しかもこの宇宙人が醜く、荒んでいて、スラムは犯罪の温床、そこにつけ込むナイジェリア人のギャング集団と、政府組織、傭兵の絡み具合がまた実によくできている。主人公はこの居留地の移転を任されるのだが、これがまた間抜けなお調子者ときている。その不注意から「感染」してしまった主人公が、ある宇宙人親子と知り合ったところから、とんでもない展開に。血しぶきや肉片はバンバン飛び散るし、明らかにどこかの国で人気のアニメのメカ紛いが出てくるし、「感染」があまりにもご都合主義だしで、意図されたB級臭さが巧みに染みついているのもしたたかである。最初は不愉快なヤツだった主人公にだんだん感情移入してしまったり、宇宙人の子供がいつの間にかかわいく見えてくるのは、うまくしてやられたなという感じ。ただこの終わり方はちょっと物足りない。

ページの先頭へ

『渚にて』('59 アメリカ) まだ時間はある。もう誰もいなくても。

 夏の鑑賞にふさわしいクラシック作品を一本。原作とは異なる部分もあって、原作者のネビル・シュートは嫌っていたようだが、クレイマー監督の人間観がよく表れていて、映画としては名作と言って間違いないと思う。子供のころ、よくテレビで外国映画を観たが、「かっこいいなあ」と素朴に憧れたのがグレゴリー・ペックだ。エキゾチックなエヴァ・ガードナーはこのころ30代半ばか、水着姿でなかなか立派な腰回りが刺激的。そういえば彼女もドナ・アンダーソン(翌年の『風の遺産』でも美しかった・・・)もお尻を叩かれるシーンがあるのは、ちょっとうれしいのだが、これはやはりちょっとは必要な色気なのか? フレッド・アステアのカーレースシーンもやはり必要なアクションなのか? というあたりは気になるけれども、モノクロ映画ならではの映像の美しさが、戦闘もパニックもない破滅を描く迫力はすばらしい。もちろん、原子爆弾による破滅はこんなにキレイではありえない、という批判は当然可能だが、だからこそかえって逆説的な説得力があると思う。

ページの先頭へ

『キングス&クイーン』('04 フランス) 木のぼり男爵、私も大好きです。

 宣伝文句にコメディとあるので、それを期待した人の映画評にコメディじゃないじゃないか、というのがよくあるのだが、これはたぶん、もともとのフランスの宣伝文句のコメディをそのまま日本で使ったために、ハリウッド映画のコメディの印象にミスリードしたということではないかと推測している。本来のコメディはシニカルなものを持っていて、この作品はまさにその名にふさわしい。ここに出てくる人たちは、みな人間関係がひどく捻じれているのだけれども、捻じれたままどんどん前に進んでいくのである。ボタンを掛け違ったのは知っているけれど、掛け違ったまま他のボタンをつけて、見た人が怪訝な表情をしても「なにか?」と見つめ返して黙らせてしまうような、とでも言おうか。ボタンの掛け違いなら、気付いたときにこっそり直すこともできるけれども、人生の過去では今更直せない。だから、捻じれたまま進むしかない。そしてこの人たちは、決して過去を振り返らないのである。その捻じれを悔やんだり、嘆いたりはしない。だからまた、決して過去の失敗から学ぶこともしないのである。というわけで、ヒロインも、最初の夫も、次の夫も、父親も、みんな本当にひどい人たちだ。とはいえ、悲劇ではなくコメディなのだから、シニカルでも笑いは不可欠である。痛快なのは2番目の夫の父親で、その雑貨屋のシーンだけは、たぶん見た人のほとんどが大笑いするのではないかと思うのだが、どうだろう。もっとも、この家族もそうとうややこしいことになっているわけだが。150分たっぷりと、捻じれた男女、捻じれた親子の、うまくかみ合わない人間関係のズレ具合を楽しめて、大満足。もちろん、すべての捻じれは一つとして元に戻りません。ハリウッドコメディや恋愛モノやそれなりのオチを期待してうっかり見てしまった人には、お気の毒さまである。

ページの先頭へ

『善き人のためのソナタ』 ('06 ドイツ) 自分のためのギフト

 『マーサの幸せレシピ』で惚れたマルティナ・ゲデックつながりで観たのだが、これはなかなか面白かった。シュタージの実態がどの程度リアルに描かれているのかはわからないが、憶測程度しかできない私のような者が見て、監視体制社会の中での何種類かの生き延び方が凝縮されていると思うのだから、脚本の確かさは言うまでもない。自分だったら、この中のどの登場人物のように生きようとするだろう、と考えるだけで息苦しくなる。主人公は劇作家を監視しているのだが、次第に監視される側に共感して禁を破っていく過程にはらはらさせられる。ベルリンの壁崩壊後、劇作家は彼のことを知って会いに行こうとするのだが、そこからラストまでの流れに、このストーリーの巧さが極まる。主演のウルリッヒ・ミューエの無表情さがすばらしい。というわけで次はミューエつながりだな。

ページの先頭へ

『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』 ('01 アメリカ) なんでもやるジーン・ハックマンは偉いと思うが

 ヘンな映画だ。3人の早熟な天才児たちが成長後さまざまに躓いていたところに、没落した父親のでまかせで絆を取り戻す?というような展開だが、物事が解決に向かうと言うわけではなくて、おかしな状態Aがおかしな状態Bに遷移して、さてこれからどうなるのか、と言うところで終わる。とってつけたようなエピソードの積み重ねで、所詮は出たとこ勝負だよ、という話だと考えれば簡単なのだが、それ以上の意味を求めようとすると、それほどの映画ではないような気がする。この監督の『ダージリン急行』も、おかしな家族の話だったし、製作でかかわった『イカとクジラ』もテーマ的には似たところがあるかもしれない(ストーリーはずっと整っているが)。いかにも哲学の出身らしいとでも言うべきか。

ページの先頭へ

『マーサの幸せレシピ』 ('01 ドイツ) どうしても気になるベルギー製の砂糖

 後にキャサリン・ゼタ=ジョーンズ主演でハリウッド版リメイクされた、久しぶりに見たドイツ映画は、なかなかよかった。最初のセラピーの場面から、うーんやっぱり自分はドイツ映画好きだ!と単純に喜んでしまうのは、インテリアを含めた構図の端整さだ。厨房場面もすごく機能的で美しい。ストーリーにも一切、贅肉がない。セリフなしの短い映像で必要な説明を果たしてしまう場面もいくつかあって、これでこそ映画だろう、と嬉しくなる。明るいのにうるさくない。料理一筋のマーサが、事故死した姉の娘を引き取る。最初よそよそしかった関係が、二人を取り巻く人々の中で、和んでいくと言ってしまえば、まあ分かりやすい話になってしまうのだが、喜怒哀楽の波があるのにカラッとしているのは、脚本・監督のサンドラ・ネッテルベックの個性なのか工夫なのか、インタビューで「ドイツ映画らしい」というものがないと語りながらもアメリカからドイツに戻って作った映画ににじみ出るドイツらしさなのか。助っ人のイタリア人シェフといい、階下の建築家といい、レストランのオーナーといい、みなクセモノ揃いでありながらいい人ばかりだ。姪っ子を引き取りに来る父親がどうかと思ったらこれがまた、である。それで単調になるわけでもなく、最初から最後まで目が離せない期待感がある。もちろんマーサ役のマルティナ・ゲデックが魅力的なのも目が離せない理由だけど。さてハリウッド版、見たものかどうか・・・。

ページの先頭へ

『そんな彼なら捨てちゃえば?』('09 アメリカ) これだけいろいろ詰まっていても自分に似たタイプはいない

 いかにもなコメディが見たいなと思って見たわりには、なかなか深刻な話ではあった。男の子が意地悪するのはあなたに気があるからよ、と子供の頃に母親に言われて以来、男の振る舞いを勘違いし続けてしまうジジを軸に、何組かの男女の行ったりきたりを組み合わせた話なのだが、ジジのエピソードはいわば時間軸に過ぎなくて、ジャニーンとベン、ベスとニールの、それぞれで一本ずつ映画になりそうな、でもそうするとちょっと重くて観客が限られそうな、けっこう考えさせられるリアリティのあるエピソードが見せたかったのかな、という印象だった。いかにもセックスアンドザシティはじめテレビシリーズ仕込のスタッフが揃っての、ぎっしり詰まって飽きさせないつくりである。スカーレットヨハンソンにはドキドキするし、脇でちゃっかりおいしい役をとっているドリューバリモアも魅力的だ。

ページの先頭へ