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最近の更新(09年12月〜10年6月)
☆このページは映画などの感想ですので、特に断りなくネタバレあります。悪しからず。☆

『曲がれ! スプーン』('09 日本) 欲しいのはどの能力かなと、つい妄想

 本広克行監督とヨーロッパ企画のコラボもの。『サマータイムマシンブルース』がおもしろかったし、『UDON』もまあまあだったので、これも期待して見た。やはり上田誠の作はおもしろい。長澤まさみも好演している。このコラボものでおなじみの、人や場所やモノが再登場する楽しみもある。しかし、もともとが喫茶店の中といういかにも舞台劇にありがちな設定で、だから舞台では違和感は全くないが、映画としては、室内劇として徹底するわけでもないので、ちょっと物足りなさというか、映画ならではの何か、それが何なのかはわからないが、その何かがほしい気もした。それでもサンタのシーンが、映画的に立派にせずに、きっちりとしょぼかったのは、さすがだ、と思った。完成度という点でいうとちょっと作り込みが足りない気はするのだが、ほのぼのと面白いお話を楽しめることは間違いない。でもきっと、芝居のほうがもっと面白い。せめてビデオで見るかな。

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『罪とか罰とか』('08 日本) こんなに制服が似合うのにこれでもう一日署長の仕事はないだろう

面白かったよ〜。ケラリーノ・サンドロビッチ監督の映画は『グミ・チョコレート・パイン』もみましたが、間合いやテンポはより舞台的な展開になっているような印象。部屋の中とか工場の中とかのシーンは、やっぱり演劇のヒトだなあ、という楽しみがあって、ガード下を延々と歩くシーンなど、逆にこれがお芝居だったらどんなふうに表現するのかなあ、なんて見方をしてしまうのも、更なる楽しみになります。マネジャー役の犬山イヌコはじめナイロン100℃その他の役者さんたちが大活躍、ちょい役も噛み付く麻生久美子とかいい加減な編集者の行定勲とか、かなり可笑しいです。崖っぷちアイドルの成海璃子はなんともはまり役で、とにかく困った感じがとてもよい。トイレの妄想鼎談から目覚めていく過程は面白く、最後まで意表をつかれて、やられたという感じです。コメンタリーはグダグダだが、ラストシーンがあの映画を狙ったというのがかなり受けました。

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『オサマ・ビン・ラディンはどこにいる? ('08 アメリカ) アレックスがさらに美しくなったような・・・

 モーガン・スパーロックの』"Where in the world ia OSAMA BIN LADEN?"(「オサマ・ビン・ラディンはどこにいる?」)は、TOKYO MX で放映されたのだが、うっかり見過ごしてしまった。悔しいが仕方ないので、英語版のこのDVDを買って、字幕を読みながらなんとか見通した。で、まあいつもの事だがどこまで演出か分からないにしても、これは相当、力の入ったドキュメンタリーだ。アレックスが妊娠して、いよいよモーガンも父親だ。となると、安全で平和な暮らしをさせたい。となると、テロリストがいては困る。では、オサマ・ビン・ラディンと直談判しなくちゃ! という思考回路と実行力にはあっけに取られるが、企画はその前から練られていたというのが事実のようだ。実際に、「ビン・ラディンはどこにいる?」と訊ねながら、モロッコ、イスラエル、エジプト、サウジアラビア、アフガニスタン、パキスタンなどを回るのだ。事前には護身術も学び、アフガンではロケット砲も撃つ。タリバンのメンバーやテロリストの親類にもインタビューするし、特典映像ではイスラエルのペレスやIRAの元リーダーにもインタビューしている。多くのムスリムは、ビン・ラディンを英雄視してはいないし、アメリカの対外政策を強く非難しつつも、個人としてのアメリカ人を敵視するわけではない。むしろ最も緊張するのは超正統派のユダヤ人たちにインタビューしようとしてトラブルになるところである。年寄りの男に突き飛ばされる。しかしそんな状況でも、群衆の中から「おれたちの多くはあいつらとは違う、あんたを殴りたいなんて思ってはいない」という声が上がる。イスラムの学校では、生徒たちへのインタビューは中断させられるが、特典映像では若い三人の女性の生の言葉が聴ける。結局、ビン・ラディンに会うことはできなかったが、父親になろうとしているモーガンは、家族を大事にする普通の人々の暮らしを脅かすもの、守るものを見て、伝える仕事をしたことになる。帰国したモーガンは、アレックスと水中出産、かわいい赤ちゃんの父親になる。この落ちはできすぎでずるいなあ。

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『ココ・アヴァン・シャネル』('09 フランス) この後がけっこうたいへん

 オドレイ・トトゥがココ・シャネルを演じた話題作。孤児院育ちのココがお針子をしながら夜は歌手で稼ぐ。そのうちパトロンがあらわれ、その元でデザインが評判になり、愛人を失いながらもデザイナーとして成功していく。私はまったくシャネルの生い立ちやデザインを知らなかったし、結局はあまりに異なった世界の出来事である事に変わりはないのだが、とにかくトトゥの演技には惹かれる。抑え気味の表情に意味が溢れている。映像も深みのある色合いで時間いっぱいのめりこめる作品である。もっとも、戦時中のエピソードはまったく出てこない、あえて avant Chanel にした潔いというか思い切った割り切り方が、分かりやすい映画に仕立てているのも実際のところだろう。

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『山形スクリーム』('09 日本) ゾンビはやっぱりゾンビ

 非常にくだらなかった。これだけくだらない話を、これだけ豪華な布陣で作ってしまうのは、贅沢というよりは放縦というべきで、その放縦さを堪能する覚悟で見れば面白いと言えるかもしれない。成海璃子や沙綾といった美少女たち目当てで見ても物足りないし、コメディホラーというジャンルはどうしても中途半端な印象だし。それよりは、一番楽しんでいるのが監督の竹中直人だと思うので、監督になって、ちょっとぽっちゃりしてとてもかわいい成海璃子を怖がらせているつもりで見ればいいのだ。

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『OSS 117 私を愛したカフェオーレ』('06 フランス) いろいろな意味ではらはらどきどきして笑えないけどおもしろい

 かなりくだらなかった。フランスのコメディ映画というのは、スパイアクションですら独特の間があって、これが合わないと、つまらないというか、あきれはててしまう。ただこの映画は、わりとテンポよく進むので、そこそこ間が合って、そこそこ面白かったのである。スパイがエジプトに捜査に行くのだが、アラブ諸国の国情にもイスラームにもまったく知識がないという設定で、ドタバタしているうちに周りが推理してくれて、話が進むという展開である。もちろんアザーンを邪魔しに行くくらいとんでもなく無知で無神経な主人公の、あまりにもフランス的な自己中心性を自ら笑うところがよいのだが、それによってしてもイスラームやアラブに向けた皮肉な目線はちゃっかり逸らしていないところが、なかなかにしたたかである。

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『フィッシュストーリー』 ('09 日本) 音のない時間

 ふと気づいたらちょっと身の回りで伊坂幸太郎がブームだ。4月から大学の文学部に進む姪っ子が挙げた、好きな作家。ふとしたきっかけで聞いて気に入った斉藤和義の「ベリーベリーストロング」。なんとなくリストの上位に入れてあったこのDVDが届く。姪から聞いて興味を持ったらしい妻が、一冊、伊坂幸太郎の文庫を読みだしたときに、私はこのDVDを見ていて、妻はこの映画なんかヘンだけど面白かったね、と言った時にはまだそれが伊坂幸太郎原作だとは気付いていなかったという。まあそんなこんなで、ちょっと不思議なタイミングで、ちょっと不思議なこの映画がさらに楽しめて、すこぶる印象がよい。断片的なエピソードが最後になってつながるという構成がそんなに珍しいものとは思えないのに、この痛快さは何だろうと考えると、たぶんそれは個々のエピソードの突拍子の無さからくるのだろう。バンドものの映画が最近多くて、ちょっと食傷気味なのだが、逆鱗はあんがいリアリティがある。斉藤和義バージョンと二つともダウンロードしちゃいましたよ。この映画の多部未華子はかわいい。

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『ギララの逆襲 洞爺湖サミット危機一発』 ('08 日本) 北の国から

 覚悟して見た河崎実シリーズだが、やはり予想通りというか予想以上のくだらなさで最高でした。でもギララは、子供の頃見た怪獣映画の中では特に気に入っていた怪獣なので、この縁は嬉しくもある。怪獣映画と言えば東宝がダントツで、ガメラで当てた大映が続き、完全に乗り遅れたのが日活と松竹だったように記憶している。そして日活の一発がガッパ、松竹の一発がギララだったのだ。で、ギララはデザインの斬新さもさることながら、子供心に衝撃だったのが、「こいつ・・・歩くのが速い!!!」ということだったのだ。ゴジラからは逃げられてもギララからは逃げられない・・・。ちなみに、ガッパは設定上の身長がむちゃくちゃ高かった(確か120メートルだったような・・・)。まあそんなことは、このリメイク(なのか?)映画の場合はどうでも良い話である。よくもこんなくだらない映画を作ったものだ、という感動である。加藤夏希があんなことをやっちゃうのだ・・・というところも、元マネージャーだったかを訴えた騒動と重ねると、妙に納得したり。マニア以外にはゼッタイに勧められない作品である。

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『26世紀青年』 ('06 アメリカ) このままじゃどんどんバカになると、分かっちゃいるけど止まらない

 この邦題については非難も多いが、ワタシはこれ、最近になく非常に気に入っている。どう考えてもアノ作品の似て非なるものをコノ作品に期待してみるヒトはまずいないだろうし、何じゃこりゃと注目させておいて、見終わってみれば風刺性においてまずまずの出来ということであんがい納得していたりする。アノ作品にもIDIOCRACYの要素があったかもしれないと思えば、立場が逆転するから面白い。さてこの作品、出だしから大丈夫かオイ状態の単純すぎる人類バカ化の展開だ。バカがどんどん子沢山になっていく様子を、バカと非バカのカップルを例にとって説明するわけだが、こんな説明しちゃっていいの?まあ誰でもわかっていることだけど、という調子だ。でも気づいてみると「非バカ」のカップルもこうして子孫を残せないで淘汰されちゃうんだから、要するに別種のバカなんだなあ、ということになるから、これはこれで実はかなり深いのだ。冷凍睡眠の実験台になって一年後に目覚めるはずだった、現代ではあまりにも平均的という理由で選ばれた青年が、手違いで忘れ去られて500年後に目覚めてみれば、アメリカはすっかりコンピュータ任せでバカだらけになっていた。国民は巨大企業が作るドリンクと食品を食べ、キンタマをぶつけ続けたりケツのアップだけが続くような映像に大笑いし、大統領は元プロレスラーでポルノスター、ゴミは雪崩を起こすほど積み重なっている。言葉は乱れに乱れ、主人公の話し方はカマっぽいと笑われる・・・。シリアスSF的に考えれば突っ込みどころばかりだが、笑っていられないバカ化はすでに進行中と見れば、邦題の意図も含めて(だってもしかしてアノ映画みたいな〜?とか思って見たヒトがいたとしたらすでにかなり・・・)いろいろな読み方の出来るストーリーである事は間違いない。

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『下妻物語』('04 日本) 都市近郊という夢の距離

 これはとても面白かった。下妻とは茨城県の下妻市で、ここに住んでいる代官山好きで刺繍上手のロリータファッション桃子とヤンキーのいちごとの友情物語。深田恭子と土屋アンナというキャスティングがまずピッタリで、下妻という、東京から近いようで遠い舞台設定も絶妙。なにせ決闘の場所が牛久大仏である。また地元の人たちがジャスコに買い物に行って満足しているという設定もうまい。うちのような埼玉県民にもあるある的なメンタリティである。映像も現実とのスレスレ感が出ていてうまいなあと。公開後じわじわ人気上昇というのが、今見るとよくわかる。

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『純喫茶磯辺』('08 日本) 娘一人を捉えるシーンの色香もよくて

 宮迫博之演じるダメ父と、仲里依紗演じる高校生の娘の父子家庭。祖父の死でちょっとした遺産が入った父は、喫茶店を始める。あまりの客の少なさに、麻生久美子演じるアルバイトの子にメイド服を着せたところ、そこそこ繁盛し始める。父がその子に惚れたり、娘が客に狙われたり、父と別れた母と娘のやり取りなど、ありそうで相当現実離れしている展開が、予想を裏切るというか微妙にずれていくところが、はぐらかされているようでとても快い。麻生久美子が酒場で言った事は、娘に気を使ったのか?というのが、麻生久美子が再登場するところでさらに煙に巻かれてしまい、最後までよくわからないところが好きだ。それにしても、仲里依紗はすごくうまい。失礼ながらモデル出身のかわいい子というくらいで見はじめて、すぐに引き込まれてしまった。リメイク実写版「時をかける少女」の主役をやるそうで、かつて原田知世にときめいていた世代としては大いに期待したいところだ。

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『おくりびと』('08 日本) 間接的には臓器移植法についても考えてしまうぞ

 ついに見てしまいました、話題作。これも息子が大学の英語の授業で見て(外国版で英語字幕を見て訳すとかなんかそういうのらしい)、ゆっくり見たいと言うので借りて、久しぶりに家族そろって見てしまった。テーマの面白さ、俳優陣の充実、スタッフの手抜きのない仕事で、ほとんど隙のない仕上がりは、ストーリーの感動を素直に感じさせる。ただ個人的には主役夫妻の配役は、特に妻役の広末涼子など、観終わったあとの違和感がある。映画もよい映画だと見終わった後に脳内リピートしている。その時に映画の中に役者が溶け込んでいるときとそうでないときがある。どうも本木は隙がなさ過ぎ、広末は隙がありすぎるという印象はある。それでもこれが見ごたえのある映画である事には変わりない。主人公の実家の喫茶店や、納棺師の事務所や、銭湯など、建物の魅力も格別だ。映画公開後、実際の銭湯の店じまいで、建物の保存の話が出たというのは嬉しい話だ。ということは逆に、映画のセットにでも使われて話題にならない限り、こういう建物がどんどん失われていくということでもある。

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『WEEKEND BLUES ウィーク エンド ブルース』('01 日本) 人間は記憶に生きているという事の確かさ

 『アフタースクール』が面白かったので、内田けんじ監督のPFF受賞作である自主制作作品を見てみた。当然、極度の低予算、週末に集まっての撮影で、いかにも自主制作という素朴さはあるが、技術的には堅実であり、謎解きのシナリオがやはりよくできているので、なかなか楽しく見た。順序的にはこちらを先に見た方が良かったかもしれないが。

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