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バックナンバー(08年12月〜09年02月)
☆このページは映画などの感想ですので、特に断りなくネタバレあります。悪しからず。☆

『サン・ジャックへの道』('06 フランス) 旅は道連れとはこういうことか

 毎度のロードムービー好きで選んだ一枚だが、これはなかなかおもしろかった。実業家の長男、教師の長女、失業者の二男が、親の遺言で、一緒にサンチアゴ巡礼を果たせば遺産が受け取れると知る。この3人がむちゃくちゃ仲が悪く、性格も偏っている。そこにほかの訳ありの巡礼仲間とガイドが加わっての珍道中である。実際の景観の壮大さと、CGで織りなす巡礼者たちの夢の描写が対照され、ユーモアというよりは毒気十分だが、読字障害のイスラーム系移民の少年に読み方を教える件は感動的だし、予想通りではあるのだが、3兄弟はじめ巡礼者たちの人間関係が修復されていくことに安堵させられる。コリーヌ・セロー監督だったんですね。

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『スミレ16歳!』('08 日本) どこまで強引に実写かできるかという挑戦

 TEAM NACKS の音尾琢真つながりで見たらヨーロッパ企画の本多力も出ていた。しっかしこれはとんでもない話だ。息子が原作マンガを見せてくれたが、これを実写でやろうという発想自体がすごい。コミック原作でトレンディ(死語?)ドラマ仕立てようというのとは次元が違う。スミレは腹話術の人形で、それを操る謎のオヤジが音尾琢真。で、このスミレが高校に転入してくる。もうそこでわけが分からない。理事長が何だかよくわからないがそれを後押ししていて、校長(穂積ペペってなつかしいな)と対立する。ドラマではスミレが人形と人間に切り替わるわけで、人形役の人間(ややこしい)の水沢奈子は好演である(人形の口が動く溝を二本描いただけの単純メイクがまたすばらしい)。まだ2本見ただけなのだが、まあこれはきっと全部見てしまいますね。面白いです。

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『HONOR〜守り続けた痛みと共に』('07 日本) 女優が出ない寂しさと意外性

 また見てしまいましたTEAM NACKSの芝居のDVD。北海道の過疎の村の数十年の歴史を描く、壮大でシリアスな大作だった。でも今回は更に、「芝居の講演をDVDで見ること」の限界と言うか、居心地の悪さを感じた。ダイナミックな太鼓や花火といった素材、5人のメンバーだけで入れ替わる配役は、やはり舞台を前にしてこそ胸躍らせるものでしょう。相変わらずのとぼけたユーモアでほぐしながらも、戦争、愛、死、友情を誠実に描いています。

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『イカとクジラ』('05 アメリカ) 次男がフィービーケイツの息子だなんてそんな・・・

スノッブで売れない作家の父親、露悪趣味の流行作家の母親が離婚する。高校生と小学生の兄弟が、共同養育の狭間で混乱していく。監督の実体験に基づいた脚本ということで、これはもうリアリティありすぎ。家族4人がみな痛い。痛い、という言葉は便利だが、無様でありながら本人だけはそう思っていない、ということだろう。感情を爆発させてもすれ違うし、内向させればどこかが歪むし、こういう状況が要はやり場がないということなのだろう。でもウチも同じ家族構成なので何となく感じるのだが、女一人の母親という立ち位置というのは、案外フットワークが軽いかもしれない。まあ、この映画もそうだが、あまり物事は解決しない。男たちは痛いままに成長し、老いていくばかりだ。だからこそのリアリティだ。

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『17歳のカルテ』('99 アメリカ) 迷宮のような病院は一つの世界

しかしこのタイトルは何だよ。入院シーンでいきなり「アナタは18歳だから自分でサインするのよ」みたいなセリフがあるじゃないか。あっ、カルテ最初に書いたのが17歳だったとか言い訳する? ・・・といつまでも絡んでいても仕方ない。境界性人格障害で入院した若い女性を描いた作品。主演のウィノナ・ライダーのきわどいキャラクターも呼応して、なかなか見ごたえのある作品にはなっていると思う。アンジェリーナ・ジョリーももっとも危ない患者役で熱演、アカデミー助演女優賞までとっている。アンジェリーナがウィノナを喰っているという見方もあるが、ウィノナもそんなに負けていないと思う。セリフにも出てくるが時代性もあって、そういえばマーク・ヴォネガットもそういう時代と精神の異常を体験していた。入院することで時代と手を切ることは重要だったのだろう。ヴァネッサ・レッドグレイヴやウーピー・ゴールドバーグまで出ている。

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『うた魂♪』('08 日本) 真剣十代おもしろいです

『天然コケッコー』ですっかり夏帆のファンになってしまったが、この作品でも彼女の演技はすばらしい。夏帆は合唱コンクール常勝の高校でソプラノパートのリーダー、自分の歌う姿に酔うナルシシスト。ところが好意を寄せていた男子に、歌っているところの写真を撮られてサケの産卵とかユーモラスとか言われ、なぜか彼女につらく当たる(その理由も明かされるが)生徒会の女子にいびられ、すっかりやる気をなくす。そこで出会ったのが、とんでもないつっぱり男子校の破天荒な合唱部だった・・・。男子校の部長役のゴリも好演。シンクロやスイングガールズほどには、合唱そのものが上手になるプロセスに偏ることなく、映画らしい演技をじっくり見せてくれるので、満足感がある。薬師丸ひろ子の生い立ちなど結局ミステリアスなままの部分があるのも好みの展開。表情豊かな夏帆はじめ、脇を固めていた若い女優たちの活躍も楽しみになった。エンドロールを見ていたら、うちの隣のブロックにあるホールも撮影に使われていたようだ。一緒に見ていた妻が「トイレのシーンで、これは絶対に行ったことがあると思った」と言っていた。コンクールの会場は明らかに違ったので、トイレだけだったのか・・・。とにかく楽しくなる映画。

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『幻影師アイゼンハイム』('06 アメリカ/チェコ ) オレンジのタネを私も知りたい

 これはなかなか面白かった。舞台は世紀末のウィーン。ルドルフ皇太子からインスパイアされたと思われる皇太子と、その婚約者である公爵令嬢の幼馴染である奇術師との軋轢を描く。映像の色合いが雰囲気を出していて、設定と併せてなかなかうまく引き込まれる。特殊効果で奇術のシーンはいくらでも描けてしまうので、蝶などはわざとぎこちなく見せているのかと思いつつも、トリックはどうなっているのかを詮索する楽しみはない。ラストシーンで一気に謎解きをする展開がカタルシスに満ちているだけに、途中のワンショットで伏線がバレバレになってしまっているのがなんとも空しいのだが・・・。

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『もしも私が大統領だったら・・・』('06 アメリカ) コメディ? いや、ドキュメンタリーでしょ?

 コメディアンが話の成り行きで大統領選に出馬、コンピュータ集計のプログラムミスから当選してしまう。テレビの政治ショウというのが、まず面白そうだ。日本でもよくバラエティに出てくる政治家もいるが、突っ込むほうに相当見識がないと、政治家の宣伝に使われているだけで、情けなくて見ていられなくなる。日曜の朝にあちこちでやっているやつなんか新旧代議士センセのご高説を賜るばかりで目も当てられない。映画の中で連発される政治ネタのジョークの面白さは、実際にもそうなのだとすればだが、見事なものだ。映画は、プログラムのバグを暴こうとして命を狙われる女性社員と、それを救おうとするロビン・ウィリアムズ演じる次期大統領をめぐるサスペンス仕立てになっていて、飽きさせない面白さになっている。そもそもこの映画自体が、かつての大統領選挙の開票をめぐるドタバタのパロディになっている。こういうのがアメリカのフトコロの深さなのか、とも思うが、しかしマッチポンプなのか、と思わないでもない。

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『アバウト・ア・ボーイ』('02 イギリス/アメリカ) これは男の友情モノなのかも

 親の印税で気楽に暮らす独身者が、あとくされのない相手としてシングルマザーを物色しているうちに、(たぶん)躁鬱病の母親と暮らす少年と知り合う。少年との友情と、独身貴族の行く末は・・・。コメディなんだけど、そこはイギリス流のひねりが効いている。ハッピーエンドにはなっているが、コメディにはならない現実の子どもはさぞかしたいへんだろうという深刻さと、少年の成長を期待させる余韻が心憎い。

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『風の遺産』('60 アメリカ) 羊のほうがサルよりましだって、、、

 アメリカで20年代に実際にあった、授業で進化論を教えたために逮捕された教師の裁判をもとにした映画。もちろん脚色はされているのだが(たとえば検事は法廷で急死したわけではなく、裁判後数日して亡くなっている)、そこで起こっていたことに関しては、主旨を捻じ曲げずに描いているように思える。スペンサー・トレイシーやジーン・ケリーなどの名優の演技も堪能できるし、白黒の映像で法廷劇中心という、「十二人の怒れる男」ほどではないものの、派手さのない設定で120分あまり、じっくり見せる演出はすばらしい。夫を信じる妻が個人的にはかなり感動したり。チョイ役ながらチンパンジーも(今なら動物愛護コードに引っかかってしまうんだろうが)名演。日本語吹き替え版はかなりカットされているので、英語と日本語が入り混じる。

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『ダージリン急行』('07 アメリカ) 他人の始まりとはよく言ったもの

 ヘンな映画だった。サイトで映画の感想を書き始めて、実は自分がロードムービーがスキだ、ということに気づいて、あれこれと借りて見ているのだが、これはそれにしても妙な作品だった。3兄弟が父の死をきっかけにインドの鉄道の旅を共にすることで仲直りしようというのだが、これがとんでもないドタバタで、母親をはじめヘンな人がからみ、展開も出たとこ勝負のようなありえなさ。意外性と異国情緒を堪能しながらも、結局こいつらは一体何がしたいんだ、と思っているうちに話は終わる。ロードムービーというのが適当かどうか。

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『ダンサーの純情』('05 韓国) 蛍はどうやって検疫を通ったか

 韓国産ラブコメの人気作品らしい。やはり主演のムン・グニョンがかわいく健気で、極端に言えばそれを見るための作品かもしれないのだが、中国から朝鮮族のダンサーを呼び寄せる仕組みなど、半島と大陸の民族問題の機微が前提になっていて、考えさせられる。社交ダンスの世界といえば、すぐに「シャル・ウイ・ダンス」のイメージが浮かぶが、これはもっと生々しくどぎつい勝負の世界を舞台にしていて、ヨンセの一途さが際立つ設定である。あんなにすぐに一流のダンサーになってしまうという(たぶん)現実離れした話であるが、結局そこそこ楽しませてもらった感じだ。

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『ラン・ローラ・ラン』('98 ドイツ) 走って走って倒れて戻って

 実験的な作品なのだろうが、別段難解なわけでもないので、なかなかおもしろかった。麻薬取引の現金運びを引き受けた彼氏がその代金をなくしてしまう。何とかして埋め合わせをしないと、彼が殺される。彼は強盗に入って現金を手に入れようとする。走り出すローラ、そして・・・。これもあまり感想を書いてしまうとネタばれになりすぎてしまうのだが、分岐したりやり直したりする物語を一本に接合する構造である。それらがちょっとした場面で互いに重なりあって、おやと思わせたりするところなど、小技も利かせている。最後はもう一ひねりあるのかな、と期待したが。

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